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ニーズに応じた最適なLIMS構築を実現
~多様な機能を“引き算”の考え方で使いこなす~
三菱電機ソフトウエア
近年、製薬企業でラボ情報管理システム(LIMS)を導入する企業が増えている。その背景には製薬産業を取り巻く環境の変化がある。不適切な製造管理やGMP違反などに端を発する行政処分の事案が相次ぐ一方で、ジェネリック医薬品の使用促進などによる生産量は増加しており、規制に準拠した頑健な業務フロー構築と効率的な生産活動を両立させることが喫緊の課題となっている。こうした状況下、規制対応強化と業務効率化に資するソリューションとして注目を集めているのがLIMSである。本稿では、LIMSがもたらす具体的なメリットや将来展望について、三菱電機ソフトウエア営業部第2課の本郷良氏と、ライフサイエンスITソリューション部第2課長の古矢勝重氏に話を聞いた。
■LIMSが必要とされる理由~業界ニーズと特性がマッチ
LIMSは、試験・検査に関するワークフローやそれに付随する膨大な情報・データを一元管理することで、業務の信頼性と効率を大幅に向上させるシステムだ。“いつ、誰が、何を実行したのか”、“どのデータを扱ったのか”という監査証跡も残るため、データインテグリティ(DI)対応の有効なツールとしても活用されている。
本郷氏は、「昨今、製薬業界ではいくつか不祥事が発生し、規制対応強化の必要性が高まっていることから、“問題を起こしてからでは遅い”という強い意識の下で導入される企業が増えています。また、製造業として必要になるDX化の観点でもLIMSは有用性が広く認識されており、多様な装置やワークフローを統合的に管理することで省力化・省人化につなげ、業務最適化を図れることも大きなメリットです」と特長を概説する。
古矢氏はさらに、「LIMSによって業務の堅牢性が高まることで査察対応がスムーズになるメリットもあります。特にFDAをはじめとする海外規制当局の査察では、アナログな仕組みでは対応が難しいケースもあり、国内でも海外展開をめざす企業が多い中、LIMSが必須のものとして認知されている部分があります」と話す。
両氏が語るように、LIMSは規制対応強化のツールとしてはもちろん、業務効率化をもたらし、ビジネスのスムーズな展開を後押しするソリューションとしても捉えられている。
■独自性がもたらす使いやすさ~WEBベースで動作可能なLIMS
同社は、米国で長く活用されているLIMSである『LabVantage』を、国内で15年ほどにわたり多様な業界に提供してきた実績をもつ。その実績に裏打ちされた信頼性と充実した機能を備えるLabVantageの最大の特長は、WEBベースで使用可能であるということである。
「LabVantageは、ネットワーク接続できる環境でWEBブラウザさえあれば、PC以外にもタブレットやスマートフォンなどで使用可能です。タブレットなどは機動性にも優れ、また防水仕様でないPCが壊れるリスクも回避できます」と本郷氏。
また「タブレットやスマートフォンを活用する場面では、カメラ機能を用いてバーコードを読みこむこともでき、撮影した画像をブラウザからアップロードできるなどの利便性もあります。端末にアプリを入れる形式のシステムではバリデーションが必要になりますが、LabVantage はWEBベースのためそれが不要で、端末管理でのメリットも絶大です」と古矢氏は補足し、LabVantage独自の使用性の高さを説明した。
■DI対応、規制準拠にも万全の体制
DI対応強化という観点でも、LabVantageの機能は活きてくる。「やはり、一元管理できることがLIMSの大きなメリットです。作業指図から分析機器の校正、試薬管理など、すべてを統合管理できるほか、登録や変更、削除などの履歴が監査証跡として残るため、DI対応を強化できます。“この業務を行う担当者にはこのメニューだけ表示する”といったように、試験実施者や管理者階層に応じて柔軟にロール(役割)を設定することで、不備や不正が発生する可能性を低減できます」(本郷氏)。
LabVantageは国内のGMPをはじめ、米国FDAのPart 11など各種規制にも対応しており、規制が改正された際には順次アップデートが行われるなどの体制が整備されていることも、実務的観点で大きな利点だろう。
■多様な機能から必要なものを選択~“引き算”の考え方で構築
さらに、LabVantageは、図のようにプラットフォーム機能としての土台の上に、ユーザーが必要な機能を選択して構築できるなど、ニーズに応じて最適な環境を整備できるようになっている。
古矢氏は、「DI対応と言っても、何をどう強化したいかは企業によって異なります。LabVantageはデータ改ざん防止や監査証跡機能などの基本要件をプラットフォームとして備え、その基盤の上に必要な機能を搭載していくことで、あらゆるニーズに応えられるようにしています。例えば、ラボエラー発生時の不具合原因の管理やCAPAへの展開を可能にする機能もありますし、電子実験ノート(ELN)を用いることで、研究段階からのデータも含めトータルでDIを担保することも可能です」と話す。
このほか、既存の機器やシステムとも連携可能なため、ユーザーは現状の環境を基に必要なものを選択できる。「機能が豊富だからこそ、その中から“必要なもの”を引き算の考え方で選ぶ形になります」と本郷氏は説明した。
また一方で、多機能だからこそ、ユーザーがスムーズに導入できる工夫もなされている。「製薬業界で汎用される機能・モジュールをパッケージ化した“Pharma Package”というものを用意しています。これは開発元にてプリ・バリデーションされたCSV文書が整備されているため、導入時のリソース低減につながり、標準的な機能を迅速に導入できます」と、ユーザーの負担低減への配慮についても本郷氏は補足した。
■サポート体制も充実~将来的にはデジタルラボ実現へ
米国製のLIMSであるLabVantageだが、日本で活用するためのサポート体制も同社は備えている。「画面表示でもユーザーによって個別に言語選択が可能です。導入後には、当社の国内スタッフが日本語で保守対応を行います。導入時だけでなく、その後の対応まで一貫してお客様に寄り添い、LIMSのメリットを最大限享受できるようサポートしています」と本郷氏。さらに同社は、“顧客に寄り添う”ことを念頭に、業界の未来も見据えた展望を描いている。
「DI対応やDX化でも、現状はまだ人の手を介すスタイルです。ただやはり将来的には完全自動化というのをめざしたい。ラボで使用される機器メーカー様もDX化推進の中で、自動化の検討は進めていると思いますし、LabVantage単体だけでなく、さまざまなシステムや機器とのスムーズな連携の実績を積み重ねて付加価値を高め、製薬企業様の“デジタルラボ”実現に寄与していくことが、我々が今後に向けて掲げているビジョンです」と古矢氏は語った。
LabVantageの多様な機能も、常に顧客のニーズに沿うことで実現されてきたものだといえる。導入からその後のサポート、さらにはその先の未来まで、顧客に寄り添ってともに歩む三菱電機ソフトウエアの姿勢が、2人の話からうかがえた。
■お問い合わせ
三菱電機ソフトウエア株式会社 つくば事業所
〒305-0032 茨城県つくば市竹園1-6-1
TEL:029-859-0313
E-mail:ml_labvantage@mesw.co.jp
URL:https://www.mesw.co.jp/labvantage/