内川 治 氏 / 略歴・講演主旨

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【略歴】
 ・1982年 九州大学 理学部化学科 卒業
 ・1984年 九州大学大学院 理学研究科 化学専攻 修士課程修了
 ・1984年 武田薬品工業株式会社 入社
 ・2011年 武田薬品工業株式会社 医薬研究本部 化学研究所 所長
 ・2017年 立命館大学 グローバルイノベーション研究機構 教授
 ・2018年 東和薬品株式会社 執行役員 原薬事業本部長
 ・2021年 大地化成株式会社 代表取締役会長(現任)
 ・2022年 Towa Pharma International Holdings, S.L. 取締役 / 3月
        東和薬品株式会社 上席執行役員 / 4月
 ・2023年 東和薬品株式会社 取締役(現任)

【演題】
 世界を揺るがすニトロソアミンとの攻防

【講演主旨】
 “発がん性が認められているニトロソジメチルアミン(NDMA)が薬剤に混入している” との報道(2018年)を耳にして約6年が経ち、現在はNDMA のような様々なニトロソアミン不純物の混入に留まらず、原薬を構成するアミン部分が直にニトロソ化されたNDSRIs(Nitrosamine drug substance related impurities)が全世界の製薬業界を揺るがしている。

 ニトロソアミン類の薬剤混入が話題に上がった当初は、「机上でNDMA 混入の回避策を講じることが可能ではないか?」 と考える向きもあったが、混入原因が多岐に渡っており、その波紋の全体像は未だに杳として知れない。リスク回避策は2つ、“混入ありきの許容摂取量(閾値)の設定” and/or “ ニトロソアミン類生成の根絶” である。弊社では、“ニトロソアミン類生成の根絶” を究極の目標に、製造工程(原薬、製剤)の見直しはもとより、各種ニトロソ化物質の特定や添加物の見直し、そして空気中の ppb(10 億分の1)レベルのNOx 濃度コントロールによる安心・安全な医薬品の安定供給の実現に向けた様々な取り組みを行ってきた。

 今こそ、産官学の区別なく一致団結してニトロソアミン問題に取り組み、地産地消(製造の国内回帰)を現実のものとする “日本の創薬力や技術力の維持、発展” を望みたい。“くすりづくり” には、今もなお様々な取り組みや技術の進歩が必要とされており、製薬業に携わる私たちは、最新技術の粋を極めた製品化を常に意識して邁進する姿勢を忘れてはならない。

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