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創立70 周年を契機に新たな成長ステージへ
新設の蔵王第二工場を核に、高薬理活性注射剤製造とCDMO事業を強化
コーアイセイ

2026年10月に創立70周年を迎えるコーアイセイは、自社の強みである注射剤の製造能力拡大とその技術力を生かしたCDMO事業強化を推し進めている。6月には、主力生産拠点である蔵王工場に『蔵王第二工場』を竣工。2027年7月の稼働開始を見込んでいる同社は、5月20~22日に幕張メッセで行われたインターフェックスWeek(第1回 CMO/CDMO EXPO)のブースセミナーで、改めて今後の展開や強みについて紹介した。
本稿では、その内容を基に、コーアイセイがもつ競争力の源泉に迫る。
■プレフィルドシリンジ(PFS)製剤の需要が増加
コーアイセイは1956年、山形県医師会の要望を受けて設立された「山形県医師製薬株式会社」を起源とし、現在はコーア商事ホールディングスグループの一員として、医薬品原薬商社のコーア商事や包装受託を担うコーアバイオテックベイなどと連携しながら事業を展開している。
ブースセミナーで、同社の歩みや事業の強みなどを包括的に説明した人事本部 広報担当 課長の鈴木瞳氏は、冒頭で「医薬品が必要な人を誰一人取り残さない社会の実現を目指し、日々事業活動に取り組んでいる」と創立当時からの理念を説明。その上で、高薬理活性注射剤分野における同社のCDMO事業の強みなどについて紹介し、「特に近年は、プレフィルドシリンジ(PFS)製剤市場の成長を背景に、製造体制の強化を進めている」と語った。
PFS 製剤は、シリンジの中に所定の投与量の薬液を充填した注射製剤で近年、需要が拡大している剤形の1つだ。背景には、医療現場の負担軽減や安全性向上への期待がある。
「針刺し事故防止や薬剤準備時間の短縮による効率化など、医療現場の負担軽減につながることが利点で、加えて投与ミスの削減や無菌性確保による感染リスク低減といったメリットもある。在宅医療の普及やバイオ医薬品の拡大に伴い、自己注射ニーズが増加していることも市場成長を後押ししている」(鈴木氏)。
こうした動向を踏まえ、同社ではPFS 製剤を重点領域として位置付け、製造能力の拡大に乗り出している。
■市場ニーズに応える新拠点、“蔵王第二工場”
同社におけるPFS製剤の製造能力強化で中核を担うのが、2026年6月に竣工した蔵王第二工場である。鈴木氏は「蔵王第二工場ではPFS製剤に特化し、大量生産に対応可能な体制を整えている」とし、年間1,200万本以上の生産能力を有することを明かした。既存の蔵王第一工場では、PFS 製剤に加え、バイアル液剤やバイアル凍結乾燥製剤など、多様な剤形に対応。蔵王第一工場では少量多品種生産に柔軟に対応し、第二工場では大量生産を担うことで、より強固な供給体制を構築していくという。
また、ブースセミナー後に鈴木氏とともに本誌の取材に応じた生産本部 品質管理部 品質管理課 次長の河合裕之氏は、今般の生産能力強化について、「当社の主力製品である透析患者向けの注射剤の需要増も蔵王第二工場建設の背景にある。新規透析患者自体は減少傾向にあるものの、医療の進歩で透析期間が長期化しており、長く使われ続ける製品であるからこそ、安定供給は至上命題とも言える。大量生産に対応可能な蔵王第二工場が新たにできたことで、自社製品のより柔軟で安定した供給体制を構築することができる。またCDMOとして製造を受託することによって、さまざまな薬剤を市場へ供給することの支援にもつながる」と補足した。
今後、蔵王第二工場では、顧客に向けた工場見学なども予定されているという。


■高い技術力で高薬理活性対応
開発初期段階からの柔軟な支援も
剤形としてのPFS需要増加がトピックとなる一方で、近年は高薬理活性注射剤が増えていることも製薬業界での課題となっている。高薬理活性注射剤は、高度な封じ込め技術や設備投資が必要で、製造委託先の選定も容易ではないためだ。
鈴木氏は「高薬理活性製剤の製造には、高度な技術が必要であり、設備投資維持にも莫大なコストがかかる。開発段階から商用生産まで、シームレスに対応できる委託先が限られていることも課題」と指摘した。
こうした課題に対し、CDMO事業を推進している同社では“開発から商用生産までを一貫して支援するワンストップ体制”を強みとして打ち出している。鈴木氏は「開発初期段階からの処方検討や試作製造、治験薬製造から商用生産へのスムーズな移行まで対応し、顧客をサポートしていく」と説明。製造基盤については、高薬理活性製剤に対応した設備を整備し、カテゴリー5(OEL<0.1 μg/m³)まで対応可能な封じ込め技術を保有している。
さらに、PFSとバイアルの両製造ラインを有し、少量多品種から大量生産まで柔軟に対応できる点も特長となっている。
「複雑な製造プロセスを統合管理し、リスク低減を実現できる点が当社の特長である。単なる受託製造にとどまらず、技術的課題の解決や柔軟な製造計画の提案を通じて、顧客との信頼関係構築に取り組んでいる」と鈴木氏は、“伴走型パートナーシップ”を重視している点も強調する。
こうした強みを生かし、同社は過去3年間で7社から計8製剤のCDMO案件を受託している実績を持つ。治験薬から商用生産まで、処方検討やリスクヘッジを含めた最適なプロセスを提案することに加え、長年の技術蓄積に基づいて、難易度の高い製剤開発を成功へと導いてきた取り組みが、市場に評価されていることを示す数字だと言えるだろう。
「現在も継続的に案件依頼があり、技術力や対応力を評価いただいている。少量試作への対応や市場ニーズに応じた剤形変更提案など、開発初期から相談いただける体制を整備している。『まだ詳細が決まっていない』、『技術的に難しいかもしれない』といった段階からでも気軽に相談してほしい」(鈴木氏)。
河合氏は「開発初期から商用化まで、“まかせられる”CDMOとして、顧客の開発を成功へ導くパートナーでありたいと考えている。新たに蔵王第二工場がこれから稼働していくことで、よりそのサポート体制を強化していきたい」とCDMO事業について述べた。
創立70周年を迎え、これまで積み上げてきた実績と技術力を礎に、さらなる生産能力強化と企業成長をめざすコーアイセイの姿勢が、今回のインターフェックスWeekで垣間見えた。
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