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Annex 1改訂を踏まえた対応の実際
シングルユース製品の有効活用、鍵を握るのは柔軟性と品質保証

ザルトリウス・ステディム・ジャパン

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    千手 昌平 氏

 2024年12月5日、東京都内のタワーホール船堀で開催された日本PDA製薬学会第31回年会が開催され、ザルトリウス・ステディム・ジャパンによる「シングルユース製品の効率化とFlexsafe®バッグの品質保証(リーク、E|L、 異物の管理)」をテーマにしたランチョンセミナーが発表された。
 COVID-19のパンデミックによって、改めて重要性が認識されたシングルユース製品の安定供給とAnnex 1改訂で必要となる品質保証の最新情報をについて、同社の千手昌平氏が解説した。
 

■ファシリティに柔軟性をもたらすBallroom concept

 COVID-19のパンデミックは、従来のワクチンなどの製造設備が抱える課題を浮き彫りにした。その1つが生産能力の柔軟性である。平時の安定生産だけではなく、パンデミック発生などの緊急時には、異なる種類のワクチンを迅速に大量生産できる体制が求められる。パンデミックからの学びとして、この課題解決に資する “Ballroom concept”を紹介した。これは、固定された装置のない広大なスペースに、シングルユース機器を必要な分だけ配備するというもので、部屋間のエアーロック減少で省スペース化を実現し、急速なスケールアップも可能にすることなどが特長である。

 COVID-19のパンデミック時には、BioNTech社がこの考え方を利用して僻地など、ワクチンが届きにくいところに、複数のBallroomを工場内に設置するスタイルの“Portable-On-Demand (POD) Facilities”と呼ばれる工場を建て、迅速な生産と供給につなげた例もあるという。

 「ここで重要になるのが“シングルユース製品をどううまく使うか”。高い柔軟性をもったファシリティの確立には、シングルユースアッセンブリを標準化して組み合わせ、さらに部材の供給問題もクリアすることが重要」と千手氏は指摘した。

 

■安定供給への取り組み、納期の透明性確保も

 COVID-19のパンデミック時には、シングルユース製品の構成部材使用量が急増し、供給不足に陥った事例もみられたため、同社はこれを教訓に、供給体制強化に力を入れているという。

 「ここ5年間で500~600億円規模の投資で製造工場拡大を行い、2026年まで追加の拡張を計画している。その結果、2020年との比較でシングルユース製品が4倍、フィルターで2倍の製造能力を増強している。アジア地域では、韓国にも工場を建設中で、日本への供給体制も強化される。当社は、Customer Supply Program (CSP)という供給プログラムに則ってお客様とのコミュニケーションを密にしている。コアになるのはお客様との対話だが、納期の透明性も重要な要素だと考えており、ネットワークを介してお客様が納期情報を直接、確認可能であることやお客様が独自に設定したKPIに沿って供給体制を監視し、当社がCAPAを提出する体制も確立している」と千手氏は大きな投資を行っていることを明かし、高いレベルで顧客を支援するプログラムを紹介した。
 

■Annex 1への対応と求められる品質保証

 同社では、供給体制強化にとどまらず、製品の品質保証も重視しているという。

 「2023年に発出したEU GMP(PIC/S GMP) Annex 1の改訂により、Quality Risk Management (QRM)とContamination Control Strategy (CCS)の総体的なアプローチが明確に要件化された。シングルユースについては、セクション8で直接触れられており、①堅牢性・完全性(ピンホールやリーク)、②滅菌の保証、③製品との相互作用(E&L、異物)がキーファクターとされている」と千手氏は説明し、それぞれの要件について具体的なデータも示しながら取り組みを紹介した。

①堅牢性、完全性(ピンホールやリーク)
 図1のとおり、同社が提供しているサポートは、バッグの製造、アッセンブリ、オプションのリークテスト(Supplier Integrity Testing;SIT)、パッケージングから輸送までを担う形になる。ユーザー側のサイト設置後でも、オプションでリークテストも実施可能だという。また、同社が実施するSITはヘリウムガスを用いたもので、2μmのピンホールまで検出が可能である。

 「使用する条件を考慮に入れてリスクに対する戦略を立てるため、リークテストが必ず必要というわけではないが、国内でも導入するケースが始まりつつある。shippingの際に、最も水圧がかかるが、ここでリークが起きるピンホールの最小サイズが2μmだという結果が試験で得られている。例えば、1μmであればピンホールはあるが、リークはないということになり、液体が漏れて微生物が侵入する可能性がないことが示唆されるデータになる」と千手氏はFlexsafe®製品における微生物の侵入と液体のリークとの関係性について、説明した。

 

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               図1 SUSの堅牢性と完全性の保証

②滅菌の保証
 「SAL10-6をバリデートする必要があるが、当社の非無菌製品からバイオバーデンを抽出して製品のバイオバーデン量を決定し、VDmax法を用いて最小線量を決める。これをバリデートすることになるが、当社ではSAL 10-1を達成する滅菌線量を割り出し、それを14日間培養。滅菌試験の結果が1微生物以下であることを確認することで、最大線量が製品品質に影響を及ぼさないことを確認している」(千手氏)。
 

③製品との相互作用(E&L、異物)
 「当社は、浸出物(Leachables)の試験を最小限に抑えることも可能になる抽出物(Extractables)のシミュレーションソフトウェアExSimを用いたサービスも提供している。これは、当社が蓄積したデータやパラメータをアプリケーションに落とし込んで推定値を割り出すもので、お客様の工程の図面や使用条件などを設定すれば、Extractableのデータが推定できる新たなソフトウェアの提供も開始している。異物については、20Lバッグ中の異物の比較試験を行ったところ、平均して10~20ほどの数の異物が含まれる結果が出た。もちろん、この低減・改善プログラムを進行させているが、同時にリスク管理として、それら異物への対応でお客様をサポートすることも重要と考え、工程に応じたリスクレベルの分析も行っている。結果、アップストリームでは細胞数に比較して異物数は圧倒的に少ないので、大きなリスクはないと考えている。また、ダウンストリームでは、異物がタンパク質の凝集の核になるリスクが高いと思われがちだが、工程中に濃縮やクロマトグラフィーの樹脂、フィルターなどが含まれるので、結果としてはほとんど取り除かれる」(千手氏)。 
   
 同社では、25年にわたって提供しているバリデーションサービスはもちろん、例えば最終濾過の前後で品質保証のレベルを変えて製品を提供するなど、リスクに応じた対応も考えていくとした。

 昨今、注目される再生医療等製品などでは、工程中にフィルターを用いることができないため、異物の安全性も重要になってくる。同社が行ったデジタルツインを用いたシミュレーションでは、液相にも細胞相にもPERLsの蓄積が大きくないことが示唆されており、ハイスループットCell Paintingアッセイを用いた遺伝子細胞治療(CGT:Cell and Gene Therapy)におけるPERLsの影響評価から、影響が大きいトラブルメーカーを検出、除去できることが分かったことなども紹介された(図2)。

 千手氏は、これら知見を積み重ね、安全なシングルユース製品製造につなげていくと今後に向けての考え方を示した。

 

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               図2 バイオ医薬品製造:発生の可能性

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■お問い合わせ
ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社
〒140-0001 東京都品川区北品川1-8-11  Daiwa品川Northビル4F
E-mail:hp.info@sartorius.com
URL:https://www.sartorius-labsolutions.jp/
 

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