─AD─
製造・臨床開発・供給、アウトソーシング 一元化による効果を定量的に検証
~360°統合型CDMOおよびCROサービスの戦略的インパクト
パセオン(Patheon by Thermo Fisher Scientific)
サーモフィッシャーサイエンティフィクが2021年にCROのPPD社を買収し、同社がパセオン(Patheon)ブランドを通じて提供してきたグローバルCDMOサービスと統合され、臨床開発から製造まですべてのプロセスを統合した支援が可能になった。多様なモダリティの開発・製造を一貫して対応する体制を整えた同社だが、これが顧客にもたらす価値はどのようなものなのか?
本稿ではその詳細と具体的効果を、同社シニアディレクター・谷元浩二氏に加え、米国・タフツ大学による調査研究の結果から紐解いていく。
■分断型アウトソーシングモデルの弊害
機会損失で数百万ドル単位の影響も
医薬品開発・製造のアウトソーシングは、現在広く一般に行われている。CDMOやCROが持つ専門性の高い技術や先進的設備を活用することで、生産能力の柔軟性確保や円滑な臨床開発推進につながるためだ。しかしアウトソーシングが一般的になり、委託先の専門性が細分化されることで委託元には新たな課題が生まれた。ベンダーとのコミュニケーションの煩雑さやプロジェクト管理の難易度が増した。
「原薬や製剤の製造から臨床開発、治験薬供給に至る各機能を、それぞれの専門性を持つベンダーに委託するのが従来のモデルでした。しかしそれでは各プロセスが“分断”され、複数ベンダーマネジメントが必要になることでスポンサーの負担が大きいのが実状です。このモデルでは各ベンダーと個別にコミュニケーションをとる必要があるほか、契約などの管理も複雑化し、プロジェクト全体の管理効率が損なわれるという課題があります」谷元氏は指摘する。
特に昨今は市場の競争が激化し、いかに早く商業化にこぎつけるかがビジネス成功の鍵になるが、“分断型”のアウトソーシング戦略では上市までのスピード停滞を招きかねない。ある調査では、フェーズⅢ試験が1カ月遅れることで、最大800万ドルの収益損失が生じる可能性を指摘する報告もあるという。
谷元氏は「われわれのお客様からも、複数のベンダーを管理する負担が大きいという話を聞くことがあり、プロジェクト収益最大化の障壁になるその課題を解決するため、“統合型モデル”の必要性を感じていました」と述べ、医薬品開発の各プロセス—研究・製造・臨床開発・供給—を一元化して効率を最大限に高め、最速での上市を実現する同社のサービス、『AcceleratorTM Drug Development』の展開の背景を示した。

■統合型により得られるメリット
ROIが最大113倍との調査結果
では“分断型”と“統合型”で、ビジネス上どの程度の差が出るのか。米国・タフツ大学医薬品開発研究センター(Tufts CSDD)の研究結果からみていきたい。
本研究は、従来にない統合型モデルである『AcceleratorTM Drug Development』を分断型モデルと比較し、財務および運用の観点から効果を評価した。具体的には、開発コストが高くタイムラインが厳しいがん領域の開発プログラムを対象に、フェーズ別と複合フェーズの統合の6つのシナリオについて調査。業界ベンチマークに基づく詳細なファイナンシャルモデルを構築し、各フェーズの成功確率、開発コスト/期間、ピーク売上、独占期間などのパラメータを変数として設定することで、モノクローナル抗体(mAbs)と低分子双方で製造・臨床開発・供給の機能を単一ベンダーにすることの効果を定量化した。
結果は、医薬品開発での投資価値を評価する『期待正味現在価値(eNPV)』と『投資収益率(ROI)』で示されているが、すべてのフェーズで統合型モデルの利点が浮き彫りになっている(表)。最もインパクトの大きいところでは、フェーズⅢのmAbsにおいてeNPVが6,290万ドル増加、ROIが113.1倍に達したという数字が出ている。ここまで大きな効果がみられるのは、承認の確率が最も高く、スケジュール短縮が市場投入の早期化に直結するのがフェーズⅢであるため、財務的リターンが最大化されることなどが理由だ。

■単に委託先を減らすだけではない
“統合型”の本質的価値
Tufts CSDDは、本研究にて統合による効果はフェーズⅢで最も顕著だったとしながらも、初期から一元的にプロジェクト管理することの重要性もまた指摘している。早期から統合型管理を行うことで、技術移転、契約再交渉、規制戦略の変更などに伴う課題を緩和し、遅延や追加コストのリスクを軽減できるためだ。さらに臨床研究、開発、原薬および製剤製造、供給戦略を早期に整合させることでプロジェクト全体に一貫性をもたらし、運用上のリスク低減とともに、変化する開発ニーズに柔軟に対応する余地も生み出すことができる。これは単に委託先を減らすという発想ではなく、本質的には意思決定や各種調整、データ連携など“開発の根幹”に関わる運用構造の再設計ともいえるだろう。複数ベンダーの分断型では、コミュニケーションエラーやスケジュール遅延、データの断絶が発生しやすいが、『AcceleratorTM Drug Development』では、これらの課題を未然に防ぐことができる。
なお本研究では、試験開始を12カ月前倒しして推定100万ドル超のコストを削減した例や、大規模な複数の治験を管理するプロジェクトで運用コストを20万ドル削減した事例も紹介されている。詳細はホワイトペーパーにまとめられているため参照されたい。
■“一貫していること”の重要性
このようにアカデミアによる調査結果から 、統合型モデルである『AcceleratorTM Drug Development』の有用性、ビジネス上のインパクトが定量的に示された。医薬品開発のプロセスを360°余すことなくカバーする、一貫した体制の強みが可視化された形だ。ただこの“一貫した”という言葉、谷元氏の口からまた違った意味合いで聞かれたのが印象的だった。
「当社はパセオンとして、グローバルで50年以上にわたりCDMOサービスを提供してきました。10年以上前から統合型CDMOサービスの推進に取り組み、2010年前後は製剤のみの対応だったサービスも、2014年の原薬製造サービスの提供開始を機に、徐々に対象範囲を拡大してきました。“単一的でなく、エンドトゥエンドのサービスが顧客に価値を生む”という明確な方針のもと、サービスの拡充とともに新たな顧客ニーズに応え続けています。この姿勢と文化は、サーモフィッシャーグループの一員となった現在も一貫して受け継がれており、今では“統合型モデルによる最速上市”というさらなる価値の提供につながっています」と谷元氏は語った。
360°全方位のサービスで開発期間の短縮とコスト合理化につなげ、治療薬をより早く患者に届けることに貢献する。顧客の課題解決に一貫して取り組んできた姿勢が結実した1つの到達点が、『AcceleratorTM Drug Development』だといえるかもしれない。
●その他の製品についてはこちらをご覧ください。
【お問い合わせ】
パセオン株式会社
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町 3-3-6 ワカ末ビル 7F
TEL:03-6202-7666
お問合せ・ご質問はこちらより
ウェブサイトはこちらより