開催日 | 2025年5月27日(火) |
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開催地 | Web |
【開催日時】
2025年05月27日(火) 10:30~16:30
【講師】
特定非営利活動法人メディッセ 代表理事 医学博士 志甫 理 氏
ご専門:
バイオテクノロジー、医薬ライセンス、医薬化合物評価
ご経歴:
東京大学農学部卒、武田薬品工業株式会社に入社。研究所では主に免疫学とバイオテクノロジーによる創薬研究を主管し、この間7年間、英国オックスフォード大学、大阪大学医学部、京都大学医学部、国立遺伝研究所等の国内外の研究機関に遊学し、免疫学や胚幹細胞を利用した創薬研究に携わる。製品戦略部では欧州製薬企業との医薬ライセンスを主管し、製品戦略やライセンス化合物評価を実践。退職後、ドラッグラグの解消を目的とする創薬ベンチャー企業を設立、また、国内外の創薬ベンチャー企業の経営に参画し、主に医薬ライセンス戦略を立案、推進。現在も欧米の製薬企業や創薬ベンチャー企業の知人と医薬ライセンス戦略やその動向について情報を交換。現在、医薬ライセンスのアドバイザーを務める一方、臨床専門医による地域医療向上のための啓発活動団体を主宰する。
【価格】
非会員: 55,000円 (本体価格:50,000円) 会員: 49,500円 (本体価格:45,000円)
会員(案内)登録していただいた場合、通常1名様申込で55,000円(税込)から
・1名で申込の場合、49,500円(税込)へ割引になります。
・2名同時申込で両名とも会員登録をしていただいた場合、計55,000円(2人目無料)です。
【趣旨】
医薬ライセンスにおいてデューデリジェンスはライセンスの可否を最終的に決める重要な作業ですが、実効的なデューデリジェンスを実施することは難しく、とりわけ最近、増加している開発初期化合物や創薬基盤技術、創薬モダリティのライセンスでは不確定要因が多く、デューデリジェンスも大変難しくなっています。また最近ではプロジェクト価値を最大化するための戦略の一つとしてライセンスを捉えることが多くなっていますが、これには双方のノウハウが関わることが多いためにそのデューデリジェンスはさらに難しいと言えます。
実務的な難しさとしては、まず時間が限られることがあげられます。時間的制約からライセンス交渉の主要協議事項に絞って実施されることが多く、その結果、所期のライセンスポリシーが達成されているどうかの確認がおろそかになるケースや、双方の専門部門担当者が直接話し合う時間を十分に取れないケースも多いと思います。また、ライセンス条件がほぼ合意できたライセンス交渉の終盤で実施される場合では、結論ありきのデューデリジェンスになる恐れもあります。
ところで、最近盛んに行われている創薬基盤技術や創薬モダリティのオープンイノベーションでは、製薬企業と公的研究機関で創薬研究スタンスの違いが問題になることがあります。このようなケースでは製薬企業は公的研究機関の置かれた立場を理解して協力することが求められていると思います。その結果、プロジェクトの収益性がマイナスになることも多く、これまでの開発化合物毎に収益性を評価する製品戦略では対応できなくなって事業戦略による対応が求められています。
そこでここでは、デューデリジェンスの一般的な内容や進め方を紹介し、不確定要因に対する対策やライセンス契約書でできるリスク回避などについて概説するとともに、オープンイノベーションにおける創薬フィージビリティの“目利き”や製品戦略から事業戦略への転換、デューデリジェンスに必要な幅広い知識を有する専門部門担当者の育成についてもお話ししたいと思います。
【プログラム】
1.デューデリジェンスの概要
1.1 デューデリジェンスとは
1.2 デューデリジェンス実施手順
1)デューデリジェンスの流れ
2)主な査察対象資料と担当部門
3)各担当部門の準備作業
4)事前ミーティングと事後ミーティング
1.3 一般的な査察項目
1)ライセンスポリシーと研究開発ポリシー
2)ライセンス交渉における主要協議事項
3)開発データパッケージ
4)製薬・製造設備および施設
1.4 信頼関係の構築について
1.5 失敗事例
1.6 デューデリジェンスの留意点
1)実施上の課題
2)実施時期について
3)化合物評価について
4)契約書でできるリスク回避
5)実施後の共同責任について
6)専門部門担当者の責任の範囲と専門部門担当者育成の必要性
2.収益性評価とデューデリジェンス
2.1 収益性評価について
2.2 簡易収益性評価の課題
2.3 プロジェクト価値について
1)プロジェクト価値とその留意点
2)プロジェクト価値の最大化とそのデューデリジェンスの課題
2.4 収益性評価のデューデリジェンス
1)Confirmatoryデューデリジェンス
2)Attorney's Eyes Only
3)利益相反(コンフリクト)
3.オープンイノベーションのデューデリジェンス
3.1 Proof of Research Concept(PORC)の重要性
3.2 産学連携の課題
3.3 進む意思決定のスピードアップ
3.4 倫理的課題の再燃
1)遺伝子治療黎明期の混乱
2)遺伝子編集に関する倫理的規制の動向
3.5 医薬ライセンスにおける製品戦略の限界
3.6 “科学的目利き”について