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バイオ医薬品製造戦略構築
ポイントを2つのキーワードで紐解く

パセオン

 6月27日、東京ビッグサイトで開催された第2回バイオ医薬EXPOの会場内セミナーで講演したパセオン株式会社のKym Baker氏は、大きな変化にさらされるバイオ医薬品ビジネス環境を概観するとともに、CMO選定の留意点を語った。本稿ではそのポイントを“フレキシビリティ”と“トータルコスト”というキーワードから整理してみたい。

 

Kym氏.jpg
Kym Baker 氏
General Manager 
Pharma Services 
Patheon, part of
Thermo Fisher Scientific
Brisbane, Australia

まずは自社の製品を知ること

 医薬品売上高上位にバイオ医薬品が数多く並び、市場環境に大きな変化をもたらしてから久しい。これまでは抗がん剤が多かったものの、上市される製品の増加とともに開発ターゲットも多様化し、各社激しい競争の中でさまざまなビジネスプランを描いている。そのプランに盛り込まれるべき考慮点は、開発品の市場性、生産体制の構築、コストなどが挙げられるが、Kym Baker氏はこれらについて、「まず市場の飽和性を加味し、過大もしくは過小評価とならぬようにマーケットを見据えるべきである。さらに、科学的/物理的にどの程度安定性を持つかといった製造の可能性についての理解も必要。つまり、需要に応じた供給量を見極め、生産体制や戦略を構築することが必要で、その出発点は“自分たちの製品を知ること”である」と指摘する。

 

 

 

 

単一的なソリューションではもはや限界

 市場競争激化の中では、当然コスト低減圧力も強まる。「製品理解を深めること」によって、原材料費や開発スピードなども含めた“トータルコスト”と製造プロセスのバランスをとり、工程を最適化する必要がある。
 「かつては数千リッタークラスの大きなリアクターで製造するのが主流だったが、薬剤クラスの複雑化とともに高力価・高収率が求められる現在は、新開発品の約50%で5Kリッターかそれ以下のリアクターでよいとする向きがある(図1)。小型のリアクターはスケール可変性が高く、生産体制に“フレキシビリティ”をもたらしてくれる。現在は、1つのサイズですべてを賄おうとするソリューションはもはや必要とされていない」とKym Baker氏は現況を語った。

 

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図1  Today's Biologic Pipeline Doesn't Fit Yesterday's Capacity

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、必要なのは“フレキシビリティ”

 バイオ医薬品の製造戦略上、企業は多くの選択肢をもつ。予算と製品特性に応じ、自社のキャパシティも勘案したうえで、外部委託によるリスク分散やシングルユースの検討、多重製造など多くの要素を考慮しなければならない。これはつまり、各社あるいは各製品ごとの個別性が非常に高いということを意味する。
 そこで重要なのは、やはり個別ケースに応じた対応が可能な“フレキシビリティ”だといえるだろう。専門性、経験、キャパシティ、ビジネス的戦略まで幅広く備え、それらを組み合わせて、各社の要望に合わせた提案ができるCDMOにかかる期待は、ますます高まっている。
 Kym Baker氏は、「たとえば上市までのタイムラインをどう描くか。製造戦略の中でエンジニアリングバッチを入れるか否かといったことも開発スピードとリスクのバランスから判断すべきであり、また上市後に想定以上の製造量が必要になった際には、長期的視点で自社のステンレス設備をスケールアップする間に、CMOを活用してシングルユース設備で供給量を増加させるなどの戦略も有り得る。個別に要求が異なる中で、各ケースで課題を明確にし、適正な“コスト”で最適なゴールをめざせる“フレキシブル”な対応が可能なパートナーを選定すべき」と訴える。

 

積み上げた実績と新たなパートナーシップがもたらす価値

 2017年、サーモフィッシャーサイエンティフィックの一員となったパセオンは、自社でこれまで培ってきた経験に加え、他部門との連携を最大限に生かした提案も可能だ。現在は全剤形の75%をカバーでき、バイオ医薬品に関しては180件の技術移管の実績をもつ。これらは多くの化合物による技術的経験値の蓄積によるものだが、世界中の企業との協働でさまざまなビジネスモデルを後押ししてきたため、戦略的観点からのアドバイスもできる。
 また、プロセス開発、治験薬製造、商業生産までどのフェーズでもサポート可能で、アメリカ、オランダ、オーストラリアなどグローバルに拠点を有することも大きな強みだろう(図2、3)。そしてこれらの製造サイトにおいて、FDAから警告書を受け取ったことがないという高いGMP運用レベルも特筆に値し、NDAの承認実績も過去10年で117件を誇っている。
 技術力、世界中の拠点、ビジネス戦略の知見、どういった角度からもサポート可能な“フレキシビリティ”を発揮し、「みなさまにバイオ医薬ビジネス上の価値を提供できるパートナーでありたい」とKymBaker 氏は呼びかけた。

 

 

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図2 Patheon Biologics Network Services

 

 

 

 

 

 

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図3 Global Network to Support Biologic Clients

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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猪岡 メリッサ 氏
オーストラリア 
クイーンズランド州政府
商務官
<連絡先>
Tel:03-6841-0418

税制優遇利用という視点でみる“トータルコスト”低減

 セミナーでは、Kym Baker氏に続いてオーストラリア クイーンズランド州政府駐日事務所の猪岡メリッサ氏が講演し、同州におけるバイオメディカル産業支援策を紹介した。
 パセオンも拠点を有している同州では、1999年以降、累計で約59億豪ドルを科学技術分野へ投資しており、ワクチン、医療機器、バイオ医薬、医療デジタル技術などの支援についても2026年までの10カ年ロードマップを示すなど、積極的な企業支援を打ち出している。中でも注目されるのが税制優遇制度だ。
 オーストラリアに現地法人を設立、もしくは税法上オーストラリア居住権を有するなどの条件をクリアし、同州で研究開発活動を行う企業は最大43.5%の税制優遇を受けられる(総売り上げが2,000万豪ドル未満の場合。2,000万豪ドル以上は38.5%)。他のOECD国でも類似の税制優遇措置はみられるが、その中でも最も高い控除率であり、企業の研究究開発活動を下支えする同州の強いサポート姿勢がみてとれる。
 CDMOとの連携ならびにバイオ医薬ビジネス戦略構築のうえで、“税”の観点も交え、“トータルコスト”を低減するという議論も、企業にとって検討する価値があるだろう。

 

 


【お問い合わせ】
パセオン株式会社
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町 3-3-6 ワカ末ビル 7F
Tel:03-6202-7666
URL:http://www.patheon.com/japan  

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