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連続フローテクノロジーによる初期開発の効率化
低分子医薬品の複雑化と高活性化に対応するための連続フローテクノロジーの活用

Lonza ┃ ロンザジャパン

ドミニク氏.png
Roberge Dominique 氏
Head of Advanced Chemistry Technologies, Lonza

 製薬業界では、低分子医薬品の複雑化ならびに高活性化が進む中大きな変革が起きている。メディシナルケミストリーの進歩により、より高度で、しばしば標的特異性の高い作用機序を持つ化合物の開発が進み、高い治療効果への期待が寄せられる一方、特に初期開発段階においては、迅速な反復と柔軟性が求められるため、従来の医薬品開発では見られなかった技術的課題が表れているのが現状だ。同時に、品質と安全性の高い基準を維持しながら、開発期間の短縮とコスト削減への圧力も高まっている。これらの傾向により、初期段階の医薬品開発はより難易度が増しており、既存のプロセスは現代の創薬の要求に対して硬直的で遅すぎる場合がある。
 従来、初期生産に用いられてきたバッチ製造は、この変化する環境においてボトルネックとなり得る。大規模かつ比較的単純な化合物を想定して設計されたバッチプロセスは、セットアップ、バリデーション、スケールアップに時間を要し、工程が断続的であるため非効率が生じる。このような停止と再開を繰り返す特性は、一部の初期開発プロジェクトにおいて求められるスピードと柔軟性への対応を困難にしている。

 

■連続フロー技術への移行

 近年、初期段階の医薬品開発においては、バッチ処理の制約を回避する手段として連続フロープロセスの活用が注目されている。連続フロープロセスとは、化学反応を個別のバッチではなく、連続的かつ安定した流れの中で行う製造手法で、反応物は継続的に系へ投入され、生成物は連続的に取り出されるため、プロセスは一定期間中断することなく運転可能であり、生産量は運転時間に依存する。これは、反応が段階的に行われ、バッチ間で生産が停止する従来のバッチプロセスとは対照的である。

 連続フロープロセスの重要な利点の1つは、小容量で運転することにより危険反応の制御性が向上し、リスクを低減できる点である。さらに、熱および物質移動の効率が高いため、反応はより迅速かつ均一に進行し、製品品質も向上する。そのため、有害または反応性の高い化学物質を扱う際には、安全性の観点から連続フローはバッチプロセスよりも優れている。また、いかなる条件においても、熱・物質移動の改善は反応速度と一貫性の向上につながり、結果として製品品質の向上をもたらす。

 さらに、より高圧条件での運転が可能であるため、ガスの溶解性や反応速度が向上し、気体反応物を用いるプロセスにも適している他、ダウンタイムの削減によるコスト効率向上や溶媒・エネルギー使用量の最小化などのメリットもある。

 加えて、連続フローは複雑な多段階合成にも適用可能であり、現代の医薬品製造において価値の高い手法となっている。ただし、バッチ生産と連続フローのいずれかが他方より優れているというわけではなく、それぞれに適した用途が存在する。例えば大量生産が目的で、かつ反応速度が遅い場合には、バッチ生産が依然として適している。一方、プロセス強化が重要な場合には、連続フローが大きな利点を持つ。

 

■ミニモノプラント技術

 Lonzaでは、連続フロープロセスを初期開発段階に統合し、前臨床から第III相試験に至るまで化学プロセスの最適化を可能にしている。同社はこれまでに50件以上の顧客プロジェクトを成功裏に完了し、科学者らは50報以上の査読論文に貢献している。

 その一例として、「ミニモノプラント」技術の可能性を示した論文がある[1]。この技術は、連続フローを活用して、ラボスケールから商業生産に至るまで一貫した高効率な医薬品製造プロセスを構築するものだ。ミニモノプラントとは、単一製品の製造に特化した小規模生産施設である。「ミニ」は、連続処理や先進的なリアクター技術、小規模設備によるプロセス強化を意味し、「モノ」は単一製品専用であることを示す。これにはバッチ・フローのいずれの方式も含まれ、高度な自動化およびリアルタイム放出試験が導入される。単一製品に特化することで、生産の迅速化とコスト削減が可能となり、市場ニーズへの迅速な対応が実現する。ミニモノプラントの目的は、複雑で高活性、需要が比較的少なく専門性の高い医薬品に対して、市場投入までの期間を短縮しつつ対応することである。

 論文では、ミニモノプラントの主な利点として以下の3点が挙げられている。
1.ラボスケールで最適なプロセスを開発可能であり、新規合成経路により安全性、持続可能性、収率が向上する。
2.スケールアップを簡素化することで開発期間および市場投入までの時間を短縮できる。ラボスケールのプロセスがそのまま製造プロセスとなり、必要に応じて幾何学的スケールアップ手法により拡張可能である。
3.単一製品の連続生産に特化した設備とすることで、設備投資および運転コストの削減が可能となる。これにより生産性が向上し、設備規模の縮小および多目的プラントで必要な切替工程の削減が実現する。

 下記のには、モジュール構造で構築されたリアクターが示されている。反応はまずマイクロリアクター(FlowPlate®テクノロジー)で行われ、発熱反応に対応し、その後カップリング反応のために静的混合リアクターで完結する。第2反応は断熱条件で運転される。
 

図.png

 

■ノウハウの重要性

 Lonzaは、長年にわたり連続フロー製造の専門知識を蓄積してきた。この経験により、閉塞や長期安定性といったフロープロセス特有の問題を迅速に解決し、開発スケジュールへの影響を最小限に抑えることが可能である。

 同社には専任チームが存在し、顧客の連続フロープロジェクトを支援するとともに、この分野に特化した4つの研究施設を有している。また、プレート型、シェル&チューブ型、コイル型、電気化学反応など、多様なリアクター技術にアクセス可能である。

 さらに、複雑な原薬(API)を扱う初期開発において、顧客を支援するためのサービスも提供している。その1つが、AIを活用した合成経路探索(ルートスカウティング)である。これは、プロセス化学者が最適な合成ルートを設計するのを支援するものであり、予測的および解析的なケモインフォマティクスを活用する。AI技術は、インシリコ逆合成、サプライチェーン解析、プロセス研究開発評価を支え、大規模データセットを基盤としている。これにより、複数の合成経路の自動生成および比較が可能となり、開発プロセスにおける効率と意思決定の質が向上する。

 これらすべてのツールを統合したサービスにより、Lonzaは技術力、設備能力、エンジニアリングソリューションを活用してリスクと投資を管理する手段を提供している。その結果、安全性、持続可能性、収率を向上させつつ、一貫したスケールアップを実現する製造プロセスが構築される。

参考文献
[1]Doyle BJ.; Petteri Elsner P.; Gutmann B.; et al. Mini-Monoplant Technologyfor Pharmaceutical Manufacturing Organic Process Research
 

■Lonzaの低分子医薬品サービスについてはこちらから

 


■お問い合わせ
ロンザジャパン株式会社
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-1-14 日本橋加藤ビルディング 9F
TEL:03-6264-7630(代表)
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