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E&L Europe 2025: ICH Q3Eに準拠した論理的な裏付けの構築

登録日:2025/12/18

更新日:2025/12/19

ICH Q3E、抽出物・浸出物(E&L)とリスク評価提出に関する洞察

ICH Q3Eガイドライン草案のグレーゾーンの解釈

2025年12月、Viatrisの非臨床運営およびリスク評価責任者のLance Molnar博士、ファイザーの毒性学不純物リスク管理担当のPatricia Parris博士とともに、アムステルダムで開催されたE&Lヨーロッパ2025カンファレンスに参加しました。このイベントは、業界および規制当局が2025年8月に発表されたICH Q3Eガイドライン案を共同で検討・議論する最初の機会でした。

ICH Q3Eガイドラインの公開は、製薬およびバイオテクノロジー業界にとって重要な節目となります。包装や製造部品から最終医薬品へ移行する、有機不純物の評価と管理のための枠組みを提示しています。

イベント全体を通してのテーマは明確で、ICH Q3Eガイドライン案は、E&Lの状況に重要な枠組みを加えたということです。このプロジェクトは、E&Lの数十年にわたる進歩を統合したリスクベースのアプローチを導入し、世界中の科学者に実践的な道筋を提供します。

ラーサは実用的な活用に重点を置いています
イベント初日にワークショップ「ICH Q3EにおけるE&Lリスク評価」を開催しました。このセッションでは、ICH Q3Eドラフトを実践的にどのように応用するかについて検討し、セッション中の質問は業界と規制の両方の視点を反映しています。

ファイザー社・Patricia Parris博士のコメント
「 議論は、検出の事実を超えて、科学的な妥当性をどのように示すかに焦点を移しています」

「1つの化合物に1つのPDE」という考え方から脱却する時期でしょうか?
一日暴露許容量が、許容される曝露レベルを定義する唯一の有効な方法であり続けるのか質問がありました。これは、毒性学者が管理戦略について考える範囲が広がっていることを反映しています。

Viatris社・Lance Molnar博士のコメント
「毒性評価をPDEで完結させる必要はありません」

これらの浸出物の安全性を主張するための証拠の重み付け(WoE)アプローチも、透明性があり、堅牢で科学的に正当化されていれば有用です。
 
ICH Q3Eガイドライン案のグレーゾーンの解釈
質疑応答では、ICH Q3Eガイドライン案が限られた指針しか提供していない点が指摘され、専門家による科学的判断の必要性が強調されました。例としては以下の通りです:
● Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS)がクラス1浸出物に該当するか、パネリストは、それらがドラフト段階のICH Q3Eガイドラインで定義されている適用範囲外であることを確認し、ケースバイケースでの評価が必要であると述べました。
● 非経口製剤については、最終的な公表まで最も保守的な限度値に従うことが推奨されていました。
● 吸入製剤については公表された閾値が基準となりますが、局所的または投与経路特異的な毒性の評価が必要です。

ラーサ社・Julia Martins博士のコメント
「これらの議論は、Q3Eにおいて科学的選択の正当化が申請者の重要な責務であることを強調しています」 

クラス2化合物
ICH Q3Eガイドライン案では、浸出物の分類に明確な構造を導入していますが、クラス2の浸出物が多く存在することが取り上げられました。
これらの物質は、
● 該当する閾値を超える場合、変異原性および非変異原性の安全性の両方について基準を満たす必要があります
● 確立されたPDEがなく、クラス3とみなされるほど全身毒性が低くありません
● 許容される曝露レベルを算定するために必要な毒性データが不足しいます

クラス2化合物が新たな評価のボトルネックとなる可能性が強調されました。理由は以下の通りです:
1.毒性学的データが不十分な低レベル化合物検出のため、分析感度の向上が必要
2.多くのクラス2化合物は実験データが不足しているため、十分な毒性プロファイルが不明で、PDEの算出が困難
3.正当性の責任は申請者に移り、構造化され再現性ある理由が必要
4.マニュアルのリードアクロスは主観的で一貫性がない

質疑応答では、「PDEなしで安全性をどう確立するか?」、「硝子体内投与薬物の浸出物をどのように管理すべきか?」といった質問は同じ課題を指し示していました。

この課題は、弊社がリードアクロス評価の一貫性を支援するための方法を模索している理由です。この取り組みとして、Acrosticに新たなE&Lユースケースを開発しており、ユーザーが科学的根拠をより明確に整理・報告できるようサポートします。

ICH Q3Eガイダンス案に基づく一般化された安全性評価フロー
議論を通じて、ドラフトガイドラインの原則を実際にどのように適用出来るか考察しました。ICH Q3Eガイダンス案では固定されたワークフローを規定していませんが、いくつかの科学的質問が意思決定をサポートします。 ICH Q3Eガイダンスに記載されている「安全性評価閾値を用いた浸出物の安全性評価プロセス」を参考にすると、これらの質問には以下が含まれます。

1.浸出物は元素不純物でしょうか?
⇒ ICH Q3Dを用い評価します
【Vitic Q3Dがサポートします】

2.クラス1の浸出物でしょうか?
⇒ 可能であれば化合物特異的な限度値を利用します

3.浸出物は変異原性、または発がん性を有するでしょうか?
⇒ ICH M7の原則を適用し、ルールベースおよび統計的(Q)SAR予測を用いて、毒性懸念閾値(TTC)の許容摂取量(AI)をもとに安全マージンを算出します
【Derek、Sarah、Carcinogenicity databaseがサポートします】 

4.局所的な毒性の懸念はあるでしょうか?
⇒ 利用可能なデータや基準値と比較するか、非動物実験の方法を使ってギャップを補います
【Derek、Viticがサポートします】

5.全身性の毒性の懸念はあるでしょうか?
⇒ データを特定するか、リードアクロスを適用してPDEや安全マージンを判断します
【Acrosticに追加予定】

In silicoアプローチによる体系的な論理的根拠の構築
ワークショップ中に提起された質問は、論理的根拠構築のワークフローにin silico手法への期待を反映し、患者様の安全を守るためより体系的な証拠の重み付け(WoE)アプローチへの移行を示しています。
● 皮膚や目の刺激に関するバリデーションにはどのようなものがあるでしょうか
● Zenerhはガンマ線滅菌による分解を予測できるでしょうか?
● 
ISO 10993-1の下、in silicoモデルの需要は増加していると見ているでしょうか

Derek、Sarah、Zenethは、ICH M7に準拠した透明性ある、毒性情報や作用機序、および分解経路の推論をサポートします。一方、ViticとDerekは、刺激性や感作性などの局所毒性エンドポイントに関する、精査された実験データと信頼できる予測を提供します。これらのin silicoリソースを組み合わせることで、実験データが限られている場合でも、科学的に堅牢で再現可能な論理的根拠を構築するのに役立ちます。

安全性リスク評価、特にClass 2の課題をサポートするため、弊社はリードアクロスツールAcrosticに、E&L向けの新しい全身毒性のユースケースを開発しています。

弊社ソフトウェアにご興味ありましたら、下記までお問い合わせ下さい。
担当:増子 聡
Email: satoshi.mashiko@lhsalimited.org
TEL: 080-9804-1171

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