─AD─
製薬企業25社で導入
サプライチェーンを可視化して医薬品の安定供給を実現
Resilire[レジリア]
2024年9月27日に開催されたPTJ Forum 2024(じほう主催)-製薬工場マネジメントサミットで、「サプライチェーン可視化により安定供給を実現した製薬企業の取り組み」をテーマに株式会社Resilire[レジリア]の浦山博史氏が登壇した。
2018年9月設立のResilireは、製薬企業向けにサプライチェーンを可視化するクラウドシステム「レジリア」を開発し、医薬品の安定供給リスクを管理・支援している。本稿では、医薬品のリスク管理やレジリアの特長について紹介する。
■医薬品安定供給には、サプライチェーンのリスク管理が重要
医療用医薬品の約25%で供給停止や出荷制限が起こっており、依然、医療機関や患者に供給不安が生じている。事の発端は、2019年の日医工によるセファゾリンの原薬供給停止問題で、多くの医療機関で大混乱を引き起こした。その後、業界でさまざまな議論が行われ、厚生労働省は、安全保障上、生命を守るために切れ目ない医療供給に必要で、特に安定確保が必要とされる医薬品を、カテゴリA(最も優先)21成分、B(優先)29成分、C(456成分)と3段階に分けた「安定確保医薬品」を設定した。
「安定確保医薬品のカテゴリ分類にあたっては、4つの要素が考慮されている。①対象疾患が重篤であること、②代替薬または代替療法がないこと、③多くの患者が服用していること、そしてもう1つ、④製造の難しさやサプライチェーン上流の状況も考慮されている」と、浦山氏はサプライチェーン上流の状況を把握することが重要だとした。
2022年9月の各製造販売業者からのアンケート調査によると、約半数で原材料サプライヤーの所在国を把握していないとの回答結果がでた。サプライチェーン上流の把握が十分に進んでいない現状を示している。
また、安定供給基準が法令化される動きも進む。その基準(案)骨子の1つに「安定供給に係るリスク管理計画の作成」が掲げられている。製造販売業者は原料の調達から生産、在庫管理、流通までの状況を把握し、安定供給に支障を及ぼすリスクのある事象の特定、評価および管理などを継続的に行うためのリスク管理計画を作成することが求められ、今後、さまざまなリスクを勘案して計画を立案していく必要性に迫られることになる。
■国内外のリスクを検知。サプライチェーンの可視化を実現
そもそも、サプライチェーンの上流が見えづらいとは、どういうことなのか─。サプライチェーンの構造を図式化(図1)してみると、製造元は商社やCMOなどのTier1(一次取引先)については把握できているが、直接取引のないTier 2以降の情報を把握することが難しいため、有事の際に迅速な影響把握が困難となり、安定供給が妨げられてしまう一因となっていることが分かる。
サプライチェーンのリスク管理の課題としては、①特に海外サプライヤー情報の把握がしづらい、②サプライチェーンデータが各部門に散在し、情報の伝達や共有に時間がかかる、③海外の有事情報をタイムリーに収集できない、④サプライヤー情報がExcel管理のため頻繁に更新されず、有事の際に1 件ずつ電話やメールで確認するため初動対応までに時間と労力がかかるなど、多岐にわたる。これらの課題解決の手段として活用できるのがリスクを検知・管理する「レジリア」である。
「生産管理システムやExcelなどに散在しているサプライチェーンデータをレジリアのデータベースに集約・格納し、クラウド上で一元管理ができる。サプライチェーンを品目ごとにツリー状に図解化(図2)することで、リスクを見える化することができるため、有事の際はマップで被災影響のあるサプライヤーを確認し、影響範囲を迅速に把握することも可能。海外の製造所についてもインターネット上の情報とリンクさせることで、サプライチェーンに影響を与えるグローバルリスクを検知できるだけでなく、AIを活用し、正確な情報を表示する仕組みになっている。有事の際はサプライヤーへアンケートを自動で送付・回収する機能も備えている。アンケートはスマートフォンからワンクリックで回答できるため、影響調査を迅速に進めることができる」(浦山氏)。
こうしたリスクの見える化を自動化させるために、もっとも重要になるのがサプライヤー情報の収集機能である。まず、導入企業がTier 1に情報入力権限のIDを付与し、Tier 1の協力のもとTier 2以降の情報を入力してもらう仕組みとなっている。安定供給をめぐる時勢もあり、ほとんどの企業で入力してもらえるという。背景には、①入力メリット(機能)、②システム外でのResilireのサポート、③ID付与済みのTier 1増加の3つが考えられるとしている。
「ID付与を受けたTier 1は会社名、拠点名、拠点住所、品目などを入力することで、レジリアのマップや通知機能を無償で利用可能になる。IDを付与するTier 1向けの説明会を開催し、メリットをしっかり説明することで懸念を払しょくすることが重要だと考えている。昨今の医薬品不足に加え、地震や感染症などの有事もあり、サプライチェーン全体で安定供給に取り組もうという動きが出ていることが、情報開示に繋がっている」(浦山氏)。
■レジリアの導入事例
アリナミン製薬では、サプライヤー情報をExcelで管理を行っていたため、有事の際に通常業務と並行しながら戦略面を立案することに限界を感じ、レジリアを導入。導入後は、ツリーにすることで供給リスクが可視化され、社内での状況共有につながり、迅速な対応が可能になったという。レジリアを導入したある企業では、Tier 1へのID付与を進めることで、導入当初はTier 2、Tier 3の登録数がそれぞれ約100拠点だったのが、1年後には約9倍まで増加。製品ごとに複数のツリーを作成し、高リスク拠点を洗い出し、リスク評価に活用されているという。
また、2024年1月1日に発生した能登半島地震では、多くの製薬企業が影響を受けたが、レジリアを導入していた企業では、影響調査の自動アンケート調査機能を活用し、1月1日にメール配信、出社する4日には約7割が回答し、迅速な対応につながったという。
近年の医薬品安定供給不安を追い風に、すでに25社が導入しているレジリア。同社は、特定地域や企業への依存度、有事の際の影響範囲の把握など、レジリアによって医薬品安定供給を今後も迅速に解消していくため、製薬企業の支援を強化するとしている。
■アリナミン製薬の導入事例はこちら
■その他の導入事例はこちら
■お問い合わせ
株式会社Resilire
〒105-7510 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝10F
E-mail:info@resilire.jp
URL:https://www.resilire.jp/
資料請求:https://www.resilire.jp/download