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医薬品の航空輸送品質確保のためにすべきこと
ANA Cargoによるハード/ソフト両面でのアプローチ
ANA Cargo
医薬品の輸送時品質確保の重要性が高まっている。その背景には、2018年12月に日本版GDPガイドラインが発出され、国内でも規制整備されたことに加え、昨今のビジネス環境の変化もある。バイオ医薬品をはじめ厳密な温度管理が必要な製品が増加し、また、グローバル化に伴うサプライチェーンの複雑化などの要因が考えられる。
本稿では、グローバル流通に詳しい株式会社ANA Cargo グローバルマーケティング部の後藤知也氏に、輸送手段の1つとなる航空輸送において、品質確保への取り組みがどのように行われているか聞いた。
■温度管理を要する製品で月間数十トン単位の輸送実績
一口に医薬品と言っても、通常貨物同様の温度帯で輸送される製品もあれば、2~8℃、15~20℃と管理温度帯が厳密に指定されるなどさまざまである。同社では、日常的に多様な医薬品の航空輸送を行っているが、温度管理が求められる品目に限っても取扱い量は月間数十トン単位にのぼるという。
「一般的に厳密な温度管理が必要とされる製品の航空輸送では、Envirotainer社製コンテナを用いることが多いです。当社では、同コンテナでの医薬品輸送量は月間数十トンほどになり、その半分以上をヨーロッパからの輸入品が占めています」と後藤氏。
アジアや米国にもネットワークを広げている同社だが、特にマーケットが大きいヨーロッパからの輸送量が多いのは、同社がベルギー(ブリュッセル)と日本(成田)を結ぶ唯一の直行便を就航させていることも要因の1つだ。直行便は、輸送時間を短縮できるのみならず、品質への影響を考えてもメリットが大きい。
「温度管理という観点で見ると、影響が出やすいのは外気にさらされるタイミングです。直行便であれば、経由地での積み替え作業が発生しないため、温度逸脱の危険因子を減らすことができるのも利点です」と後藤氏はメリットを挙げる。
■日本の航空会社初となる国際認証を取得
ヨーロッパからの直行便というネットワーク上の強みも活かしながら、これまで継続的に輸送実績を積み重ねてきたが、18年夏頃から医薬品の輸送量が前年比約2倍にまで増加しているという。そのキーポイントになっているのが“IATA CEIV Pharma認証”の取得である。IATA CEIV Pharma認証とは、国際航空運送協会(IATA)が策定した国際認証で、EUやWHOのGDPを包括的に網羅し、医薬品の航空輸送品質を確保するための基準として航空業界で知られるものだ。同社は17年10月、日本の航空会社として初めて、同認証を成田空港で取得した(図1)。
「認証取得準備を16年度からはじめ、1年以上かけて取り組んだ末に認証を取得しました。GDPは欧州ではすでに法制化されていましたが、当時国内でもGDPへの取り組み要求が高まってきたこともあり、航空会社として他に先んじてGDPと関連性のあるIATA CEIV Pharma認証を取得し、オペレーションを国際水準に近づけようとしたのが認証取得のきっかけです。認証取得には約250の監査項目をクリアすることが求められますが、特に重要視されるのはハンドリングの規定が文書化されていることです。当時国内の貨物業界では、ある種“職人技”で日本ならではの高い輸送品質を維持していた部分もありますが、当社では認証取得にあたって1つひとつ作業を文書化することで、ハンドリングのレベルを平準化することができました」と後藤氏は経緯を振り返る。
GMPにおいても、そしてGDPでも「文書化すること」は、業務の信頼性を支える根幹ともいえるので、日常的に品質を保証するために必須だ。航空輸送時のハンドリングにおいても、この根幹部分を押さえているという点は同社の大きな強みである。
■「ただ温度を管理すればいいのではない」医薬品に特化したサービスを展開
成田空港でのIATA CEIV Pharma認証取得に伴い、文書化の徹底など運用面が強化された同社では、19年8月頃をめどに、これまで積み上げた実績とノウハウを基に既存商品を再編、『PRIO PHARMA』および『PRIO TEMP』などの新たなサービスを提供する予定だ。
『PRIO TEMP』は、⽣鮮品や冷凍品、化学品といった温度管理が必要な貨物に幅広く対応するサービスで、ドライアイスや充電式コンプレッサー、特殊蓄冷材から、要望に沿った温度管理⽅式が選択できるというもの。『PRIO PHARMA』は、文字通り医薬品に特化したサービスで、図2に示す3つのポイントがある。
「まず1つ目のポイントとして、医薬品業界でニーズの高い2~8℃、15~25℃などの指定温度管理が可能で、通常の輸送範囲であれば100時間程度管理可能な長時間対応コンテナを使用しています。輸送経由地がある場合や予定外に貨物が止まってしまったときも100時間ほどあればリカバリー可能なので、長時間維持できるというのは利点だと思います。
次に、輸送量に応じて利用可能な小口ボックスも特長です。医薬品は必ずしも大きなロットで出荷されるわけではなく、治験薬では輸送量が少なくなることもあります。小口輸送のためにコンテナを一台使用するとコストバランスが悪くなるので、温度管理可能で約100時間の長時間管理対応の小口ボックスを使用することで、適正価格で高い品質を確保するサービスの提供が可能です。
3つ目が、医薬品専用のハンドリングです。例えば、航空輸送で温度逸脱が発生するのは、多くが上屋から飛行機に移動する間なので、コンテナで温度管理をしたうえで輸送機までの搬送時間を短くするようにしています。IATA CEIV Pharma認証では、この搬送時間が90分以内と定められていますが、当社が認証を取得している成田空港以外でも、極力搬送時間を短くし、直射日光を避けるというハンドリングを行い、直射日光にさらされる時間を低減するオペレーションになっています」(後藤氏)。
同社が紹介してくれたように、すでに実績のあるサービスを統合・再編することで、医薬品に特化した“高品質航空輸送”を実現するという取り組みは、輸送品質確保の重要性が高まる中で、今後、さらに注目されるサービスになるだろう。
■今回、ご紹介しました「PRIO PHARMA」などの新しいサービスにつきましては、第21回インターフェックスジャパン(2019年7月3日~5日)の展示ブースにてご案内致します。是非、お立ち寄りください。
●ANA Cargo 展示ブース:物流・搬送ゾーン ブースNo.W11-56
【お問い合わせ】
株式会社ANA Cargo
〒105-7140 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
問合窓口:https://ana-cargo.jp/public/application/add/30
URL:https://www.anacargo.jp/ja/int/service/cool_pharma.html