櫻井 信豪 氏 / 略歴・講演主旨

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【略歴】
 ・1985年 東京理科大学大学院薬学研究科 修了(薬剤師)
 ・1985年 製薬企業勤務し、医薬品の研究・技術開発、品質管理、品質保証に携わる(19年間)
 ・2004年 PMDAにてGMP等の品質管理業務を担当(16年間)
 ・2020年 東京理科大学 薬学部 薬学科 医薬品等品質・GMP講座 教授

【演題】
 欧州のQualified Person資格とGMP人材育成

【講演主旨】
 日本の医薬品の品質保証体制は、製造業者及び製造販売業者の2段構えで品質を保証する重厚な体制であるが、昨今、様々な企業において品質問題が発覚している。その原因の1つに「経験者不足」が挙げられている。製造業者の製造所にはGMPを統括する医薬品製造管理者を1名配置する必要があるが、医薬品製造管理者の資格要件が薬剤師であるため、「薬剤師が採用できない」「育成が困難」などの理由でGMPに精通した薬剤師を確保することが困難になっている。

 現在の日本は、GMPに係る教育カリキュラムが薬剤師免許取得に必要な大学教育に組み込まれておらず、GMPに精通する薬剤師を各企業で育成している。一方、欧州連合は、医薬品の出荷の認証を行うQualified Person(QP)が欧州連合内の大学の薬学部等でQP資格に必要な教育を修得する。そのカリキュラムには、GMPや製薬技術に関する知識、及びレギュラトリーサイエンスに関する教育が組み込まれており、QPの資格制度とその人材育成システムが、実社会の製薬企業の品質保証活動に繋がる一貫性のある構図となっている。

 今回の講演では日本の医薬品品質保証体制における人材育成の課題の視点から欧州連合の Qualified Person 資格とGMP人材育成の仕組みを俯瞰し日本におけるGMP人材育成について述べる。

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