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―環境モニタリングシステムとビル管理システム―
異なる2つのソリューションを理解して合理的コストでの運用を

ヴァイサラ

 

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 ヴァイサラは、「環境モニタリングシステム(CMS)とビル管理システム(BMS)」と題するウェビナーで、医薬品の品質確保に必須となる環境モニタリングシステム(CMS)と、HVACシステムをはじめ、建物全体の機能制御や管理を行うビル管理システム(BMS)の違いを説明し、コストや機能面の考慮など、両システムの適正運用の考え方を示した。
※解説 ポール ダニエル氏VAISALA Inc. シニア GxP レギュラトリエキスパート

 

 

■CMSとBMSの間にある根本的な差異

 医薬品はその特性から、製造環境の正確な計測が求められ、得られたデータを適切に管理することが重要になる。これは適正な環境の下、GxPなどの規制に準拠して製造された医薬品でなければ、期待される有効性・安全性に懸念が生じてしまうためであり、その期待事項を満たしていることの証明となるのが、正確に計測・管理されたデータであるためだ。

 ヴァイサラは長らく、ライフサイエンス業界で顧客にCMSを提供してきたが、あらゆる建物でその環境制御やデータ管理を行うシステムであるBMSと、CMSの機能が混同されるケースに遭遇したこともあるという。

 「両システムは、同等であるという考え方が生じる可能性もありますが、これは適切ではありません。最新のすべての建物にビル管理システムが必要であることは明らかで、多くの役割を担っている一方で、一般的にCMSが必要になるのはGxP環境下であり、機能がその目的に沿って専門的に設計されています。両システムは、その目的から別のものであると考えられ、双方が連携して機能するものだといえます」と講師を務めたポール・ダニエル氏は説明した。

 

■“同じような機能”だけでは満たせない専門性

 一部の企業では、GxPの規制環境下で使用されることを目的につくられたCMSの役割を、BMSで担うことができないかと模索することがあるという。BMSは、ビル全体の管理に用いられるため、すでに大きな投資をしているケースがあり、その範囲内でCMS機能を代用できないかとの考えがあるためだ。この点についてダニエル氏は、「それはできません、というのが私の答え」と述べ、比喩を用いて以下のように意図を説明した。

 「たとえば、コルク抜きとスイスアーミーナイフを考えてみます。それぞれ異なる目的でつくられていますが、スイスアーミーナイフにはコルク抜きがついていて、コルク抜きにもナイフがついている場合があります。しかし、これらは異なる道具です。スイスアーミーナイフがコルク抜きの代用になると考える人がいるかもしれませんが、おそらくキャンプでの使用であれば問題ないでしょう。しかし、何本ものワインボトルを開けるウェイターやバーテンダーであれば、プロ向けの道具であるコルク抜きを使用して、プロとしての仕事を行うはずです」。

 正確な計測、完全性を有したデータ管理、規制への準拠など、さまざまな面で“プロとしての仕事”を完遂する機能が必要とされる医薬品においては、CMSの活用が目的達成への近道であることをダニエル氏は示唆した。

 

■“CMSとしてのBMS活用”はより大きなコスト負担に

 BMSをCMSの代わりに使用することがなぜ難しいか、具体的な解説も行われた。主には、▽コスト、▽バリデーション、▽基本的な目的、▽GxP要件、▽冗長性―という複合的な観点がその理由に挙げられる。

 コストについては、企業がCMSとしてBMSを使用する最も強い動機の1つになるという。「“CMSとしてのBMS”を考えると、必要になる追加コストが発生します。環境モニタリングは効率ではなく、規制準拠を目的としており、BMSとは根本が異なります。そのため、BMSでCMSとしてのタスクを実行する場合は、まず要件に適したセンサとその設置から検討する必要があり、配線も複雑でこれらは専門のベンダーへ依頼することになります。また、プログラミングもカスタムが必要で、人員追加が必要なケースもあり、規制要件に適合するには、既存のBMS機能にタスクを1つ追加するという単純なものでは対応できないのです。私の見積もりでは、BMSをCMSとして使用する場合、少なくとも2倍のコストがかかり、特に校正などの他のすべてのコストを考慮すると、場合によっては10倍以上大きなコスト増となる可能性があります」とダニエル氏は指摘する。

 システム運用だけでなく、バリデーション対応を考えると、コスト増加幅はより大きくなる。BMSではバリデーション対象範囲が大きく、多大な業務負荷がかかるためだ。目的が異なるものを代用しようとすることには困難さが伴うことが、コスト面からもうかがい知れる。

 

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■適切な機能を発揮できる運用を

 両システムの違いを踏まえ、より効率的かつ適正なコストでの運用は、それぞれを目的範囲の中で活用することだ。

 たとえば、CMSについてヴァイサラの『viewLincシステム』を例にすると、センサの設置は簡便で低コスト、ワイヤレスのため配線も不要で、バッテリ駆動式データロガーを壁に設置する程度となる。設置完了後は『viewLinc』でデータロガーが構成され,システム全体で1つのライセンスを使用するといった特長もある。CMSとしての目的が明確に設計されているため、BMSで代用しようとする際に発生する業務負荷や追加コストが不要だ。

 また、両システムをどちらかの代わりとして使うのではなく、双方を用いることで冗長性が生まれ、それが“保険”にもなるという考え方もできる。

 「BMSとCMSの導入で、2つのシステムが存在するという冗長性が生まれ、CMSが故障した場合にBMSセンサがバックアップ記録を提供することが可能になります。前述のとおり、この記録はGxP用には不十分ですが、ないよりもよく“保険”として考えることができます。BMSは、安全で効率的な建物を実現するには必要なシステムです。そしてGxPにおいては、CMSが製品の品質を支える規制準拠の領域を確保するという観点で重要です。2つのシステムを目的別に活用することが適切なアプローチといえるでしょう」とダニエル氏は述べ、両ソリューションをそれぞれ目的に応じて運用することが重要であることを示した。

 

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■お問い合わせ
ヴァイサラ株式会社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング16F
TEL:03-5259-5965
URL:https://www.vaisala.com/ja/contactus

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