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世界最高水準のGDP手順書に基づき-196℃以上の全温度帯で品質保証
メディパルホールディングス
近年、スペシャリティの高い医薬品の開発の重要性が増している。これらは抗体を中心とした高分子や再生医療等製品で、従来の低分子医薬品に比べて温度や衝撃などに敏感で、開発中であっても輸送条件を厳密に管理する必要がある。一方、医薬品規制のグローバル化が進み、GDP やデータインテグリティをはじめとした、新たな概念を理解した品質管理が求められている。
医薬品卸最大手の一つ、メディセオを擁するメディパルホールディングスは、今回、インターフェックス大阪に初出展。開発段階から上市後まで物流面で医薬品の品質を保証し、医薬品を速やかに患者に届けるためのサービス・製品の展示、治験物流受託による上市後までを想定した輸送プロトコル設計の提案は、国内外の来場者から大きな注目を集めた。同社、子会社の希少疾患領域を中心とした医薬品流通を行うSPLine 新旧社長の片野雅彰氏と竹村秀明氏に話を聞いた。
■世界最高水準のGDP 手順書を作成
インターフェックス大阪が開催された翌週の2 月28 日は、“世界希少・難治性疾患の日(RDD:Rare Disease Day)”であった。メディパルホールディングスグループと同グループのSPLine はこの活動に協賛するとともに、物流面からスペシャリティの高い医薬品開発を支援する事業を展開する。
そのサービスの根幹となるのは、今回の展示会で初披露となった自社で作成した全5 冊からなる医薬品適正流通規範の手順書(GDP 手順書)だ(写真)。EUGDP を参考に、温度管理などについて具体的な数字と根拠を定めた。
GDP 手順書の作成は竹村氏の肝いりである。きっかけは、5 年ほど前、欧州の製薬企業の監査で指摘を受けたことである。
「設備のレベルは高い。しかし、その手順書がないようでは受け入れられない」。この一言で、1日かけて行う予定の監査は打ち切られた。「あの時の悔しさは忘れられない」と竹村氏は語り、世界最高水準の手順書を作成することを決意した。
■超低温域の保管・輸送を実現
展示会場で特に注目を集めたのはSDDU(Speciality Drug Distribution Unit)。液体窒素を用いた超低温保管・輸送カートで、- 196 ~- 150℃での温度管理を保証する。液体窒素の充填時間が15 分と、従来の同荷室サイズドライシッパーの24 時間から大幅に短縮された。さらに、保持日数も14 日と長期化を実現。国内初の他家由来再生医療等製品テムセルHS 注(JCRファーマ株式会社)の2016 年2 月の上市後から現在まで確かな品質保証の実績を持つ。
SDDU の優れた機能は温度管理能力だけではない。輸送カートにはWifi ルーター、温度ロガーが内蔵され、温度、液体窒素の残量、位置情報などの情報が同社の物流情報管理システムSDNS(Speciality Drug Network System)に随時保存され、同社の管理者から輸送者、製薬企業、医療従事者などの関係者で情報がリアルタイムで共有される。同社の担当者はスマートフォンで常に情報を確認可能で、仮に逸脱が起こった際には、関係各位にアラートメールが発信される。これら出荷から患者への投与までの環境情報、移動軌跡はログが残され、製薬企業に提供されるため、トレーサビリティも万全である。
医療施設からの注文は投与日を指定することで、規定日時に届けられ、配達状況を確認可能である。このような流通の明確さも医療現場からの製品に対する信頼につながるであろう。
■全温度帯でGDP に基づき IoT を活用した品質保証
GDP 手順書に基づく確かな品質保証と、物流情報管理システムSDNS によるロット単位から個別シリアル情報まで、オンライン管理を兼ね備えたメディパルの流通サービスは、全温度帯対応である。超低温域のSDDUをはじめとし、小型の保冷バッグPico、コールドアイスやパッサーモ(蓄熱剤)、ドライアイスのアレンジで- 60℃以下、- 40℃以下、- 20℃以下、2 ~ 8℃、15 ~25℃、37℃の6つの温度帯に対応可能な定温保冷BOX(REECO)など各種輸送容器を取り揃えている(図)。
CUTE はRFID(HF 帯)を用いて医療現場での医薬品の出納をリアルタイムに管理できるシステムである。直接病院の冷蔵庫などに入れることができ、パッサーモを搭載することで、取り出し時の一時的な温度上昇を防いで品質を維持する。医療施設にとって高額な薬剤を扱うことは大きな負担である。在庫管理を含めたサービスと連携することで、使いやすい製品を目指すことも今後の重要課題である。
■新たな流通価値を創造
高度な品質管理が必要とされる製品開発が求められると同時に、年々厳しくなる関連規制。GDP は欧州などのグローバルではすでに必須要件となり、国内でも近いうちに行政から通知が出されることが予定されている。このような状況の中、開発段階から物流面で協力できることはないかとメディパルは模索する。
初出展となった今回の展示会では、多くの製薬企業の開発や品質部門の担当者がブースを訪れ、各サービスやGDP 手順書に興味を持ち、説明を求める様子が見られた。展示品は、あくまで流通というサービスに利用するデバイスであったが、海外からの来場者にデバイスの購入を持ちかけられるという予想外の場面もあったという。
卸業界での知名度には自信がある同社も、開発分野ではこれから知ってもらおうという気持ちで出展したが、来場者の多さと熱心な反応で、自社サービスにあらためて自信を持つことができたという。これを受けて「6 月に東京ビックサイトで開催されるインターフェックスジャパンでは具体的なサービスの提案を行っていきたい」と、片野氏は意気込みを語る。
メディパルホールディングスの経営理念は「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します」。その言葉通り、医薬品卸の販売担当者にMR の資格を取得させたAR(Assist Representatives)の育成や物流の高機能化といった価値創造を進めるリーディングカンパニーである。新たな品質要件は、新たに求められる価値ともいえるだろう。
グローバル企業に技術は認められながらも、国内外の規制の違いにより受け入れられなかったという挫折から、国内を飛び越え、世界最高水準の品質保証を実現したメディパルとともに、医薬品の新たな価値を創造してみてはいかがだろうか。
■お問い合わせ
株式会社メディパルホールディングス
〒104-8461 東京都中央区八重洲2-7-15
TEL:03-3517-5147
URL:https://www.medipal.co.jp/