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新型コロナウイルスや標的タンパク質の構造解析、候補薬の有効性評価に活用
SAXS/WAXSで医薬品開発を迅速化、品質管理にも
三洋貿易
CPhI Japanが提供するウェビナープログラム、「COVID-19 ワクチン&治療薬 研究・開発ウェビナー Vol.2」(2020年9月17日開催)において、Xenocs社(ゼノックス社)のIsja de Feijter氏が「新型コロナウイルス関連のSAXSを用いた構造解析の紹介」と題して講演。ワクチンなどの医薬品開発における小角X線散乱(SAXS)活用の有用性が語られた。
医薬品開発では、多くの時間と多額の費用を要する。そのため、できるだけ早い段階で的確なターゲットを特定、スクリーニングし、薬物送達プラットフォームおよび製剤設計を迅速かつ完全に構築することは重要である。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効なワクチン、治療法の開発が急がれるなか、Feijter氏は、「SAXSおよび広角X線散乱(WAXS)を用いた構造解析が、医薬品開発プロセスの各段階で活用できる」として、SARS-CoV-2に関連した構造解析の例を紹介した。
■医薬品開発迅速化のキーとなる構造解析情報
散乱角の小さいSAXSは、分子レベルでの構造体の情報を得ることができ、ウイルスの全体像、キャプシドのサイズ・形状、自己組織化と溶融の確認、キャプシド内の遺伝物質の定量などが可能である。ウイルス増殖の挙動を理解できることから、開発初期のターゲット特定の段階でSAXS は有用だという。
特に、感染に関わるスパイクタンパク質の構造解析は医薬品開発の出発点として重要であり、SARSCoV-2のゲノム公開からわずか2週間後に、Cryo-EMによる3D構造が公開されている。Feijter氏は、こうした開発初期の構造解析においてSAXSが重要な役割を果たせるとして、2つのポイント、①凍結などの前処理が不要で、サンプルをネイティブな状態で動的に測定可能、②高解像度技術では困難な、柔軟で無秩序なドメインの3D モデル化に適すること―を挙げた。
さらに、現在臨床試験中のワクチン候補、注射用の脂質ナノ粒子についても、細胞内での挙動をSAXS/WAXSで解析することが可能と説明。世界的製薬会社において、この薬物送達プラットフォームの構築に同関連装置が利用されたとの報告もあるという。SAXSにより粒子やコアの大きさなどが特定され、原子レベルで結晶構造を観察できるWAXSにより、連続した六角形の相で構成されたコアの存在が明らかになり、これらの特性が目的タンパク質の発現に影響を与えることが示されたと紹介した(図)。
■モニタリング、トラブルシューティングにも
SAXSは、5μLまでの少ないサンプル容量で測定可能であり、前処理を必要とせず、液体・固体・ゲルなどのあらゆる状態で測定可能。バッファー、濃度に依存せず、さまざまな製剤間で生物物理学的特性を比較、予測できることも特徴である。温度・湿度・引張・せん断など、目的に応じたさまざまな環境下での構造変化も経時的に観察でき、1回の測定で統計的な結果がハイスループットで得られる。フィンガープリント技術として、品質管理のモニタリングやトラブルシューティングにも適している。
Xenocs社の小角X 線散乱装置BioXolver(バイオソルバー)は、大型放射光施設と同レベルの性能を有し、研究室内に設置可能で、世界的製薬会社の研究開発に使用されている(写真)。医薬品開発の各段階で、構造解析に関する科学的なデータ、解析、考察を提供。Cryo-EM、NMRなどの高解像度構造解析手法と相補的に活用でき、in silicoモデリングに優れたフレームワークを提供する。
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