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小規模バイオテック企業とCDMOの良好なパートナーシップを考える
Lonza | ロンザ

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 グローバルCDMOパートナーの選定と協働に関する経験や、複雑なタンパク質の分子設計およびプロセス開発を推進するLeviceptに対してLonzaがもたらした価値についてお話しします。

 

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Simon Westbrook氏

●Levicept創設者・CEO
医薬品開発プログラムの革新および配信に関する優れた業績があり、英国SandwichのPfizerにおける15年間を含む20年間の医薬品の創薬・開発経験がある。
アイデアの概念から臨床データの配信まで、成功を収めた新規プロジェクトの前進に重要な役割を果たしてきた。
疼痛治療用のp75NTR-Fcを含む多数の特許発明者である。
第2相概念実証試験で肯定的な結果を達成した4つのプログラムのチームメンバーで、そのうち3つの共同発明者である。

 

 

 

■小規模バイオテック企業の創設

 私は変形性関節症を治療するための新規鎮痛薬を開発する目的でPfizer在籍時にLevicept社を設立した。当社は、慢性疼痛に対する安全で有効な新規生物学的治療法(LEVI-04/p75NTR-Fc)を開発する、アセット特化型の単一分子を対象とする英国拠点のバイオテック企業で、Index Venturesの出資により設立された。設立8年にわたり、わずか数名の従業員で構成される小規模企業であるが、最高の品質と成功の見通しが確実であると当社が判断した最良のパートナーに対する業務委託に注力してきた。当社が開発するタンパク質医薬品を上市するためには最終的にメガファーマと提携する必要性が高いことを認識していた。

 

■Levicept社のLEVI-04について

 LEVI-04はヒト免疫グロブリン(IgG)に結合する内因性受容体であり、融合キメラタンパク質に分類される。この分子はニューロトロフィン系を操作・調節することで、無痛療法(疼痛緩和)につながり、関節損傷を修復することができる。抗神経成長因子(NGF)分子(NGFを完全に阻害するが、変形性関節症の急激な進行および神経毒性を生じる可能性がある)とは異なり、当社の融合キメラタンパク質は標的を絞った方法で、この経路を操作する。そのため、変形性関節症の治療に対するファーストインクラスの疾患修飾薬となりうる。

 また、変形性関節症患者にLEVI-04を投与する第1相試験において、医薬品候補の安全性が示され、優れた薬物動態が確認され、有効性に関する早期徴候が明らかにされた。当社は、6~7カ国の20施設において約400名の変形性関節症患者を対象とした第2相試験を支援するため、シリーズB資金調達を完了している。GMP準拠下でLEVI-04が臨床試験用に十分量が製造され次第、臨床試験を開始する予定で、2021年後半を予定している。

 

当社は分子設計、拡張性のあるGMP工程の開発、および可能な限り効率的な
最適候補の臨床試験まで実施できるように最良のCDMOパートナーを探していた。

 

■適切なCDMOパートナーの選定

 私はPfizer在職時に、LEVI-04に繋がる研究に取り組み始めた。しかし分子が複雑で、それを理解し開発することに課題があったため、医薬品受託製造開発機関(CDMO)パートナーと協働したが、2度の失敗を経験した。

 私がLevicept社を設立した際には、CDMOとの協働について先入観はなかったが、柔軟でバランスの取れた強力な科学的専門性を有する企業が必要なことを過去の失敗から学んだ。私には分子設計に関するアイデアが豊富にあったが、これは過去に製造されたことのないまったく新規の概念でもあった。Pfizer在職時にLonzaを認知していたが、CDMOと密接に協働した経験はなかった。

 当社はグローバルメガファーマで通常実施するよりも高度な作業に関する資料を作成する予定であったため、分子設計、拡張性のあるGMP工程の開発、および可能な限り効率的な最適候補の臨床試験まで実施できるように最良のCDMOパートナーを探していた。

 抗NGF候補物質に関してLonzaとの経験があるPanGenetics(Abbott Laboratoriesに吸収合併)のKevin Johnson氏、および長年にわたりLonzaと協働している当社CMCコンサルタントのPatrick Hextall氏から、Lonzaについて話を聞き、影響を受けた。なお2人ともLonzaと非常に良好な関係を確立しており、交渉を開始した際に小規模企業である当社の複雑なタンパク質にLonzaは大変興味を示した。

 Lonzaチーム(最初に、英国ケンブリッジの施設における後期創薬活動に焦点を当てたチーム)と徹底的に協働を始めると、この決定が良いものであることをすぐさま再確認した。なぜなら、Lonzaは慢性疼痛(具体的には変形性関節症)を標的とする複雑なIgG融合キメラタンパク質に関する当社のアイデアを前進させる上で役立つ資源、専門性、および柔軟性を明らかに有していたからである。

 

■タンパク質分子およびパートナーシップの構築

 英国ケンブリッジにあるLonza施設の研究チームはサイエンスを理解しており、当社の見解や達成したいことを聞く姿勢から非常に協力的であった。共同でアセットを開発し、有効性および製造可能性に関する望ましい特性を達成できるように、分子設計を微調整し続けた。in silico作業および分子設計における必要性からもたらされる課題に対して、Lonzaの研究員が非常に関心を示してくれたことに私は感謝した彼らは当社が必要とする重要な特性(抗薬物抗体(ADA)の刺激を避ける必要性など)に関して耳を傾けてくれた。

 当初から密接に共同作業を進め、数百万人が罹患する疾患に対する新規治療法の開発を試みていることを全員が共有していた。振り返ってみると、LonzaがLEVI-04に根本的な貢献をしたことで、課題が克服され、この分子の開発が前進したことから、CDMOの選定がどれだけ重要だったかをあらためて認識している。

 数個のプロトタイプ分子を開発した後、当社は最も有望な候補を選択し、変形性関節症の非臨床モデルを用いて、抗NGF候補であるタネズマブとの比較試験を実施した。これらの試験では、過去にタネズマブを投与したヒトで認められた有害事象が再現されたが、LEVI-04投与により複合鎮痛および関節修復を示すことができた。これは極めて重要な躍進であった。

 

■迅速な障害克服

 Lonzaとの研究により、当社にとって重要で知的な特性が確立され、最初のマイルストーンが満たされたことから、シリーズA資金調達を募ることが可能になった。これにより、LEVI-04を臨床(第1相試験)に移行することができ、毒性試験に必要となる大量の製造が可能になった。これを実行するため、英国ケンブリッジで開発されたラボでのプロセスが、英国スラウのLonza施設におけるパイロットスケール製造へと技術移管された。

 LEVI-04はLonzaの著名な製造プラットフォームと一般的に関係がある従来のmAbではないにもかかわらず、この移管は成功した。最初のパイロットランで、この分子の製造が失敗したときが、おそらく当社にとって最も困難な時期であった。しかし、Lonzaのチームには、問題を速やかに診断する技術力と根本原因解析があった。協働することで、すべての課題を是正することができ、2番目のパイロットバッチランを6カ月以内に実施した。肯定的な見方をすると、これらの課題のおかげで多くの事を学習し、最終的にはこの分子についてより良く理解することができたので、これは非常に有益なことであった。

 また、コミュニケーションの良さも最初のパイロットバッチの課題を首尾よく解決するために重要なことであった。すべてについて議論し、通常は週1回、必要に応じて臨時で、合同プロジェクトチーム会議の実施を継続している。当社のチームは、CMCコンサルタントとさまざまな方々とのすばらしい関係によって強化された、Lonzaにおける一貫した顧客・プロジェクト管理窓口を頼りにしている。いくつかの精製に関する課題に対処するため、Lonzaと密接な協働を継続している。一部の課題は、高度にグリコシル化されているため既存のプラットフォーム方法に適さない、このユニークな分子について分析法を開発することである。時間をかけて、Lonzaはこの分子に対する理解を深め、この分野で特殊な専門性を有する第三者と協働し、その結果、この課題の対処に役立つ新技術の革新がもたらされた。

 

■待ち望んだ治療

 複雑なタンパク質をよく理解し、前進させる専門性を有するCDMOを見つけ出すことに関する懸念以上に、当社は小規模バイオテック企業であるため、Lonzaのような大規模CDMOからはグローバルメガファーマよりスケジュールなどの面で軽視されるのではないかと懸念していたが、それはLonzaには当てはまらなかった。グローバルサプライチェーンが直面した2020年および2021年の困難な状況で、多くのワクチン関係者がGMP下での製造設備の獲得で競い合ったにもかかわらず、Lonzaは当社に対して最善を尽くしていると常に感じている。2021年には第2相試験用の原料を製造するためのGMPスロットを確保できると確信している。

 同様に重要なこととして、当社が同じ研究員グループと開発を継続できることをLonzaは保証してくれている。例えば、当社が英国ケンブリッジから英国スラウへ移動した日からLEVI-04の精製工程に従事する2名の研究員がいるが、彼らは詳細に分子を理解しており、スケールアップ作業全体でプロジェクトに関与してきた。現時点で、当社は捕捉段階の1つを改良する作業をしているが、Lonzaの科学的知識は計り知れないほど貴重である。結果として、過去の作業を繰り返したり、一から作り直したりする無駄な時間はない。

 

通常は遂行しない可能性の高い、当社が提案したスケールアップ方法の採用を、Lonzaは受け入れてくれた。

 

■迅速タイムラインを達成する規模および体制

 Lonzaネットワーク内で実験室からパイロットスケール製造へと円滑に移管する能力は、プロジェクトが順調に進む上で極めて重要であった。後期臨床試験や商業化に進むにつれて、Lonzaネットワーク内の他の製造施設を活用できる予定である。また、通常は遂行しない可能性の高い、当社が提案したスケールアップ方法の採用を、Lonzaは受け入れてくれた。例えば、最初のGMPバッチは200~250リットルの規模の予定であった。当社は、別のパイロットランを実行することなく、1,000リットルのGMPバッチへ直接移行することを希望した。Lonzaは当初、躊躇していたが、当社の考えに耳を傾け、最終的に、1,000リットルのGMPバッチへの移行には、中等度のリスクしかないという考えを受け入れた。

 当社の挑戦的な予定を確実に満たすことができるように、英国スラウだけでなく、Lonzaのシンガポール施設でも実施する試験をリスク評価とともに現在計画している。この目的は、変形性膝関節症患者を対象としたLEVI-04のコンセプト証明を確立することである。その後、当社はその段階での出口を探し、Lonzaと実施したすべての作業を購入者に円滑に移管することを目指している。

 

■分子設計から製造へ

 LEVI-04の開発にとって、Lonzaとの協働は当社にとって正しい選定であった。CMC専門コンサルタント、特に過去にLonzaと協働した者がいたことは、非常に有益であった。彼は、当社がLonzaと強固な関係を築くことを助け、社内のさまざまな人々との協働を促進した。英国ケンブリッジの応用タンパク質事業チームが、Lonzaのプラットフォームアプローチに可能な最良の方法に合致させつつ、当社の特殊な目標に合う分子を設計することですばらしい価値を付加したように、工程のかなり初期にLonzaと交渉することも重要であった。

 LEVI-04は独特で複雑な分子で、いくつかの課題を生じた。しかし、課題はどのようなプロジェクトやサービス提供者でも生じるものである。私が感謝していることは、英国スラウのLonza研究員が、課題を迅速に分析、解決する上で適切な知識、専門性およびシステムを有していたことである。また、彼らは当社が達成しようと試みていることを理解し、最も費用効率の良い方法で行えるように取り組んだ。Lonzaは多くの異なる選択肢を与えてくれた。予算の限られた小規模バイオテック企業であるため、それらの選択肢、ならびに当社のCMCコンサルタントの助けがあって、LEVI-04を開発・製造しやすい道が開けた。
 

 Lonza&Me_Logo_0.jpgLonza&Meは、Lonzaをパートナーとして選択したバイオベンチャー企業のストーリーです。モノクローナル抗体から複雑なタンパク質に至るまで、次世代のバイオ医薬品を開発する上での個々の道のりをシリーズで紹介しています。その他のストーリー(英語)はこちらから。

 


■お問い合わせ
ロンザ株式会社 受託製造開発事業部
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-1-14 日本橋加藤ビルディング 9階 
TEL:03-6264-7630(代表)
E-mail:pharma-biotech-jp@lonza.com
URL:lonza.co.jp
 

 

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