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滅菌に関する各種規格の最新情報を配信
サクラエスアイ

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サクラグローバルホールディング㈱     代表取締役会長
松本 謙一 氏

 2022 年2 月、サクラエスアイ株式会社は「2022 滅菌バリデーション Web セミナー」を開催し、一般講演・特別講演の全4 講演を配信した。

 サクラグローバルホールディング株式会社代表取締役会長の松本謙一氏は、開会の挨拶で、企業の健康という組織的な観点からコンプライアンスの重要性を述べ、「コロナ禍であっても、品質の維持・向上、研究開発、バリデーションなどについても深く追究していきたい」と話した。また、サクラ精機株式会社が新設した研究開発センター(長崎市・出島)では、人材育成などにも積極的に取り組むとし、「世界中のマーケットに向けて、現地製造あるいは日本からの輸出などを展開していきたい」と、サクラグループとしての意気込みを語った。

 

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サクラエスアイ㈱ 学術担当 吉田 昌 氏

■トピック(CSV 及びCSA について)― CSA ドラフトが2022 年に発出予定―

 コンピューターシステムバリデーション(CSV)関連のトピックと題した一般講演では、同社 学術担当の吉田昌氏が登壇。吉田氏は、米国FDA のCDRH(Center for Devices and Radiological Health)から、「Computer Software Assurance for Production and Quality System Software」という新しいガイダンスのドラフトが、2022 年度に公表される見込みであることを紹介。

 吉田氏は、CSV とコンピューターソフトウェア保証(CSA)の比較図を示し、「従来のCSV から、クリティカル・シンキングと文書作成の比重が反転する。CSVのパラダイムシフトとして、例が示されている」と述べた。ただしCSA について、パイロットプログラムが提示されているのみで、実際の細かい枠組みは現時点では明示されていないとした。

 

■ISO 11135、ISO 17665 の改訂作業進む

 ISO/TC 198(ヘルスケア製品の滅菌)における規格制定に関するトピックについて、同社 技術部技術サポート課の木村豊氏が講演した。

 WG1(EO 滅菌)では、ISO 11135 の改訂作業が進み、改訂版発行は2023 年7 月に予定されていると紹介した。また、WG3(湿熱滅菌)では、ISO 17665 の改訂作業が進んでいるという。ISO 17665 は、現在、ISO17665-1、ISO/TS 17665-2、-3 の3 つから構成されており、「改訂の意義は、これらを1 つの規格として統合することにある」と木村氏は説明し、改訂版発行予定は2022 年12 月とした。そして、「ISO 規格の改訂は、JIS 規格の改訂へとつながるため、今後も注視していかなければならない」と述べた。

 

■湿熱滅菌における滅菌条件設定に新たな提案

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サクラエスアイ㈱ 学術顧問 ISO/TC198 WG1(EO 滅菌)国内対策委員会主査
髙橋 治 氏

 同社 学術顧問の髙橋治氏(ISO/TC198 WG1 国内対策委員会主査、ISO/TC198 WG3 国内対策委員)は、湿熱滅菌における滅菌条件の設定法について新たな考え方を提案した。

 はじめに、湿熱滅菌を中心に各手法の原理や特長を解説した髙橋氏は、「最終滅菌、つまり放射線、EO、湿熱といった滅菌方法は、製品適格性(安全性、品質及び性能)に影響を与えるということに注意しながら滅菌条件を設定することが必要」と述べ、適切な設定で目標の無菌性保証水準(SAL ≦ 10-6)を達成し、製品適格性を確保することの重要性を説いた。

 そして、滅菌条件設定における微生物学的方法の問題点として、SAL 達成の対象がバイオロジカルインジケータ(BI)とバイオバーデン(BB)のどちらかが不明確であること、滅菌条件がBI のD 値、菌数N0 などの影響を受けて変動することなどを挙げ、これらの影響を排除することを目的に、新たに滅菌プロセス効率(sterilization process effi ciency;SPE)を定義し、目標SAL に到達するまでの滅菌時間を示すTSAL に基づいた滅菌条件の設定法を提案した。

 まず、BI の滅菌抵抗性を示すD 値について、BI メーカーの試験成績書などに記載されるD 値(DS)と、実際の滅菌プロセス条件で適用した実測のD 値(DM)に差異が生じることに注目し、SPE = DS/DM と定義。算出したSPE に基づき、適用したプロセスの微生物の死滅の促進/抑制を評価できるとした(図 1)。

 そして、SPE とTSAL を用いたt 滅菌条件の設定方法(飽和蒸気プロセス、滅菌温度121℃)について、BB/BI 併用法、オーバーキル法での事例1)を紹介。SPE とTSAL を用いることでBI とBB の関係を明確にし、適切な滅菌条件設定が可能になることなどの有用性を示し、「湿熱滅菌で適用する容器封入製品プロセスや異なる滅菌温度への適用などについても別途、検討していきたい」と髙橋氏は話した。

 

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図1 滅菌プロセス効率(SPE)

 

■バイオバーデンによる微生物同定の重要性と放射線滅菌に関する規格の動向

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株式会社コーガアイソトープ
ISO/TC198 WG2(放射線滅菌)国内対策委員会主査
松本 敦 氏

 特別講演として、株式会社コーガアイソトープの松本敦氏(ISO/TC198 WG2 国内委員主査)が、「放射線滅菌の概要、バリデーション及び最近の動向」について講演した。

 松本氏は、ガンマ線・電子線などの放射線滅菌の特長、バリデーションの手法を紹介し、放射線滅菌バリデーションは、①材質試験、②滅菌線量設定、③線量分布にて滅菌後、3 カ月または1 カ月に1 回、平均バイオバーデン測定を実施し、3 カ月に1 回は滅菌線量監査を行う必要があることなどを説明した。

 また、放射線滅菌に関係する微生物試験の1 つであるバイオバーデン測定について、「微生物群の数を調べるだけでなく、微生物の特長をとらえるのもポイント。ガンマ線滅菌線量の設定前にバイオバーデンがわかれば、設定方法を適切に選定できる」と話し、線量監査で不合格になると、場合によっては製品を回収する可能性もあることから、「日頃から、バイオバーデンを調査しておくことが重要」と、日常管理としてのバイオバーデン測定、微生物同定の重要性を強調した。

 さらに、放射線滅菌に関する各規格(図 2)の動向を紹介した。
 放射線滅菌の要求事項が記載されているISO 11137-1の現行版は、Amendment 2 版(2018 年11 月)である。2024 年3 月に改正が予定されており、改正内容は、① ISO 11139:2018 の改正による語句の整合、②VDmaxSD 法の内容追加、③線量監査の要求事項の適正化の3 つ。③について、「大きな変わり目となる」と松本氏。3 カ月に1 回の線量監査といった記載について、「3 カ月目の幅が曖昧であったため、“15 週ごと”と具体的な週単位の記載になる。また、15kGy などで毎月実施するバイオバーデン測定については、条件付で3 カ月ごとに緩和される。15kGy で設定された製品で安定していれば有効だろう」との考えを述べた。

 

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図2 放射線滅菌に関する規格の関係

 JIS T 0806-1 も改訂の準備が進められており、2022年中には改訂版が発行され、現状のISO と同様の内容になるとした。そのほか、ISO 11137-2 のAmendment1 への改訂、ISO/TS 13004 のISO 化など、各規格の現状とJIS 化の状況を整理して講演を終えた。

●参考文献:1)PHARM TECH JAPAN, 37(15):55-64,2021

 


■お問い合わせ
サクラエスアイ株式会社
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-5-14 入江ビル
TEL:03-3231-1612
E-mail:contact@sakurasi.com
URL:https://www.sakurasi.com

 

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