ファームテクジャパン 2026年3月号 紹介
ニトロソアミン問題を「流れ」で確認 自主点検から“継続管理”へ

 PHARM TECH JAPAN2026年3月号では、特集「ニトロソアミン問題の振り返りと今後の展開」を掲載しています。このなかから、厚労省にご寄稿いただいた「ニトロソアミン問題:これまでの経過と今後についての考察」の内容を紹介します。


発端はサルタン、波及は多品目へ 問題の全体像

 近年、サルタン系、ラニチジン/ニザチジン、メトホルミン等で発がん性が懸念されるニトロソアミン類が検出され、自主回収に至った事例が相次ぎました。ニトロソアミン類はアミン類と亜硝酸塩等の反応で生成し得る不純物で、許容摂取量が数十ng/日レベルと厳格に設定されるものもあります。本稿は、2018年のサルタン系(NDMA検出)を起点に、国内での対応の流れを時系列で整理し、混入原因が「合成過程」「交叉汚染」「回収溶媒・試薬」「包装資材」「保存時生成」など多岐にわたるため、特定品目に限らず“広く起こり得る課題”であることを示します。
 

自主点検の要点 リスク評価・実測・低減の3本柱

 国内では2021年10月に自主点検通知が発出され、ニトロソアミン混入リスクが高い品目について、①既知の混入原因を踏まえたリスク評価、②リスクがある品目の実測、③限度値超過時の規格設定・製造方法変更などリスク低減措置、という3つの実施事項が示されました。既知ニトロソアミンの許容摂取量も整理され、実務に直結する参照情報が掲載されています。一方で、添加剤中の極微量亜硝酸塩由来の生成や、NDSRIs(原薬関連ニトロソアミン)への対応など新知見が増え、測定系確立や標準物質入手に課題が生じたことから、期限延長や薬事手続の整理へと進んだ経緯も解説します。
 

“回収一辺倒”ではない——暫定管理値とリスクコミュニケーション

 自主点検が進む中で、限度値超過が直ちに回収につながると安定供給に影響し、結果として医療上の不利益が大きいケースが顕在化しました。シタグリプチンでは、患者が自己判断で中止する危険性も踏まえ、継続使用の考え方を周知。ノルトリプチリンでは離脱症状等のリスクを踏まえ、当面回収せず暫定管理値での管理へ。アトモキセチンでは供給逼迫も背景に、許容摂取量より緩めた暫定管理値での管理を認めるなど、患者安全と供給の両立を図る“現実解”が示されます。さらに、毒性データが乏しいNDSRIsへの限度値設定として、EMAのCPCAを用いたアプローチの導入、そして2024年6月公表のリスクコミュニケーションガイダンスにより、医療現場等への情報提供項目の類型化と連携方法を整備した点は重要です。結びでは、自主点検を「期限で終える」のではなく、新規承認・製造変更・新知見の都度リスクを評価し管理する“継続的対応”へ移行する方針を示し、今後も国際連携の下で必要な措置を検討するとしています。

見どころ

  • 国内対応のタイムラインを俯瞰:2018年サルタンを起点に、複数品目へ広がった対応を通史で整理。
  • 自主点検の“3本柱”が明確:リスク評価・実測・低減措置の実務要件を具体化。
  • NDSRIs・添加剤由来など新課題:期限延長や薬事手続整理に至った背景が理解できる。
  • 暫定管理値とリスクコミュニケーション:供給と患者安全の両立に向けた判断枠組み(CPCA、ガイダンス)を整理。
  • “期限で終わらない”継続管理へ:新規承認・製造変更・新知見の都度評価という今後の基本方針を提示。
     

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