弊社CMC研究本部原薬チームのメンバーが国立大学法人東北大学の皆さまと共著した以下の論文が、 ACS(アメリカ化学会)のACS Editors’ Choice®*に選定されました。現在、期間限定で無料公開されておりますので、この機会に是非ご覧ください。
【原論文情報】
雑誌名:Organic Process Research & Development
タイトル:Efficient and Scalable Asymmetric Total Synthesis of (−)-Emetine with Pharmaceutical Grade Quality; First Multigram Scale Synthesis
掲載日:2023年1月24日
著者:Masatoshi Yamada,* Kazuki Azuma, Iori Takizawa, Yuki Ejima, Mitsuhisa Yamano, Kimio Satoh, Takayuki Doi, Hirofumi Ueda, and Hidetoshi Tokuyama
概要:
天然物(–)-エメチンは、催吐剤トコンシロップの主成分です。
また、最近では新型コロナウイルス治療薬の候補化合物として研究開発が進んでおり、共著の東北大学では、難治性疾患実用化研究事業の一環として、希少疾患である肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary arterial hypertension, PAH)の治療薬としての研究開発が行われ、近年に注目を浴びている化合物です。
しかしながら、化学合成で取得することが難しい天然物合成の世界において、筆者らは(–)-エメチンを工業的に化学合成可能な方法を開発することに成功しました。
不斉点を構築する不斉誘導工程では、弊社オリジナル不斉配位子(R)-DADMP-BINAPを用いるエナンチオ選択的な銅触媒的不斉アリル化反応の開発に成功し、テレスコーピング技術や高い精製効果のある単離工程を組み入れて、計13工程でシリカゲルカラムなどの工業的に不向きな精製方法を用いることなく(–)-エメチンに誘導することに成功しました。
さらに、開発した合成法を適用して安価な出発原料であるホモベラトリルアミン1.4kgから最終物(–)-エメチン二塩酸塩237gを目的の品質として取得しスケールアップに対する堅牢性も確認しました。
URL: https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.oprd.2c00355
DOI: https://doi.org/10.1021/acs.oprd.2c00355
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