─AD━
ワクチンの製造から流通まで
品質確保に大きな役割を担う計測技術
ヴァイサラ
ヴァイサラは、「ワクチン製造プロセスと物流における計測ソリューション」と題するウェブセミナーを開催し、ワクチンの精製、製造、流通という3つのプロセスで必要になる品質管理のアプローチとそれを支える計測技術について紹介した。
■重要工程の1つ、精製で必要な要件
最初に講演したキモ・コイブラ氏は、インライン屈折率計を使用したワクチンの精製工程について説明した。一般的にウイルス性ワクチンの製造では、まず卵ベースまたは細胞ベースのプロセスでウイルスを増殖させた後、ウイルスの不活化などを経て濃縮と精製を行い、最終的に他の成分と混合されてワクチン製剤となる。この中で『精製』のステップは、宿主細胞または培地由来の不純物を除去し、最終製品の安全性を確保する重要なステップとなる。
「まず、密度勾配のある特定の濃度範囲のショ糖/スクロース溶液をローターに注入する。例えば、インフルエンザワクチン製造では、通常0~60%のショ糖/スクロース溶液が使用され、ローターを加速させると回転によってショ糖/スクロース濃度が0~60%の密度勾配のバンドを形成する。その後、ウイルスを含む試料液体をローターに注入すると、試料内のウイルス粒子が密度勾配に沿って移動し、沈降速度と密度の違いに応じて分離してバンドが形成され、運転終了時にローターが減速して静止し、バンドを回収できる状態になる」と、コイブラ氏は、精製工程の例として『ショ糖/スクロース密度勾配を使用した精製』について一連の流れを示した。
異なる画分の分離は、ワクチンユニットからのダウンロードラインで、プロセス屈折率計を用いてショ糖/スクロース溶液の濃度変化を直接計測することで行う。屈折率を計測して回収することで精製するため、作業に効率性をもたらす屈折率計が円滑なプロセス進行の鍵を握ることとなる。
■独自技術でメリットを提供
ヴァイサラの屈折率計は流量や流速に影響を受けず安定した計測が可能で、密度勾配を始めとする様々な用途でメリットを提供している。
さまざまな口径接続のフローセルをラインアップしているため、お客様のニーズに合わせたパイプやホースに対応可能。自動温度補正、高速応答時間、NISTトレーサブル校正とオンサイト検証などの特長を備え、医薬品グレードの材料が使用されているため、あらゆる種類のCIP溶液、水酸化ナトリウム、過酸化水素への適合性があるなど、汎用性が高いソリューションの提供を行っている。
「FDA 21 CFR Part 11に応じたデータ記録と保管などの規制要件もクリアし、計測ソリューションの拡張性などの条件にも対応している。拡張性があるということは、同じ計測機器を試験所規模のバッチから生産規模まで幅広いスケールに対応できることを意味する。写真に示すように、中央にあるセンサは、のちにフルスケールの製造用に変更されている。このような変更が一般的に行われている」(コイブラ氏)と、ヴァイサラの対応力の幅広さを示した。
■バイオリアクターの要点とCO2計測の重要性
ワクチン製造の中で同社の独自技術が活きるのは、精製工程に限られない。バイオリアクターを用いたステップでも正確な計測技術によって、プロセスの信頼性を下支えしている。
「適切な計測と予防保守活動を組み込むことによって生産設備を保護し、信頼性と拡張性の高い生産能力を実現できる」(ジャスティン・ウォールシュ氏)とし、現在のワクチン製造に汎用されるバイオリアクターの特徴や製造プロセスについて概説した。
「細胞を物理的環境や化学的環境に保持する際、パフォーマンスを最適化して廃棄物を減らすには、温度、pH、溶存酸素、栄養素、撹拌、圧力、二酸化炭素(CO2)など、主要なパラメータを計測し、適切に管理することが不可欠である」と述べ、さまざまな環境下で 安 定 的 か つ 正 確 なCO2計測を実現する同社の『CARBOCAP®』の機能を紹介。ワクチン製造プロセスのあらゆるステップで、信頼性担保に寄与する技術を有していることを示唆した。
■流通プロセスで必要な温度モニタリング
最後に講演したポール・ダニエル氏は、ワクチンの流通過程に着目し、その中で必要な温度計測、モニタリング技術について紹介した。
ワクチンは、品質への影響を避けるため通常2~8℃、-15~-25℃のように厳しい保管温度要件が設定されている。規制面では21CFR Part 211で温度管理について規定されており、FDAでは「文書がなければ実施されていないとみなすアプローチ」をとっているため、ワクチンを適切温度で保管し、それを証明するデータ・文書を備えるために、流通過程での温度モニタリング実施が不可欠となる。
「モニタリング技術には、温度計と記録簿を使用するシンプルな方法やチャートレコーダー、自己完結型のデータロガーなど、いくつかの種類がある。これらのモニタリングデータは電子的に保存され、アクセスできるように定期的にダウンロードされるなどの方法で収集する必要があり、自動化システムを使用している企業も少なくない。このモニタリングシステムでは、通常はデータロガーによってデータが収集される」と、ダニエル氏はモニタリングシステムの概要をまとめた。
収集されたデータは、ネットワークを介してデータベースに保存されるが、これらのシステムにはリアルタイムのデータ分析機能が求められ、温度が仕様から外れたときに担当者に通知するアラーム機能などによって、事前対応的にワクチンを保護する機能が必要とされる。こうした要件に対応しているのが、同社のviewLincモニタリングシステムだ。
「viewLincは、“最新の自動化モニタリングシステム”である。データロガーとセンサ、ネットワークがあり、中央集中型サーバー上にviewLincソフトウェアがインストールされるという構成で、既存のイーサネット(WiFi)技術に依存せず、独自開発されたVaiNetと呼ばれるワイヤレスプロトコルを使用することで、業界最長のワイヤレス範囲を実現するとともに、通信や電源用の配線も不要としている」と、ポール・ダニエル氏は長所を端的に説明。流通プロセスでは、多くの輸送経路や倉庫などを経て、製品が医療機関に届けられるが、その中で効率的かつ正確に温度モニタリングを実施するためのソリューションも同社は有していることが紹介された。
このようにヴァイサラは、独自に培ってきた高い技術力を活かし、精製、製造、流通という幅広いステップで、ワクチンの市場への提供をサポートしていることが示された。
■お問い合わせ
ヴァイサラ株式会社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング16F
TEL:03-5259-5965
URL:https://www.vaisala.com/ja/contactus