開催日 | 2025年11月27日(木) |
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開催地 | Web |
■開催日時
2025年11月27日(木) 10:30~16:30
■講師
コスメスクリプトコンサルティング 代表 岡本 亨 氏
【略歴】
1985年株式会社資生堂入社。メーキャップ製品の開発に携わる。1990年より乳化、可溶化技術の研究開発ならびにスキンケア製品の開発に従事し、エマルションの形態制御に関する研究、基剤塗布膜の研究、経皮吸収に関する研究などに取り組む。
2025年 同社退社の後、コスメスクリプトコンサルティングを開業、技術コンサルタントとして活動をはじめる。
主な受賞歴に日本化粧品技術者会優秀論文賞(2007年)、日本油化学会オレオサイエンス賞(2008年)、日本薬剤学会製剤の達人:The Master of Pharmaceutical Technology(2013年)、油脂工業会館油脂技術論文優秀賞(2017年)など。
著書に「香粧品製造学・技術と実際」(Fragrance Journal 編集部編)など。
【ご専門】
コロイドおよび界面化学、化粧品学、製剤学
【学位】
博士(理学)
■趣旨
スキンケア化粧品に欠かせない化粧水・乳液・クリームなどの製品は、互いに混ざり合わない水相と油相の成分を巧みに配合し、処方技術によって高い機能性と感性価値を提供しています。こうした製品設計の基盤となるのが、乳化および可溶化技術です。
乳化および可溶化は、水と油という相互に溶解しない成分を均一に混合し、安定に保つための技術であり、製品の使用感や機能、有効成分の安定配合などにおいて中心的な役割を担います。近年では、界面コロイド化学の発展により、従来困難とされていた処方の製剤化も可能となり、スキンケアの有用性が大きく向上しています。
本講演では、乳化や可溶化の基本原理を支える界面コロイド化学を平易に解説したうえで、水と油をうまく乳化し、安定に保つために必要な要因を体系的に整理します。
さらに、乳化の安定性向上や製造工程の工夫についても触れ、スキンケア製品の品質向上に役立つ知見を、実際の開発事例とあわせてご紹介します。
■プログラム
1 スキンケア化粧品について
1.1 化粧水
1.2 乳液
1.3 配合成分
1.3.1 保湿剤
1.3.2 界面活性剤
1.3.3 油分
1.3.4 増粘剤
1.3.5 薬剤、添加剤
1.4 スキンケア化粧品の処方設計のポイント
1.4.1 使用感触を調整する
1.4.2 肌を乾燥から守る
1.4.3 有効成分を安定に配合する
1.4.4 スキンケア化粧品における乳化・可溶化技術
2 乳化・可溶化を理解する
2.1 乳化・可溶化とは
2.1.1 相図から理解する(ミセル、マイクロエマルション、エマルション)
2.1.2 粒子の大きさから理解する
2.1.3 乳化・可溶化の設計のポイント(作り方と安定性)
2.2 界面活性剤を知る
2.2.1 界面活性剤の種類と特徴
2.2.2 界面活性とミセル形成
2.2.3 クラフト点
2.2.4 曇点
2.2.5 HLB
2.2.6 自己組織体の形成
2.2.7 臨界充填パラメーター
2.3 乳化を理解するための相図の基礎
2.3.1 相図の基本を理解する
2.3.2 2成分系の相図
2.3.3 3成分系の相図
2.3.4 相図で乳化プロセスを分析
2.4 安定なエマルションをつくるには
2.4.1 エマルションの破壊はどのように進むのか
2.4.2 クリーミング
2.4.3 凝集
2.4.4 合一
2.4.5 オストワルドライプニング
2.5 エマルションを上手くつくるには
2.5.1 調製方法によって出来栄えは大きく異なる
2.5.2 微細なエマルションを調製するための考え方
2.5.3 転相乳化法
2.5.4 D相乳化法
2.5.5 PIT温度乳化法
2.6 つくりやすさと安定性の両立
2.6.1 α-ゲルを活用したエマルション
2.6.2 アミノ酸ゲル乳化法
2.6.3 液晶を利用したエマルションの調製
3 最新の乳化・可溶化技術
3.1 ポリエーテル変性シリコーンによる化粧水
3.2 α‐ゲルを活用したエマルション
3.2.1 α-ゲルの生成と物性
3.2.2 保湿作用にすぐれたクリーム
3.3 ピッカリングエマルション
3.3.1 無機粉末を用いたエマルション
3.3.2 ソフトマターを用いたエマルション
3.4 液晶を用いた高内水相W/Oエマルション
3.5 ナノエマルション
3.5.1 分散法によるナノエマルション
3.5.2 凝集法によるナノエマルション
3.6 巨大エマルション
4 エマルションの評価方法
4.1 エマルションの物性評価方法
4.2 エマルションの構造解析
4.3 エマルションの経時安定性の評価
質疑応答