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データ主導の品質管理への道
Veeva Japan

先進的な品質部門では、データを活用して高度な自動化を推進し、従来の受け身の姿勢からプロアクティブ、さらには将来を見据えた戦略実行組織へと移行しつつあります。多くの企業にとって、現在の優先事項はシステムやプロセスを横断してデータを連携させ、可視化、制御、意思決定の質を向上させることです。しかし、多くの企業が改革を進める中、「理想とする姿にはまだ道半ばである」というのが共通の認識ではないでしょうか。
※著者:Veeva Japan 株式会社 Director, Japan Quality Strategy 嶋原 恵美(写真)
データ主導の品質管理を実現するために大前提となるのが「デジタル成熟度」です。しかし、現実にはサイロ化したシステム、拠点ごとに異なる独自の業務プロセス、そして複数のシステムや紙媒体に散在する「死蔵データ」が、その実現の足かせとなっています。各社はそれぞれ、自社固有の複雑な阻害要因に対処しなければなりません。
一方で、デジタル化を先行して進める企業は、すでにその恩恵を享受しています。例えば、Sanofi社では、システム上でデータインテグリティ(データの信頼性)が担保され、必要な情報が部門をまたいで瞬時に確認できるようになったことで、逸脱処理の60%を優先的かつ迅速にクローズできるようになりました。
また、Neuraxpharm社は、プラットフォームを1つに統合することで、欧州にある23の関連会社で高い品質基準の維持と連携強化を実現しています。
手作業によるデータ入力は、ヒューマンエラーや複数バージョンの乱立、データの不整合を招きます。これに対し、データ主導の品質管理では、組織全体でプロセスとデータが標準化されるため、情報の精度と信頼性が向上します。例えば、プロセス全体を可視化することで、変更管理において品質部門と薬事部門間が連携する際に発生しがちなボトルネックを解消することができます。
■データ主導の品質管理に向けた5つのステップ
データを構造化・標準化することで、レポーティングやダッシュボードの機能が向上し、より精高精度なトレンド予測が可能になります。品質管理部門のリーダーは、抜本的なデータクレンジング・プロジェクトを自ら牽引することで、リスクを先読みし、リソースを効率的かつ重点的に配分できるようになります。
1.組織全体でのプロセスの簡素化と標準化
プロセスを過度にカスタマイズせず、業界標準に合わせることで、システムの導入時間が短縮され、業務効率が向上します。幅広い顧客基盤と多様なニーズを持つCDMOのRecipharm社は、14の施設で異なっていたプロセスを業界標準へ統一したことで、リードタイムの短縮やコラボレーション体制の改善、顧客価値の向上を実現しました。
2.適正なデータに基づく、適切な意思決定
以前は、多くの品質管理部門で、Excelへのデータ手入力や他システムと連携していない独立したシステムから分析・報告用の情報をまとめていたため、データインテグリティ(データの信頼性)に欠けていました。しかし、一元化されたプラットフォームを導入すれば、単一の情報源から部門横断的な意思決定に必要な正確な製品データを取得できます。
例えば、同じプラットフォーム上で品質部門と薬事部門を連携させている企業は、データに基づく変更管理によって、より優れた影響評価と製品上市スピード短縮というの恩恵を受けています。
3.より効果的な業界コラボレーション
多くの品質部門は、サプライヤー、パートナー、顧客との間で、規制を遵守しつつ効率的にコラボレーションを行う方法を見直しています。メールや添付ファイルのやりとりは、セキュリティ上の懸念に加え、追跡性に欠けるため、情報共有の手段としては敬遠されつつあります。規制要件に対応した品質コンテンツ管理ソリューションを導入すれば、企業とパートナーは品質関連の契約書やバッチ関連ドキュメントの作成から共同レビュー、承認に至るまでの一連の作業を安全な環境で実施できます。希少疾患に特化したCDMOであるForge Biologics社は、この仕組みによりドキュメントのレビューと承認サイクル回数削減し、クライアント体験を向上させました。
4.バッチリリースの飛躍的な加速
品質保証の責任者や出荷判定担当者にとってレビューをスムーズに完了できる環境とは、逸脱、変更管理、登録情報、試験データ、バッチドキュメント、さらにはERPや第三者システムの関連情報など、すべてのバッチ情報が一元化され、リアルタイムでアクセスできる状態を指します。意思決定の根拠となるソースデータまで追跡できれば、市場出荷の判断を遅らせる最大の要因である「不確実性」を取り除くことができます。これにより、規制当局(HA)の承認がシステム上で確認できた時点で、即座にバッチをリリース(出荷)することが可能になります。
5.品質管理の変革を確実にする稟議書のポイント
説得力のある投資対効果を示すことで、品質改革の目的と解決すべき経営課題が明確になり、それらを確実な業務改善へと結びつけることができます。例えば、品質管理(QC)ラボにおけるレガシーシステムや特定のベンダーへの依存が、どれほど機会損失を産んでいるのか?今システム刷新に踏み切ることで、新製品ローンチを支えるラボがどのように進化できるのか?新しい仕組みを現場に定着させるには、適切な意識改革やフォローアップが欠かせません。そのため稟議書には、組織横断的な業務改革と新しい働き方を推進する『旗振り役』を誰が担うのかを明確にする必要があります。
デジタル化への投資を進め、データ主導の品質管理の実現を志す製薬企業が見据えるべき目的は、単なるシステム刷新にとどまらない「事業全体の抜本的な変革」です。業務プロセスの合理化とデータの標準化によって、バリューチェーン全体にわたる劇的な業務効率の向上が実現します。こうした取り組みこそが「予見的な品質管理」を実現するための不可欠な基盤となり、ひいては患者さんの安全を第一に考えた、より強固なリスク管理へと直結します。
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