9月13日(日)~15日(火)
第9回DIA 医薬品開発に必要な生物統計ワークショップ
~ ネットで聞こう、ネットで話そう! 生物統計! ~
(WEB( Webinar)開催)

開催趣旨
 医薬品の開発や審査、あるいは育薬といった医薬品の評価に関わる日々の業務の中で、統計に関連する事項で疑問に思っていることや理解したいと思っていることはありませんか?また、論文や報告書を読む際に統計用語や統計的な結果の解釈で疑問に思うことはないでしょうか?日々の業務の中で、生物統計担当者の言っていることや意図していることがよくわからないけれど、いまさら聞けないということも少なからずあると思います。

 統計手法、試験デザイン、必要症例数、治療の割付け、バイアス、試験結果の解釈、欠測値への対応、中止脱落の治験への影響、検定の多重性など、医薬品の評価に関して統計学が関与する範囲は非常に広く、生物統計家以外の方にとっては、そうした幅広い知識を身につけることは容易ではありません。昨年公開された「臨床試験のための統計的原則」の補遺ICH-E9 (R1)では、試験計画時に試験の目的、対象集団、エンドポイントに影響する中間事象やその扱いなどを議論し、その試験のデータから推定すべきものをEstimandとして試験計画書に定義することが新たに求められていますが、こうした統計関連のガイドラインを適切に理解し、それを実践するためには、相応の統計的な知識が必要となっています。

 臨床試験を実施する立場ではなくても医薬品の評価に関っていれば、公開されている添付文書、審査報告書、CTD、論文、広告資材、インタビューフォームなどの文章や図表をしばしば目にする機会があると思います。ひとつの臨床試験の中でも、多くの種類のデータが収集され、さまざまな統計解析が行われますが、検定のp値や信頼区間が提示されているからといって、それらの解析結果を鵜呑みにしてよいとは限りません。医薬品評価では、統計的コンセプトを踏まえて、臨床試験から得られるデータそのものについてじっくり検討し、確かな推論を行うことが、より良い意思決定や議論に寄与します。このような作業は、生物統計家と他の非臨床や臨床の専門家が互いの専門性や考えを理解し合った上での協業が必須になります。生物統計家と他の専門家との適切な協業関係を構築するには、生物統計以外の専門家の方々も公開されている資料や論文から、臨床試験の結果を正しく理解できることが不可欠です。

 今回、COVID-19の影響を考慮して、医薬品評価に関わる「生物統計を専門としない方」を対象に、生物統計家とのより良い協業のための統計的コンセプトをご理解頂くためのオンラインワークショップを開催いたします。また、2日間のワークショップに先立ち、ちょっと自信のない方向けに、1日目は統計学の基礎的内容を説明する基礎知識特訓編もオンライン開催いたします。基礎知識特訓編では、「2020年版医薬統計ポケット資料集 第3部:初学者のための医薬統計講座」で示されている内容に沿って基礎知識を丁寧に説明いたします。今年度もポケット資料集を参加者全員の教材として配布し、本オンラインワークショップでも取り上げる予定です。

 2-3日目は、医薬品評価での基本的な統計の原理、試験デザインや医薬品開発に係る最近の話題に加え、医薬品の承認審査の際に考慮される点などを解説します。また、最近のホットな話題としてICH E17の統計的な側面、ICH E9(R1)で示されているEstimand、試験結果のエビデンスレベルについても触れていきます。さらに、2-3日目は、グループワークをオンラインで2日間とも実施します。グループワークでは、本ワークショップの内容を踏まえた具体的な事例を紹介し、その事例に沿った試験の計画や結果の解釈に関する課題を数名のグループで議論してもらいます。グループワーク中は、講師陣が、オンライングループを周回し、適宜、皆様の議論をサポートいたします。講師陣のアドバイスを受けながら、グループ内でいろいろと意見交換することで、本ワークショップの内容をより深く理解することができますので、参加された皆様が、臨床試験の計画を立案したり、論文等で公表されている臨床試験データを解釈する際に大変役立つ内容となっています。

 以上のように、本ワークショップは医薬品開発に必要な統計的観点や統計解析結果の解釈を今一度見直していただくという狙いから、生物統計を専門としない方に大変有益な内容となっております。生物統計の知識は必要だけれども、なかなか学ぶ機会がないという方は、ぜひご参加ください。また、オンラインでの受講に不安のある方は、詳細のFAQをご一読いだたけますようお願いいたします。なお、本オンラインワークショップは日本語で行います。

開催概要
 日程:2020年9月13日(日) 13:00-17:30
    2020年9月14日(月)~15日(火)
 参加費、参加申込方法:下記詳細ページをご覧ください
 詳細:https://www.diaglobal.org/Tools/Content.aspx?type=eopdf&file=%2fproductfiles%2f8959643%2f20308%2Epdf
   

プログラム
1日目 : 9月13日(日) 基礎特訓編

※WEB講演のため、講演時間が多少前後する可能性がございます。
13:00-17:20 (途中、2回ブレイクあり)生物統計学の基本を見直そう:ワークショップ前の基礎特訓編
  講師: 東京大学 大庭 幸治
  ・ 統計学の重要事項:バイアスとバラツキ
  ・ 尺度に基づく変数の分類
  ・ 記述統計、データの把握
  ・ 推測統計:点推定と区間推定
  ・ 点推定と区間推定
  ・ 仮説検定を用いた判断
  ・ 例数設計の概念
17:20-17:30 Q&A と総括

2日目 : 9月14日(月)
9:30-9:45 開会の挨拶と趣旨説明
9:45-12:40 (途中、ブレイクあり)臨床試験で典型的に用いられる統計手法と試験デザイン ~ポイント解説~
  講師: 東京大学 上村 鋼平
     北海道大学病院 伊藤 陽一
  • 試験のタイプ(優越性試験、非劣性試験)
  • 点推定と区間推定
  • 仮説検定と症例数設計・P値・検定の過誤・多重性
  • バイアスを取り除くための工夫(ランダム割り付け、盲検化、etc)
  • 臨床試験におけるバイアス
  • ランダム化の手法と盲検化
  • 解析の事前規定と盲検下レビュー
  • 試験対象集団
  • Estimand
13:40-14:55 モンテカルロシミュレーション を体感してみよう:概念と例数設計の実際
  講師: ヤンセンファーマ株式会社 宮里 盛幸
15:05-16:35 グループワーク・1
  講師: 第一三共株式会社 小山 暢之
      興和株式会社 菅波 秀規
      ファイザーR&D合同会社 荒川 明雄
      ファイザーR&D合同会社 吉山 保
16:35-16:50 Q&A と総括

3日目 : 9月15日(火)
9:30-10:45 臨床試験のデザインと結果の考察 ‐医薬品の審査・相談業務の経験から‐
  講師: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 菅野 弘美
10:55-12:25 グループワーク・2
  ※ 2日目と同じ講師陣による、2回目のグループワークを行います。
13:30-15:00 臨床試験における検定の多重性
  
講師: 横浜市立大学 坂巻 顕太郎
15:10-16:40 その結論、述べる前に考えて!
  講師: ファイザーR&D合同会社 小宮山 靖
16:50-17:05 Q&A と総括

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