ファームテクジャパン 2025年12月号 紹介
EHSは“コスト”ではなく価値—法令遵守から戦略へ
PHARM TECH JAPAN 2025年12月号・特集「作業者の安全を守る 医薬品製造現場の安全衛生」の「製薬業界におけるEHSマネジメント 法令遵守から企業価値向上へ」の内容を紹介します。
●EHSを経営の中核へ—製薬に求められる「安全・健康・環境」の再設計
EHS(Environment/Health/Safety)は、単なる順守事項ではなく、品質と安定供給、そして企業価値を底上げする戦略領域です。研究・製造・流通の全工程でリスクを可視化し、労働災害や環境負荷を未然に防ぐことは、患者・社会からの信頼に直結します。本稿は、製薬業界の実態に即してEHSの基本原則と意義を整理し、「投資」としての位置付けを明快に示します。
●2023年改正で“自律的管理”へ—化学物質管理の大転換
改正労働安全衛生法により、事業者自らが危険性・有害性を評価し、ばく露を抑える措置を講じる“自律的管理”が必須に。対象物質は段階的に拡大し、化学物質管理者や保護具着用管理責任者の選任、SDS・ラベルの徹底、教育の強化、個人ばく露測定の位置付けなどが進みます。努力義務の領域も含め、GHS情報やNITEの知見を活用した計画的なリスクアセスメント、代替物・工学的対策・管理的対策・PPEの優先順位での低減を解説。中小企業にとっての要点も押さえられています。
●ハイブリッド型”の推進体制—本社標準×拠点適合で回すPDCA
グローバル方針の統一と現地最適を両立するハイブリッド組織を提示。本社は方針・標準・監査・法規動向を担い、拠点は日常管理や訓練、ヒヤリハット収集、健康管理等を実装。化学物質・労働安全・環境・健康にわたる活動例を示し、監査と是正で継続的改善を回す実務の勘所を説きます。
●サプライチェーンまで拡張—PSCI原則と監査で“共通言語化”
EHSは自社の壁を越えて、原材料・委託先を含むサプライチェーン全体でのリスク管理へ。PSCI原則に基づく共通監査・結果共有の意義、ISO14001/45001、化学物質・排水・排気、PPE、緊急時対応などの要求事項を俯瞰。段階的対応や外部リソースの活用、デジタル化による記録一元管理など、中小企業が現実的にキャッチアップする手順も具体的です。
●将来展望—ESG統合、デジタル、グローバル規制の複雑化
ESG/サステナビリティとの統合、IoT・AI・ウェアラブルによるプロアクティブなリスク低減、各国規制の厳格化・州レベル差異など、潮流を展望。EHSは“リスク対応”から“戦略的リスク管理”へと進化し、財務と結びついた企業価値のドライバーになる——その道筋を示す一篇です。
●見どころ
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自律的管理の実務要件:管理者選任、SDS/ラベル、教育、個人ばく露測定まで“必須”と“努力義務”を区分して整理。
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ハイブリッド組織の勘所:本社標準化×拠点運用でEHSを日常業務に組み込み、監査・是正で継続改善。
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PSCI原則での共通監査:サプライチェーンを含むEHS水準の底上げと、段階的実装・外部活用の実務知。
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ESGとテクノロジー:データ活用・IoT/AI・ウェアラブルで“予防的”EHSへ。複雑化する国際規制も見取り図で把握。
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