株式会社R&D支援センター

敗血症の病態/診断/治療の現状と医療現場が求める新薬像

2024/09/13

開催日 2025年1月30日(木)
開催地 Web


【開催日時】
2025年01月30日(木) 13:00~16:00

【講師】
和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座 教授 医学博士 井上 茂亮 氏
《ご専門》
 救急医学、集中治療医学
《ご略歴》
 平成12年3月 香川医科大学医学部医学科(現:香川大学医学部医学科)卒業
 平成12年4月 京都大学医学部附属病院 整形外科 研修医
 平成13年4月 浜松労災病院 整形外科 研修医
 平成14年4月 東海大学医学部附属病院 高度救命救急センター 臨床研修医
 平成20年3月 東海大学医学研究科博士課程 修了
 平成20年4月 米国セントルイス ワシントン大学医学部麻酔科 博士後研究者
 平成22年4月 東海大学医学部 専門診療学系 救命救急医学 講師
 平成23年1月 東海大学 創造科学技術研究機構 医学部門 講師
 平成26年5月 米国ヴァンダービルト大学医学部 臨床研究マスターコース(MSCI)修了
 平成27年4月 東海大学医学部付属八王子病院救急センター長
           外科学系 救命救急医学 専任准教授
 平成30年7月 神戸大学大学院医学研究科 外科系講座
           災害・救急医学分野 先進救命救急医学部門 特命教授
 令和5年10月 和歌山県立医科大学救急集中治療医学講座 教授、同病院高度救命センターセンター長
《学会等でのご活動》
 日本版敗血症診療ガイドライン2024作成委員
 日本救急医学会 用語委員会 委員長
 日本集中治療医学会 集中治療後症候群(PICS)対策・生活の質改善検討委員会 委員長
 日本集中治療医学会 ブランディング委員会 委員

【価格】
 非会員:  49,500円 (本体価格:45,000円)   会員:  46,200円 (本体価格:42,000円)
 会員(案内)登録していただいた場合、通常1名様申込で49,500円(税込)から
 ・1名で申込の場合、46,200円(税込)へ割引になります。
 ・2名同時申込で両名とも会員登録をしていただいた場合、計49,500円(2人目無料)です。

【趣旨】
敗血症の病態/診断/治療の最新知見を理解し、今後の新薬像を模索する。

【プログラム】
 1.敗血症の基礎・メカニズム・病態
  1.1 敗血症の定義と歴史的背景
   ・敗血症の定義の変遷(Sepsis-1からSepsis-3)
   ・敗血症と敗血症性ショックの違い
   ・敗血症の疫学と罹患率の動向
  1.2 敗血症の病態生理学
   ・免疫応答の異常:過剰な炎症反応と免疫抑制
   ・内皮細胞障害と血管透過性亢進
   ・臓器不全のメカニズム:多臓器不全症候群(MODS)の発展
  1.3 敗血症の原因微生物と感染経路
   ・細菌性敗血症:グラム陽性菌とグラム陰性菌
   ・真菌性敗血症とウイルス性敗血症
   ・日和見感染症とそのリスク因子
  1.4 敗血症のバイオマーカーと分子機構
   ・Procalcitonin (PCT)とC反応性タンパク(CRP)
   ・新たなバイオマーカーの探索
   ・宿主反応とゲノム解析による診断精度の向上
 2.敗血症の診断法
  2.1 迅速診断の重要性と現状
   ・早期診断が臨床転帰に与える影響
   ・現行の診断基準(SOFAスコア、qSOFA)
  2.2 画像診断の役割
   ・超音波検査とCTによる感染巣の特定
   ・画像診断の限界と今後の展望
  2.3 血液培養と微生物検査
   ・血液培養の感度と特異度
   ・PCRや次世代シーケンシング(NGS)による病原体同定
  2.4 新規診断技術の展望
   ・Point-of-care testing (POCT)の導入と利便性
   ・ナノテクノロジーを用いた診断技術
 3.敗血症の治療薬選定の考え方と薬物療法の実際
  3.1 抗菌薬の選定と耐性菌の問題
   ・Empiric therapyとde-escalation strategy
   ・多剤耐性菌の対策と新規抗菌薬
  3.2 免疫調節薬の役割
   ・ステロイドと免疫グロブリンの使用
   ・免疫チェックポイント阻害剤の可能性
  3.3 血液浄化療法と補助療法
   ・血液透析や血漿交換の適応
   ・バソプレッサーや輸液療法の最適化
  3.4 個別化医療と薬物相互作用
   ・薬物動態の個人差を考慮した治療
   ・複数薬剤の併用における相互作用の管理
 4.敗血症の診断・治療に関する最新動向と今後の診断・治療像
  4.1 次世代バイオマーカーの開発
   ・複数バイオマーカーの統合による診断精度向上
   -近年、敗血症診断において単一のバイオマーカーに依存することの限界が指摘されて
    います。例えば、プロカルシトニン(PCT)やC反応性タンパク(CRP)などの従来の
    バイオマーカーは、それぞれが持つ感度と特異度に限界があり、早期診断の精度を
    高めるためには複数のバイオマーカーを組み合わせたアプローチが
    注目されています。
    例えば、カルプロテクチンやアンフィレグリンなどの新規バイオマーカーが研究
    されており、これらを組み合わせることで診断の正確性を向上させる試みが
    進行中です。
    これにより、敗血症の早期発見やリスク層別化がより精緻に行えるようになると
    期待されています【1】。
   ・リキッドバイオプシー技術の応用
   -リキッドバイオプシーは、血液中に存在する循環腫瘍DNA(ctDNA)や
    エクソソーム、循環腫瘍細胞(CTC)を分析することで、非侵襲的に患者の状態を
    モニタリングできる技術です。
    敗血症においても、細胞外小胞(EVs)やミトコンドリアDNA(mtDNA)などが
    敗血症の病態進行に関連することが示されており、これらをリキッドバイオプシー
    技術を用いて解析することで、リアルタイムでの病態把握や治療効果の評価が可能と
    なる可能性があります。
    この技術は、治療の個別化を促進し、特定の患者集団に対する適切な治療選択を
    支援するツールとして期待されています【2】。
  4.2 ターゲット治療と精密医療
   ・免疫プロファイリングに基づく治療選択
   -敗血症は免疫応答の過剰や抑制による複雑な病態であり、患者ごとに異なる免疫状態
    を正確に把握することが治療の鍵となります。免疫プロファイリングとは、患者の
    免疫系の状態を詳細に分析し、特定の免疫反応や炎症経路を標的とする治療法を
    選択するアプローチです。
    例えば、サイトカインストームに対してはIL-6阻害剤やTNF阻害剤の使用が検討
    されることがあり、免疫抑制が著しい患者には免疫刺激剤の適用が考えられます。
    このように、患者個別の免疫プロファイルに基づいた治療選択が、精密医療の
    一環として期待されています【3】。
   ・新規分子標的薬の開発と臨床応用
   -敗血症治療において、分子標的薬の開発は新たな治療戦略として注目されています。
    具体例としては、TLR4(トール様受容体4)阻害剤やHMGB1(高移動度群ボックス1)
    阻害剤など、炎症を引き起こす分子を特異的にブロックする薬剤が研究されていま
    す。
    これらの薬剤は、従来の広範囲抗炎症薬とは異なり、特定の分子経路を狙い撃ちする
    ことで、副作用を抑えつつ治療効果を高める可能性があります。
    現在、いくつかの分子標的薬が臨床試験段階にあり、今後の臨床応用が
    期待されています【4】。
  4.3 再生医療と細胞治療の可能性
   ・幹細胞療法の現状と未来
   -幹細胞療法は、敗血症に伴う組織損傷や臓器不全を修復する可能性を秘めた
    治療法です。
    間葉系幹細胞(MSC)は、抗炎症作用や組織再生促進作用を持つことが
    示されており、敗血症患者への適用が研究されています。
    現時点では、動物モデルや初期の臨床試験で有望な結果が得られており、
    今後さらに大規模な臨床試験が行われる予定です。
    また、iPS細胞を利用した再生医療も、敗血症による臓器損傷の治療において
    将来的に重要な役割を果たすと考えられています【5】。
   ・細胞外小胞(エクソソーム)を用いた治療
   -細胞外小胞(エクソソーム)は、細胞間コミュニケーションを媒介する
    ナノサイズの粒子であり、抗炎症作用や組織修復作用を有することが
    知られています。
    エクソソームは、間葉系幹細胞由来のものが特に注目されており、これらを
    用いた治療が敗血症における新たなアプローチとして期待されています。
    エクソソーム療法は、幹細胞自体の移植に比べて安全性が高く、
    免疫拒絶反応のリスクが低いため、臨床応用の可能性が広がっています【6】。
  4.4 AIとビッグデータを活用した予測モデル
   ・AIによる早期診断と治療選択のサポート
   -人工知能(AI)は、大量のデータを解析する能力を持ち、敗血症の
    早期診断や治療選択において重要な役割を果たすと考えられています。
    AIアルゴリズムは、電子カルテやモニタリングデータを解析し、敗血症の
    リスクスコアを算出することで、臨床医に迅速かつ正確な診断を支援します。
    また、AIは個々の患者のデータに基づいて、最適な治療プランを提案する
    ことも可能であり、個別化医療の実現に向けた強力な
    ツールとなります【7】。
   ・ビッグデータ解析による予後予測モデルの構築
   -ビッグデータ解析を活用することで、敗血症患者の予後を予測するモデルを
    構築することが可能です。これには、患者の臨床データ、遺伝情報、
    バイオマーカー情報など、多次元データを統合して解析するアプローチが
    含まれます。これにより、特定の患者集団における予後を高精度で予測し、
    リスクに応じた治療戦略を立案することができます。
    さらに、ビッグデータを用いた予測モデルは、AIとの組み合わせにより、
    リアルタイムでの臨床支援にも応用可能です【8】。
  4.5 集中治療後症候群 (PICS) の予防と管理
   ・PICSの定義と臨床的意義
   ・敗血症患者におけるPICSの発症メカニズム
   ・精神的、身体的、認知的影響の長期管理
   ・PICSの予防戦略とリハビリテーションの重要性

【1】Schuetz, P., et al. (2017). Procalcitonin to guide antibiotic therapy in intensive care patients:
   a meta-analysis. The Lancet Infectious Diseases.
【2】Nautiyal, A., & Patidar, R. K. (2021). Liquid biopsy in sepsis: a novel approach for early
   diagnosis and monitoring. Critical Care.
【3】Pickkers, P., et al. (2018). Personalized medicine in sepsis: A comprehensive review.
   Clinical Pharmacology & Therapeutics.
【4】Opal, S. M., & van der Poll, T. (2021). Endotoxin-targeting therapies for the treatment
   of sepsis: a critical review. Clinical Infectious Diseases.
【5】Luk, F., et al. (2017). Mesenchymal stem cell therapy for sepsis: the scientific rationale.
   Journal of Cellular and Molecular Medicine.
【6】Zhou, Y., et al. (2020). The role of exosomes in therapy and diagnosis of sepsis.
   International Journal of Nanomedicine.
【7】Davies, J., et al. (2019). AI and machine learning in sepsis diagnosis, treatment,
   and prognosis. Journal of Critical Care.
【8】Vincent, J. L., et al. (2020). The future of sepsis research: integrating data,

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