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アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた
遺伝子治療薬の製造プロセスにおける取り組み
メルク
革新的な遺伝子治療技術で、効率的で安全な治療法を世界に普及させる遺伝子治療のリーディングカンパニー株式会社ONODERA GT Pharma (旧:遺伝子治療研究所)。過去に、ロットによって回収率が変動する問題が生じていたが、メルクのシングルユースTFF膜の「Pellicon® Capsule」を採用してから、安定した回収率を維持することができているという。
本稿では、同社の研究部長/執行役員の橋本研志氏と研究部の大塚晋氏に、遺伝子治療薬の開発状況や取り組みなどについて話を聞いた。

Q: 事業内容および国内における遺伝子治療医薬品の開発状況についてお聞かせください
橋本氏|ONODERA GT Pharmaは、アデノ随伴ウイルス(AAV)をベクターとして使用する遺伝子治療医薬品の開発を進めています。自社で製造設備を保有し、AAVベクターのプロセス開発から製造、薬事申請まで、統合的に行っているのが特徴であり強みです。現在10以上のパイプラインを抱えており、特にパーキンソン病、ALS、グルコーストランスポーター1欠損症に関する臨床試験が進行中です。
日本では、これまでに3種のAAV遺伝子治療医薬品(ゾルゲンスマ、ルクスターナ、エレビジス)が承認されていますが、いずれも海外で開発・製造されたものです。国内においてGCTP/GMPレベルでAAVベクターを製造できる施設は、弊社の製造所を含め、数えるほどしかなく、そのことが開発のネックになっていると考えています。
Q: 貴社製造のスケール感やTFF(Tangential Flow Filtration)の使用状況、
メルクの「Pellicon® Capsule」の使用感についてお聞かせください
大塚氏| 製造スケールは、品目によって異なります。細胞培養量でいえば、数十~数百リットルとさまざまです。AAVを投与する体の部位や方法に応じて、必要量が変わってくるためです。TFFは、AAVベクター精製工程のなかで濃縮やバッファー交換を主な目的として使用しています(図)。

Pellicon® Capsuleは、アッセンブリが容易で洗浄の手間も少なく、すぐに使用できる点や品質面でも評価しています。以前、ある開発品目で中空糸膜をTFFに使用していたのですが、ロットによって回収率が大きく変動してしまう問題が生じて苦労しました。Pellicon® Capsuleを試したところ、複数回の製造を通して、非常に安定した回収率を得ることができたため、実製造工程に採用しました。
Q: 今後の技術的な要望や改善点、技術サポートについてお聞かせください
大塚氏|これまでは、濃縮・バッファー交換をTFFの主目的とし、AAV回収率の点では満足のいく手法を構築できています。今後は、目的外タンパク質などの不純物を、より効率的に除去することにも注目して、TFFの技術改善を進めていく予定です。Pellicon® Capsuleに関する要望としては、将来的な製造規模の拡大にも対応できるように単体で、より大きな膜面積のものがあれば良いと感じています。
メルクの技術サポートは、非常に役立っています。研究部におけるプロセス開発では、メルクの方も一緒になってデータを評価・議論していただきました。また、メルクが開催しているMillischool TFFセミナーやトレーニングは、研究部・生産部の社員も含め毎年、参加させていただいており、製造技術の維持と向上に大きく寄与しています。
Q: 貴社の今後のビジョンを教えてください
橋本氏|弊社は、日本発のAAV遺伝子治療医薬品を世の中に送り出していくことを目指しています。新しい技術も取り入れながら、各パイプラインの開発を進めて一日も早く、より多くの患者様に治療薬を届けられるよう努めてまいります。
メルクとONODERA GT Pharmaは、AAV遺伝子治療医薬品の製造促進に向け、基本合意書を締結し、新しい治療薬をより早く市場に投入することを目指して協働している。今回、メルクのPellicon® Capsuleが、ONODERA GT Pharmaの開発プロセスやAAVの最前線でも活用されており、協働の成果が出ていると言える。
メルクは、今後も遺伝子治療医薬品を製造するためのプロセス開発と製造をサポートするとしている。
※株式会社ONODERA GT Pharmaについて
神奈川県川崎市に本社を置き、AAV ベクターを利用した遺伝子治療の実用化を目指すバイオベンチャー。
詳細・開発品目などはこちらをご覧ください。
●その他のメルク製品についてはこちらをご覧ください。
■お問い合わせ
メルク株式会社 プロセスソリューションズ事業本部
〒106-0041 東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー26F
TEL:03-4531-1143
URL:www.merckmillipore.jp