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技術コラム:容器完全性試験ガイドラインUSP<1207>の概要を解説

登録日:2025/03/12

今後、容器完全性試験を実施する可能性がある無菌医薬品を開発・製造する製薬企業の方の参考のため、USP<1207>の概要を技術コラムとしてまとめました。

無菌医薬品の容器(包装)完全性とは、無菌製剤の容器包装が製剤の品質を維持するのに必要な微生物の侵入及び物質の出入りを防止する能力のことです。
容器完全性試験(CCIT:Container Closure Integrity Test)は、一次包装又は場合によって二次包装に対して、製剤の品質に影響を及ぼす微生物、反応性ガス及び他の物質からバリア機能を有することを確認するために実施されています。

CCITには、物理化学的手法で漏れを見つける漏れ試験、包装のシール部分の適格性を確認することで漏れが発生しないことを保証するシール試験、微生物学的手法で微生物に対するバリア性を確認する微生物チャレンジ試験があります。

漏れ試験は、定性的漏れ試験と定量的漏れ試験に分類されます。定性的漏れ試験は有用な漏れ検出手法ですが、その結果は不確実性を伴っているため、大きなサンプルサイズと厳しい試験条件管理が必要とされています。一方、定量的漏れ試験は、漏れに伴って生じる物理化学的な変化を定量的に評価する試験であり、最大許容漏れ限度を設定し管理します。
昨今では、決定的な容器完全性の検証として適していない定性的漏れ試験から、最大許容漏れ限度を設定し客観的なデータが得られる定量的漏れ試験へ移行しつつあります。

CCITのガイドラインには、日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格があります。
USPでは、「USP<1207> Package Integrity Evaluation—Sterile Products」が該当します。
この章では、包装完全性の概要が以下6項でまとめられています。
 
1.INTRODUCTION/イントロダクション
2.SCOPE/適用範囲
3.LEAK AND LEAKAGE RATE/漏れ及び漏れ率
4.CLOSURE TYPE AND MECHANICS/クロージャータイプとメカニズム
5.PRODUCT–PACKAGE QUALITY REQUIREMENTS AND THE MAXIMUM
6.ALLOWABLE LEAKAGE LIMIT/製品-包装品質の要求事項、及び最大許容漏れ限度
7.INHERENT PACKAGE INTEGRITY AND THE PACKAGE INTEGRITY PROFILE/固有の包装完全性、及び包装完全性プロファイル
 
詳細な推奨事項は、以下のサブチャプターで示されています。
●USP<1207.1>PACKAGE INTEGRITY TESTING IN THE PRODUCT LIFECYCLE—TEST METHOD SELECTION AND VALIDATION
(製品ライフサイクルにおける包装完全性試験―試験方法の選択及びバリデーション)
●USP<1207.2> PACKAGE INTEGRITY LEAK TEST TECHNOLOGIES
(包装完全性の漏れ試験技術)
●USP<1207.3> PACKAGE SEAL QUALITY TEST TECHNOLOGIES
(包装シール品質試験技術)
 
USP<1207.1>では、製品ライフサイクルの以下3つの段階の容器完全性試験の検証について示されています。
1.包装の開発、加工及び組立のバリデーション
2.製品の製造
3.市販製品の保存安定性の評価
 
また、漏れ試験法の選択基準、開発、バリデーションに関する情報も詳しくまとめられています。
 
USP<1207.2>では、漏れ試験の試験法の選択と適切な使用について示されています。
USPでは、漏れ試験は、とPROBABILISTIC LEAK TEST TECHNOLOGIES(定性的漏れ試験技術)とDETERMINISTIC LEAK TEST TECHNOLOGIES(定量的漏れ試験技術)に分類され、JPと同様に各試験法の具体例が挙げられています。
 
USP<1207.3>では、包装のシールの品質を評価・監視するために有用な試験法が簡潔にまとめられており、その選択と使用について示されています。
 
さらに詳しくは、「リリース元を見る」よりご覧ください。

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