富山で「第2回QbD実習研修会」が開催、実務的な知識獲得と担当者同士の交流の機会に

 富山県薬業連合会は2024年2月28、29日の2日間、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム(通称、富山くすりコンソ)との共催で「第2回QbD実習研修会」を開催した。この研修会は、富山県内企業の製剤開発等担当者向けに、医薬品の品質・安定供給の問題を解決するための鍵となる品質リスクマネジメントと、それに基づくQuality by Design(QbD)による製剤開発に対する理解を深めるトレーニングとして昨年初開催された。第2回となる今年度は、「設計品質に問題のない内服固形後発薬の開発ができる」ことを目指した研修として、「品質リスクマネジメントにおける主観性の最小化にどう取り組むか」、「QbDに基づく後発品開発のポイント及び信頼性の基準について」、「リスクに基づいた供給業者管理のポイント」などがテーマとして取り上げられ、2日間にわたってグループディスカッション形式で議論が深められた。

活発な意見交換で実りある議論を

 研修会は、参加した約20名が4つのグループに分かれ、出されたテーマ(課題)について議論し、各グループ内で議論した成果をそれぞれ発表していく形式で進行した。参加者は、内服固形剤の医薬品開発・製造に関する経験を目安として3年以上有しており、ICHのガイドラインやQbDに基づく医薬品開発の基本事項を理解していることが前提となっており、ディスカッションは実務的かつ高いレベルのものとなった。

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研修会のアドバイザーおよびグループリーダー等の集合写真

 本研修会の企画に携わり、当日の研修指導にもあたった宮嶋勝春氏(くすりのシリコンバレーTOYAMA 創造コンソーシアム アドバイザー)は、「実りの多い研修とするため、実務に即した課題を設定し、活発な議論が展開されるよう工夫している」と語る。具体的には、製剤開発で豊富な経験や知見を持つメンバーが事前に打ち合わせを行って研修会の課題を策定し、そのメンバーが各グループに“リーダー”として参加することで、課題設定の意図や論点を明確にして先導する形にしたというものだ。これによって議論が散漫になることを防ぎ、的を絞った意見交換を行うことを可能にした。

 たとえば「QbDに基づく製剤開発とリスクアセスメント」に関するテーマでは、原薬の選定や添加剤等の処方、QTPPやCMAの設定などを提示された選択肢や条件から検討し、製剤設計のコンセプトとともにまとめあげる課題が出された。品質や価格等も勘案して、原薬の調達先をどこにするか、どうリスクアセスメントを行い何をハザードと特定するかなど、参加者が自身の考えを積極的に発信して共有することで、普段かかわることのない実務者同士の良い交流機会とすることも研修会の狙いとしてあるようだ。

 本研修会でリーダー役を務めた1人である東亜薬品の赤木亮之氏は、参加者が発言しやすいような雰囲気作りにも気を配ったと話す。「グループディスカッションスタイルの研修では、まず意見を言うことからスタートするので、話しやすい雰囲気をつくることも大事。重たい空気で議論が停滞することのないような進行を心がけた」という。

「協働」や「共有」も必要、今後目指すべき方向性とは

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▲富山くすりコンソ 副事業責任者 森 俊介 氏

 28日の総括としてあいさつした「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム副事業責任者の森俊介氏は、「こういった研修はネットワーキングの機会としても活用してほしい。参加者同士が会の後もつながりをもってくれると、より開催意義が深まると思う」と述べた。またさらに「議論を聞く中で、リスクアセスメント等においても各社で取り組み方や基準が異なっているということが見えた。各社の考えや工夫、個性といったものもあるのですべて統一するということは難しいかもしれないが、たとえばある一定のレベルまでは情報共有や協働で確保し、それを“富山スタンダード”のような基準として展開できないか。そのうえで各社がそこにアドオンしていくような考え方があってもよいと思う」と、本研修会をきっかけに今後も担当者同士の交流が続き、県内企業のさらなる発展につなげてほしいと呼びかけた。

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