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ポストコロナ時代のGDPマッピングと温度モニタリング戦略を探る
第1回 GDP の歴史を紐解き、重要性を再認識する

ヴァイサラ

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 ヴァイサラは、「ポストコロナ時代のGDPマッピングと温度モニタリング戦略」と題する
セミナーを開催し、GDPガイドラインに準拠した適切な医薬品保管管理のヒントを示した。ここでは、その内容を① GDPの重要性が認識されてきた経緯、②規制準拠の具体的要件、③ビジネス環境の変化も含めた将来像―と3回に分けて紹介。過去、現在、未来と時系列に沿ってGDPの変遷を辿ることで、今後求められる対応策の本質を探る。第1回となる本稿では、GDPが重視されるようになってきた背景を振り返り、改めてその重要性、位置づけを確認する。※解説 ポール ダニエル氏 VAISALA Inc. シニア GxP レギュラトリエキスパート

 

■温度管理にセンシティブな製品の増加と社会での認知

 講師を務めたポール・ダニエル氏は、GMP/GDPに深い知見を持ち、バリデーションサポートなどを担当し、多くの顧客ニーズに応えてきた実績をもつ。同氏は冒頭で、新型コロナワクチンの温度管理について触れ、「モデルナ製は-25~-15℃、ファイザー製は-90~-60℃という非常に厳しい温度帯での管理が必要になりました。このことは、温度管理が製品品質を保って所期の効果を得るために非常に重要であることを広く世に浸透させた例と言えるのではないでしょうか」とし、昨今は厳しい温度帯での管理が必要な製品が増えている事実と、温度管理の重要性が広く認知されている状況を説明した。そのうえで、「現在のGDP要件や今後求められる対応を知るうえで、どのように今現在に至ったかということはとても重要です。まずはそこから解説します」と述べ、GDP準拠が求められるようになった背景を振り返った。

 

■温度管理の規定、制定のきっかけとは

 製品の品質確保のため、適正な温度で管理するということは、GMP領域では以前より行われており、急に求められるようになったものではない。

 「GMPに準拠しているすべての国で同様に、温度管理はGMPが発出されて以降、変わらずに守られている基本要件です。特に製造、保管における温度管理が昔から明確に求められてきました。一方で、米国の連邦規則21 CFR Part 211、Subpart Hの『保管および流通』では、“倉庫管理”のセクションで温度管理の必要性が示されているものの、“流通”という別セクションでは触れられていないなど、同一規制文書でも一貫していない部分がありました。これでは、実際の流通場面で齟齬が生じることにもつながりかねず、温度管理を的確に理解して流通上運用している例は必ずしも多くはなかったのです」とダニエル氏は明かす。

 その中でも特に、冷蔵・冷凍品は、管理が明確で対応もしやすかったが、常温・室温管理品はそうではなかったという。
 「室温管理品は、自動的に温度管理された倉庫で保管されるわけではなかったので、1990年代に、室温管理品が流通過程で温度上の問題を生じる事案が起こってきました」とダニエル氏は紹介。

 この問題を受け、米国薬局方(USP)は、1995年に「決議10」を可決した。これは、出荷時に温度管理が必要なUSP収載化合物を特定することが目的で、明確に温度管理を規定していく契機になった。さらにUSPは、流通上の温度管理の実態を把握すべく、1997~2000年に出荷に関する科学的調査を実施。すべての調査において、出荷時に大幅な温度逸脱が見られ、最大で60℃もの高温にさらされる例が認められたという。これらをきっかけに、USPはGDPの不備に対処するチャプターの作成を開始し、今日に至るまでさまざまな規定が設けられることとなった。

 

■温度管理は“製品の保護”、社会的状況も影響

 2000年代から規定の策定が進んだのは、社会的な動きも関係しているとダニエル氏は指摘する。

 「2000年初頭は、テロや戦争の勃発があり、社会情勢が不安定になった時期でもあります。このタイミングでFDAは、規制の在り方として“製品を管理する”から、“製品を保護する”という点に主眼を置きました。通常どの国でも、医薬品の緊急在庫を持っていますが、それらも適正に温度管理しなければ品質が保たれません。また同時に、急速に進んだグローバル化によってサプライチェーンが複雑化し、インドや中国から原薬を輸入する例が増えると、偽造品の混入などGDP準拠が難しい状況も発生しました。こうした要素が現在の規制整備につながり、世界中で多くのGDP関連規制・文書が発出されることとなりました」(ダニエル氏)。

 

■GDP準拠の本質は目新しいものではない

 ダニエル氏は、これらGDP関連規制・文書にについて、GMPの観点からは特に目新しいポイントはないとしたうえで、「違いがあるとすれば、それはGMPでの要件が流通過程に対しても求められることになったという点です。例えば、リスク評価やバリデーションなどは、GMPの基本的実務として実行されるものだが、これらについて流通過程でGDP対象企業が準拠することが必要になったのが変化のポイントです。GDPの特定項目で対応すべき実務ポイントを挙げると、温度マッピングと継続的な常時モニタリングがあります」と説明する一方で、すべてのGDP対象企業がそれらを行っているかというとそうは言えないのが現状だと述べる。

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 「に示すように、多岐にわたる関係者がGDPの対象となる中で、全体のゴールはGDP準拠を達成するということ。未対応の部分がある現状を変えていくには、ビジネス上のインセンティブやリソース確保、法的規制が必要になってきます。サプライチェーン上流にいる企業から対応を進め、下流にもその影響が広がっていくのが理想です」との意見を披露した。多くの利害関係者が絡むGDP対象のサプライチェーンは統合されていても、コールドチェーンはそうではない場合も散見されるが、世界中でGDP関連文書が発出されるに至った現在は、コールドチェーンを正しく管理することの重要性が増しているという。

 
 コールドチェーンには、一般的に静的と動的の2種類がある。すなわち倉庫や製造メーカーの工場、薬局や病院で製品が止まっている状態と、出荷や輸送時に製品が動いている態のものだ。ダニエル氏は、特に静的なコールドチェーンに焦点を当て、「GDP準拠にあたって3つのポイントがあります。それは①機器/施設の整備、②温度マッピング、③継続的な常時モニタリングです」と説明し、具体的にどのように対応していくべきか、実務的視点での解説に移った。

 次回(第2回/2023年6月配信)は、GDP準拠に必要なこれら実務的要素についての内容をまとめる。
 

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ヴァイサラ株式会社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング16F
TEL:03-5259-5965
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