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滅菌バリデーションの最近の話題
サクラエスアイ

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サクラグローバルホールディング株式会社 
代表取締役会長
松本 謙一 氏

 2020 年11 月、サクラエスアイ株式会社は「2020 滅菌バリデーション Web セミナー」を開催。一般講演および特別講演の全4 講演をウェブにて配信した。開催にあたって、サクラグローバルホールディング株式会社会長の松本謙一氏が挨拶し、国際社会共通目標であるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)について、「“D”は元来、開発の意であるが、ときには“Diversity、多様性”と捉え、持続可能な多様化目標という意で捉えてもよいのではないか」と多様化が進む社会での開発を見据えた。そして、「多様性を念頭にバリデーションを考えることで、多様化が進む世の中にもマッチするのではないか」と述べた。

 

 

■滅菌条件の設定では微生物学的方法と物理的方法 両者を補完的に検討すべき

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サクラエスアイ株式会社
学術顧問 髙橋 治 氏

 一般講演では、同社学術顧問の髙橋治氏が、滅菌条件の設定とパラメトリックリリースについて解説した。滅菌条件の設定で無菌性保証水準(sterilityassurance level)、SAL ≦ 10 - 6 の達成をめざす際、「過剰滅菌、滅菌不良とならないように、無菌性も製品適格性も確保するようバランスよく設定することが重要である」と述べた。

 湿熱滅菌の滅菌条件設定については、微生物学的方法と物理的方法のそれぞれの問題点に言及(図1)。湿熱滅菌のプロセスパラメータとして、製品適格性確保に対しては圧力、温度、蒸気中の水分、蒸気の過熱度など、SAL 達成に対しても温度、時間、圧力などを挙げ、一方で湿気(水分子)は測定困難であり、物理的および微生物学的な関係の評価も検討が必要であるとした。

 

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図1 物理的方法の滅菌条件設定での問題点

 そこで髙橋氏は、加圧条件下での水分子の熱エネルギーを比較。温度上昇に対して、エンタルピ/ 重量(kJ/kg)の変化は少ないが、エンタルピ/ 体積(kJ/m3 )は大きくなることから、「滅菌に対する湿熱の効果には、体積あたりのエンタルピの影響が大きいだろう」と話した。そして、z値と滅菌温度に対する滅菌時間(分)の計算値をもとに、ISO 17665-2 やJP16 の滅菌条件はz 値= 20℃に近い条件で検討されているとした。

 微生物学的な滅菌条件設定における問題点については、SAL ≦ 10 - 6 達成の確認は直接測定ではないこと、BI の菌数やD 値のロット間の差が滅菌時間の変動や製品適格性への影響が懸念されることなどを挙げ、「滅菌条件の設定には、微生物学的方法と物理的方法でそれぞれ補完すべき」と話した。

 パラメトリックリリース(PR)については、医療機器製造と医薬品製造では取り扱いが異なること、PR が広まらない理由などについて触れた。

 

■コロナ禍でMDR 適用は1 年延期 2021 年5 月へ

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旭・デュポン フラッシュスパンプロダクツ株式会社
池田 一朗 氏

 特別講演①では、旭・デュポン フラッシュスパンプロダクツ株式会社の池田一朗氏が、欧州(EU)のMDR(医療機器規則)と、ISO 11607(最終段階で滅菌される医療機器の包装に関する国際規格)との関連性、ISO 11607 の2019 年改定について講演した。

 EU の医療機器に関する3 つの指令、「AIMDD」(能動埋め込み型医療機器指令)、「MDD」(医療機器指令)、「IVDD」(体外診断用医療機器指令)は、移行期間を経てそれぞれ「MDR」、「IVDR」(EU の体外診断用医療機器規則)の2 つの規則に置き換わる予定だったが、世界的に流行している新型コロナウイルス感染症への対応を優先させるため、MDR の適用開始は当初の予定から1年延期され、2021年5月26日になったと報告した。

 池田氏は、MDR の包装にインパクトのある新しい要求事項のポイントを紹介した後、その変更内容を加味して改定されたISO 11607:2019 を詳説。池田氏は、医療機器包装の最終目的は「包装システムが滅菌を可能にして物理的保護を提供し、使用時点まで無菌性を維持させ、かつ確実に無菌提供することである。医療機器の種類、滅菌方法、用途、使用期限、輸送、保管すべてが包装システムの決定および材料の選択に影響する」として、医療機器・滅菌プロセス・包装システム設計およびプロセスの3つの相互関係(図2)の重要性を述べた。

 

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図2 適切な材料の選択に影響を与える相互関係(ISO 11607:2019 附属書Aより)

 EU での医療用包装規格の状況として、EN ISO11607:2020 が2020 年1 月に発行され、内容はISO 版と同様で、EN ISO にはMDR への適合附属書は含まれていないという。ISO 11607:2019 は、MDR、IVDRへのハーモナイズ規格として不十分な箇所があるため、修正版の発行が予定され、さらにその修正版に基づいて、MDR、IVDR への適合附属書を含むEN ISO11607 が発行される予定があると紹介した。しかし、修正版が発行されるまでについて池田氏は、「最新規格を参照することとされているため、2020 年版を参照して適合を進めることになると言われている」と補足した。

 

■バイオセーフティの4要素を組み合わせ、必要に応じて強化を検討

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BS 総合コンサルティング代表 信州大学特任教授
篠原 克明 氏

 特別講演②では、BS 総合コンサルティング代表、信州大学特任教授の篠原克明氏が、病原体・感染経路やその感染制御などの基礎知識から、バイオハザード対策を実施するための施設・設備の要件、実践まで幅広く解説した。

 篠原氏は、「バイオセーフティとは、バイオハザードが発生した場合、あるいは発生する可能性に対してリスクマネージメントを行うこと。リスクを正確に把握し(リスクアセスメント)、リスクに対する具体的な防御、対応策を準備、実施すること(リスクコントロール)が重要である」と述べた。

 また、バイオセーフティの4つの要素、①安全操作手順、②個人用防護具(PPE)、③安全機器・器具、④物理的封じ込め施設・設備を挙げ(図3)、「これらを組み合わせることによって、微生物の感染経路や環境負荷など、さまざまなバイオセーフティレベル(BSL)に対応でき、効率的なリスク低減を行うことができる。個々の施設・設備を考え、リスクレベルに応じて適切な対応ができればよいと考える。そして、必要な要素を強化することによって、安全な作業ができるというバイオセーフティの考え方を理解していただきたい」とまとめた。

 

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図3 バイオセーフティの4要素を組み合わせて実践

 篠原氏は、「逆に、そのレベルを考えながら施設・設備を使い分ける必要がある」とも話す。物理的封じ込め施設の設計と設備は、BSL の高いものほど複雑になり、同じBSL3 でも扱う病原体のリスク、作業に応じて構造が異なる。また、コスト・生産性という面では、構造が複雑になるほどオペレーティングコストは上がり、一方で作業性は低くなる。これらを踏まえ、「さまざまなリスクを総合的にコントロールすべき。リスクレベルを適切に捉え、安全実験機器やPPE 等による強化を検討するのも1 つ」と述べた。
 

■本Webセミナーを2021年2月22日より再配信いたします。
 詳細は、サクラエスアイ ホームページ をご覧ください。

 

●その他の製品についてはこちらをご覧ください。

 


■お問い合わせ
サクラエスアイ株式会社
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-5-14 入江ビル
TEL:03-3231-1612
E-mail:contact@sakurasi.com
URL:https://www.sakurasi.com

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