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DIを確保しながらGMP記録の電子化を強力に支援
PDF専業メーカーとして、使いやすさを追求
株式会社スカイコム
近年、データインテグリティ(DI)への対応や業務の効率化・省力化の観点から、医薬品製造現場の電子化が進められている。MESやLIMSを利用して電子化が進められることが多いが、それらへ取り込みにくく、コスト高になる紙文書もある。スカイコムは、そうした紙文書も含めさまざまな書類を簡単に電子化できる「SkyPAS® 監査証跡」という製品を提供してきた。2025年1月には大規模なリニューアルを施し、製品名を「SkyPAS® AT」として新たなスタートを切った。取締役営業本部長の梶原寛氏と技術部課長の深澤由希子氏に本製品について話をうかがった。
■DIを確保しながらPDFに
直接手書きで書き込める「SkyPAS® AT」
「SkyPAS® AT」は、MESやLIMSに取り込みにくく、コスト高になる紙文書をシンプルな手順で簡単に電子化できる製品である。例えば、点検表や記録書といった帳票類は、MESやLIMSで電子化することが難しく、紙文書のまま残ってしまっていることが少なくないが、それらの元データであるWordやExcelなどのファイルをそのまま本製品にアップロードすると自動的にPDFに変換され、PCやタブレットで運用できるようになる。
深澤氏はPDF化することのメリットについて、「PDFはISOが定めた国際規格で、半永久的に閲覧・印刷が可能なため、長期保管に最適なファイルフォーマットといえます。GMP文書は数十年保管する必要があるものも多いので、PDFで管理するのが最適解の1つだと考えています」と話した。本製品は手間をかけずに、短期間で大量の紙文書を、長期保管に適したPDFに変換して電子化することができるというわけだ。
顧客からは「書き心地がよくて驚いた」「狭い欄は拡大して記入できるので、紙よりも記録しやすい」といった声があがるという。
特徴は、タブレット端末と電子ペンを使用することで、画面上のPDFに手書きで直接書き込むことができるという点だ(写真)。紙にボールペンで書き込むのと同じような感覚で直感的に操作でき、業務プロセスを大きく変える必要もないため、作業者への教育はほぼ不要。スムーズに電子化を進められるという。PDFに手書きができる製品は他にもあるが、本製品は「誰が」「いつ」「何を」書いたのか、行ったのかなどの監査証跡を残せるほか、記録の改ざんやファイル自体の削除ができない仕組みになっているなど、DIを確保するための機能がしっかりと搭載されているため、安心して医薬品製造に使用することができる。
さらに、リニューアル前の従来製品よりも処理速度などの性能が大幅に向上し、より快適に使用できるようになった。梶原氏は今回のリニューアルについて、「今後も安心して長く使っていただけるように、ベースとなっているシステムから再構築しました。UIも刷新し、タブレットでの操作性も上がりました」と説明した。
機能面では、同時編集機能や回覧機能などが追加された。同時編集機能は1つのファイルを複数の端末から同時に編集できる機能で、他の人の編集内容も自分の画面にリアルタイムで反映されるようになっている。深澤氏は本機能について、「例えば機器点検でダブルチェックを行う際、複数人が同じ記録書に同時に記録を記載するといった使い方ができます。お客様からの要望が特に多かった機能で、それに応える形で追加しました」と話した。回覧機能も顧客からの要望が多かった機能であるといい、「システム内で書類の確認や承認を依頼できるようにし、相手側にも通知が配信・表示されるようになりました」と従来製品との違いを示した。
■要望の多い機能は標準機能としてアップデート
追加費用不要で機能を拡充
「SkyPAS® AT」では、前述のように顧客からの要望で特に多いものについては、新たな標準機能として追加するという形をとっている。これについて梶原氏は、「製品を実際に使ってみてから新たに機能を追加したくなるというケースは多いと思います。カスタマイズ製品の場合は、機能を追加するたびにコストがかかってしまいメンテナンス性が悪くなることが多いため、パッケージ製品を求める声を多くいただきました。そこで、本製品では多くのユーザーから似たような要望があれば、それを医薬品製造現場全体の要望と捉え、標準機能としてアップデートしていくことにしました。そうすることでお客様には追加費用がかかりませんし、われわれとしてもニーズを満たす製品を提供できます」と、顧客と同社の双方にメリットがあるとの考えを示した。深澤氏は、「機能を追加する際は、法規制を遵守するためにはどんな仕様にする必要があるのか、どのようにしたら使いやすいのかといったことをお客様にヒアリングしながら仕様を決めています」と話し、顧客とのコミュニケーションの重要性に触れた。
今後、導入社数が増えれば増えるほど、さまざまな視点からの要望が集まってくることになるため、顧客にとってより使いやすい製品になっていくと考えられる。
■医薬品製造現場の声を聞きながら
PDF専業メーカーとしての強みを活かす
顧客の声を重視しながら製品を開発するという同社の姿勢は、「SkyPAS® AT」の前モデルである「SkyPAS® 監査証跡」の開発当初から変わっていない。
「SkyPAS® 監査証跡」は、ある製薬企業からの要望がきっかけで開発された。その製薬企業の担当者は、自宅で家族が電子ペンを使って液晶画面に絵を描いていたのを見て、「医薬品製造現場でも電子化した記録書に直接手書きで書き込めるようにできるのではないか」と考え、ちょうどその頃、PDFへ手書きで署名ができる製品を金融機関向けに開発・提供していたスカイコムに相談を持ち掛けた。
同社はさっそくその製薬企業の担当者に製品の提案を行ったが、「このままでは医薬品製造には使えない」と言われてしまう。深澤氏はそのときのことについて、「当時は医薬品製造現場でどのような機能が必要なのかがわかっていませんでした。ただ、われわれにはPDFに関する高度な技術と専門知識があります。医薬品製造において満たすべき要件を詳しく教えていただけたことで、それならPDFではこんなことができる、それはできないがこんな使い方はどうか、といったような提案をしながら対話することができました」と振り返り、やりとりを重ねるうちに信頼関係が生まれ、その顧客と一緒に開発を進めることになったと話した。「製薬企業の豊富な知見と、PDF専業メーカーである当社の技術力・提案力がうまく組み合わさったことで、他にはない製品を開発できたと思っています」(梶原氏)。
「SkyPAS® 監査証跡」は、2021年にその製薬企業へ導入された後、他の製薬企業やCMO/CDMOのほか、受託分析・研究を行う企業など、幅広く採用された。現在では15社20拠点で利用されており、国内製薬企業の売上高上位に位置する6社が導入済みだという。リニューアルし、製品名を「SkyPAS® AT」に改めた後もさまざまな企業から引き合いがあり、2025年内には導入社数が50社に達する見込みだ。
■導入しやすく効果も得られやすい
電子化の第一歩としても有用
「SkyPAS® AT」は、これから電子化を始めるという企業にとっても勧められる製品であるという。MESやLIMSの導入には高額な費用や専門的な技術をもつ人材の確保が必要だが、同製品ではそれらが不要だからだ。実際、ペーパーレス化の第一歩として選ばれることも多く、「紙がなくなるだけでこんなに楽になるとは思わなかったとの感想をいただくことがよくあります。紙を持ち運ぶ必要がなくなりますし、汚れたり紛失したりすることもありません。上長に確認を依頼するためだけにクリーンルームを出入りすることや、工場のあちこちを紙を持って移動する必要もなくなります。また、確認する側も、どこからでも記録などを確認できるので、テレワークも可能になり働き方改革にもつながっているようです」と深澤氏は話す。クラウド利用であれば30ユーザーで月額7万円程度からと、価格帯としてもスモールスタートがしやすくなっている。
同社は今後、さらに「SkyPAS® AT」の機能を拡充していく方針だ。梶原氏はその1つについて、「データの連携や利活用という観点から、PDFに書き込まれた手書きの文字や数値をテキストデータとして出力できる機能の追加を検討中です」と説明し、デジタルの特性を活かして紙でできなかったことを実現していくとした。
さらに、将来的には海外展開も視野に入れている。梶原氏は、「すでに英語表示には対応していますが、日本の製薬企業の海外拠点や海外の製薬企業への導入・普及に向けた活動も行っていきたいと考えています」と意気込みを語った。
■お問い合わせ
株式会社スカイコム
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TEL:03-5289-0788
URL:https://www.skycom.jp/