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ハイスペックな分析ソリューションの活用で
細胞株の開発を低コストで加速化

ザルトリウス・ジャパン

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    丸山 雄介 氏

 ザルトリウス・ジャパンは2023年7月6日、東京ビッグサイトで開催されたインターフェックスWeek東京で「細胞株開発を加速する分析・シングルセル単離ソリューション」と題して製品技術セミナーを行った。
 セミナーでは、同社のField Application Scientistの丸山雄介氏が、生産物や細胞株の評価分析およびシングルセルの単離にフォーカスした細胞株開発ソリューションを解説。本稿では、各ソリューションがどのように活用できるのか紹介する。

 

■目的の細胞を識別して回収する
  「CellCelector Flex 自動細胞イメージング・ピッキングシステム」

 丸⼭氏は冒頭で、シングルセルのクローニングを効率化させ、いかに早く分析結果を出して意思決定につなげることが、コスト面も含め非常に重要とし、細胞株開発における分析・細胞単離ソリューションの全体像(図1)を示しながら、3製品を紹介した。

 

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                              図1 細胞株開発におけるザルトリウスの分析・細胞単離ソリューション

 目的の細胞を識別して自動的に回収する「CellCelector Flex 自動細胞イメージング・ピッキングシステム」は、細胞のモノクローナリティを担保しつつ、高い生存率を維持しながら迅速に生産細胞株クローンをつくることができるという。

 操作としては、まずプレートを顕微鏡・カメラ部分(明視野観察、位相差観察、落射蛍光観察に対応)にセットし読み込ませ、読み込んだ画像を付属のソフトウェアで解析して目的の細胞を検出。検出した1個の細胞または特定の細胞集団を高精度なロボットで回収するという流れとなっている。

 丸山氏は、CellCelector Flexの性能を最大限に発揮する方法として、ナノウェルプレートと組み合わせて使用することを勧めた。ナノウェルプレートは、1つのウェルの底面に幅25~200 μmのさまざまな形状のナノウェルが4,000~200,000個あり、細胞を播種するとナノウェルに細胞が入り、シングルセルとして単離・培養できるというものだ。仮にナノウェルに複数の細胞が入っても、高品質なイメージングによって除外されるため、確実にシングルセルを検出することが可能となっている。

 「ナノウェルプレートを使うことで、従来の限界希釈法などよりも効率的にシングルセルクローニングを行うことが可能になります。また、ナノウェルプレートでは、細胞自体はナノウェルごとに分離されていますが、培地はつながっているので、細胞間クロストークが可能となっており、細胞を集団で培養した際と同等の高い生存率を維持できます(図2)」(丸山氏)。
 

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                            図2 限界希釈法とCellCelectorナノウェルプレートによるクローニングの比較

 CellCelector Flexでは、ほかのアッセイとの組み合わせで、生産物の量を同時に見ることやその結果をもとに目的の細胞だけを回収することもできるほか、それらの測定によって得られた数値データや画像はすべて自動的に保存される。トレーサビリティも確保されるため、レポート作成用に出力することも可能だ。シングルセルのほか、クラスター、クローン、スフェロイド、オルガノイド、接着コロニーといった、幅広い範囲の細胞を自動的に識別して回収することもできる。

 

■超高速解析可能なフローサイトメーター「iQue®3」

 「iQue®3超高速フローサイトメーター」は、CellCelector Flexでクローニングした細胞株のなかから、高生存率・高生産能力のものを探すための超高速測定ができるフローサイトメトリー型アナライザーである。

 「測定から解析までのスピードがほかのフローサイトメーターと比べて、類を見ないほど早く、最短で96ウェルプレートを5分、384ウェルプレートを20分で処理できます。測定に使用するサンプル量はVボトムプレートを使用することで、96ウェルなら1ウェルあたり最小10 μL、384ウェルなら最小6 μLと非常に少ない量で測定できるので、貴重なサンプルの節約やコストダウンも可能です」(丸山氏)。

 解析には、専用ソフトウェアを使用するが、すべてのウェルデータをまとめて1つの散布図に表示させ、特定部分にゲーティングをかけると各種測定データを示すグラフが自動的に生成され、ゲーティングの位置を変えればそれに合わせてグラフも変更される。さらに、生産能力や生存率といった複数項目について基準を設定することで、どのウェルが基準を満たしているかを視覚的に確認することができるという(図3)。

 

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                                           図3 IgG濃度、細胞数、生存率の相関性評価

■クルードサンプル中のタンパク質も直接分析できる
  「Octet® 生体分子間相互作用解析システム」

 生産された抗体などのタンパク質を評価できる「Octet® 生体分子間相互作用解析システム」は、抗体の濃度定量や親和性評価、タイター測定、糖鎖解析、エピトープ解析といったさまざまな解析を、非標識で測定でき、培養液などのクルードサンプルをダイレクトに測定もできる。汎用性が非常に高く、細胞株開発に限らず、薬物候補化合物スクリーニング、バッファーや培地の最適化、品質管理といった開発初期から製造に至るまで、さまざまな用途に使用することが可能だ。

 クルード培養液での抗体濃度定量について、ELISAやHPLCを用いた場合とOctet®を用いた場合とを比較した例で大きな差が出たのは、結果を得るまでに要した時間だ。ある測定においてELISAでは6時間以上、HPLCでは10時間程度かかったのに対し、Octet®を用いた場合はサンプル調製が不要ということもあり、所要時間は30分程度で、かつCV値10%以内の高い精度が得られたという。

 「ELISAは感度が高い分、サンプルを希釈しなければならないので、それによって誤差が生じる可能性もあります。Octet®を用いた場合は、希釈が不要となるケースが多いため、誤差の心配がなく、培養液上清をそのまま使える点も便利です」(丸山氏)。

 また、Octet®は同社のマイクロバイオリアクターシステム「Ambr®15」と組み合わせて使うこともできる。装置間でのデータ移行がスムーズにできるようになっており、Octet®の解析データをAmbr15にフィードバックすることもできるという。

 このほか、同社では糖鎖分析用キット「Octet®GlyM Kit」、「Octet®GlyS Kit」も提供している。Octet®では培養液をそのまま測定できるため、精製する前にマンノースやシアル酸の含有量を基準にスクリーニングすることができる。さらに、この糖鎖スクリーニングの結果とOctet®で得られたほかの測定結果(抗体濃度定量、タイター測定など)を統合して、解析することができる(図4)。
 

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                              図4 タイター測定と糖鎖スクリーニングを統合したシンプルなワークフロー

 「ザルトリウスでは、紹介した製品を中心に、お客様の細胞株開発の加速化・効率化を今後もサポートし、医薬品開発に貢献していきたい」と丸山氏は意気込みを語った。

 

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■お問い合わせ
ザルトリウス・ジャパン株式会社
〒140-0001 東京都品川区北品川1-8-11  Daiwa品川Northビル4F
E-mail:hp.info@sartorius.com
URL:https://www.sartorius-labsolutions.jp/

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