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中外製薬工業株式会社のデータインテグリティ対応の取り組み
「書く」という感覚はそのままに
― 紙から電子へのスムーズな移行を実現した❝PDF化❞という選択

スカイコム

 製薬工場において、データインテグリティ(DI)への対応として記録などのデジタル化が進められているが、その一方で手書きの記録からの移行に難しさを感じている企業も少なくない。そうしたなか、中外製薬工業株式会社では株式会社スカイコムが提供する『SkyPAS』を活用し、記録書様式などをPDF化することによって紙から電子へのスムーズな移行を実現した。『SkyPAS』導入を主導したデジタルエンジニアリング部IT開発グループの中田雅大氏と、生産QA部品質システム1グループの宮崎礼子氏に話を聞いた。
 

■スムーズに対応できる電子化の形とは?

 中外製薬工業株式会社は、中外製薬グループのなかで生産機能を担っている。中外製薬株式会社から受け取った治験薬や製品の製法プロセスをもとに、実際に工場で生産できる方法・仕組みを構築するという、いわば“開発型工場”ともいえる役割を果たす。2006年に設立され、現在、浮間工場、宇都宮工場、藤枝工場の3拠点を展開し、約1,500人の従業員が在籍する。

 『SkyPAS』導入前は、3拠点合わせて約8,000種類ある標準作業手順書(SOP)に付帯する、4,000を超える様式の帳票を、すべて紙ベースで運用していた。これらの文書や記録は、GMP遵守のため数年~数十年間保管する必要がある。そのため、広大な保管スペースが必要であり、社内に収まりきらない分は社外に倉庫を借りて保管しているという。膨大な数のファイルを管理する作業も発生していた。

 そうしたなか、世界的にデータインテグリティ(DI)関連の問題が増加していたことから、次々と規制が強化され、「手書きの記録書は誰でも簡単に改ざんできる」という見方が広がってきていた。この流れを受け、中外製薬工業でも記録の電子化を、より一層力を入れて進めることとなった。

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デジタル化を推進する中田氏

 電子化の形として中田氏が着目したのは、『PDF+タブレット+電子ペン』というスタイルだ。「さまざまなスタッフがいる製造や試験、点検を行う現場でスムーズに受け入れてもらうためには、記録書をタブレットに、ボールペンを電子ペンに持ち替え、“書く”という動作はそのままにデジタル化を進められる形が最適だと考えていました」(中田氏)。

 また宮崎氏は、「PDFであれば、従来WordやExcelで作成しプリントアウトしていた記録様式をそのまま電子化できると考えました。MESやLIMSを利用するという方法もありますが、そのためには新たなマスターファイルや入力フォームを作成する必要があり、かなりの工数を要することが予想されました」と、導入の簡便さを重視した結果、PDF化という選択に至ったことを説明した。

 

■医薬品業界が求める機能を搭載した『SkyPAS』

 PDF製品は各社からさまざまなものが提供されているが、医薬品製造に必要な機能を満たしながら、『PDF+タブレット+電子ペン』というスタイルを実現できる製品はなかなか見つからなかったという。「一般的に、電子ペンは書いた内容を簡単に消せて、すぐに書き直せるのがメリットですが、医薬品製造に使うには、改ざん防止のため、“消せない”と“誰が書いたのか特定できる”という要件を満たすことが必要です。しかし、そのような製品は見つかりませんでした」(中田氏)。

 そうしたなか、中田氏は同僚からの紹介で『SkyPAS』を知り、スカイコムに相談することとなった。『SkyPAS』も最初から医薬品製造に必要な機能を備えていたわけではなかったが、要望を伝え相談を重ねるうちに、「ここと組めば大丈夫」と思うようになり、採用を決めたのだという。中田氏は当時を振り返り、「われわれの要望に対し、“こうすればできる”と、非常に前向きに提案してくれました」と、そのときの印象を語った。

 当時、中田氏が要求していた主な機能は、旧版のSOP様式を使用しないようにするための旧版チェック機能、記録の改ざんを防止する機能、監査証跡を確保するための機能といったものだ。これらの機能は、中外製薬工業が独自に求めているものというよりは、医薬品業界における一般的なニーズと捉えられる。そのため、これらの機能を『SkyPAS』に盛り込む際、カスタマイズとしてではなく、あくまでも医薬品業界のニーズを満たすための標準機能として搭載されることとなった。

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タブレットを操作する宮崎氏

 また、中田氏はシステムの導入からリタイアメントまで、ライフサイクル全体を見据えた際も『SkyPAS』が最適だと考えていたという。

 「ほかのシステムを導入した場合、例えばリタイアメントするときに、そのシステムで記録したデータをどう残すのかという問題が発生するわけです。『SkyPAS』であれば、記録を監査証跡とともに改ざんできないPDFで出力できるため、そのままアーカイブできます。また、PDFは国際標準として広く普及しているので、余程のことがない限り開けなくなるということはない。そうしたこともメリットと考えました」(中田氏)。

 

■さまざまな面で大きな効果。査察対応に安心感も

 現場への導入は、浮間工場の一部の業務で、ユーザー数も約400人に絞るというスモールスタートで始められた。「小規模で使ってみて出てきた課題をつぶしてから全体に広げたかったからです。実際、初期導入時のトラブルはスカイコムのサポートもあり早期に解決でき、大規模なシステムトラブルにつながらずに済みました。現場からは、電子化に伴う業務変更など、運用面に関する問い合わせはありましたが、使い方がわからないという声はほぼありませんでした」(中田氏)。2021年9月のスモールスタートから4か月後には3拠点全体への展開を果たすこととなった。現在、ユーザー数はさらに増え、協力会社などのユーザーも含めると2,000人を超えているという。

 『SkyPAS』の導入は、さまざまな面で大きな効果をもたらした。中田氏はマネジメント目線でのメリットとして、工数削減の効果を挙げた。「紙の記録を管理するためのファイリング作業などにかかる工数や、旧版の様式を使用してしまった際の逸脱対応にかかる工数もゼロになりました」(中田氏)。

 宮崎氏は現場目線から、「紙で運用していたときには紛失などのリスクが付き物でしたが、そのリスクがなくなりました。また、紙の場合は旧版のSOP様式を気づかずに使用してしまう可能性を否定できませんでしたが、旧版チェック機能により、常に最新版を使用できているという安心感をもつことができるようになりました」と、紙で運用していたときに抱えていた不安から解放されたことを紹介した。さらに、このことは査察時のメリットにもつながるという。

 「書類の紛失や旧版使用は逸脱として調査・対応が必要ですが、そうした逸脱が発生しえないシステムを導入することで、査察の際に文書を管理するクオリティシステムがしっかりしていることをアピールできます。また、査察では説明のために必要な書類をすぐに提示できるように準備する必要がありますが、紙の場合はその準備に多大な時間と手間がかかっていました。PDFは検索性が高いので、準備も楽ですし、説明を求められてから必要な書類を慌てて探すこともありません。こうしたことによって、査察官の心証もよくなります」(宮崎氏)。

 このほか、上長の署名が必要な際に広い工場内を移動することなく画面上の申請だけで済むようになったこと、保管スペースを拡大する必要がなくなったこと、記録書のサイン欄が小さくても画面上で拡大して書き込めること、過去の記録をその場で参照できるため記入例として活用できること、在宅勤務が可能になり働き方が変わったことなど、数えきれないほどの効果を実感しているという。

 こうした効果は数字としても表れている。中外製薬工業の試算によると、2022年の1年間で、作業時間については約15,000時間の削減効果が認められたほか、削減できた紙の量は420,000枚以上となり、コスト削減や環境負荷低減の効果も実感しているという。

 現在、運用するなかでいくつか課題も出てきているというが、今後それらを解消しながら『SkyPAS』活用の幅をさらに広げていく方針だ。
 

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■お問い合わせ
株式会社スカイコム
〒101-0023 東京都千代田区神田松永町19 秋葉原ビルディング10F
TEL:03-5289-0788
URL:https://www.skycom.jp/

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