2種類以上の消毒剤/殺芽胞剤によるローテーション消毒

殺芽胞剤の選定や芽胞菌対策にお役立てください

2023/02/08

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*本文章は、ベルテック社から特別に許可を得て入手した論文「IMPLEMENTING A CLEANING AND DISINFECTION PROGRAM IN PHARMACEUTICAL AND BIOTECHNOLOGY CLEAN ROOM ENVIRONMENTS, 著者 ベルテック社社長 Arthur L. Vellutato, Jr.氏」を、ベルテック社の許可を得て翻訳し参照して掲載させていただいております。

消毒剤/殺芽胞剤のローテーションの必要性

2種類以上の消毒剤の組み合わせによるローテーションは、実績のある有効な殺菌剤で既知あるいは存在する可能性のある汚染物質に対処する為に設計される必要があります。消毒剤や殺芽胞剤のローテーションの基礎は、生体に有効性が確認された別な消毒剤と組み合わせることで、特定な消毒剤では破壊できない生体に対処することにあります。例えば、フェノール系消毒剤は、接触時間5~10分ではb.subtilis芽胞を殺せないことがあり、0.52%次亜塩素酸ナトリウム(殺芽胞剤)のようなより有効な消毒剤とローテーションを組むことで、この生体の破壊は保証されます。この場合、環境モニタリングが重要で、環境モニタリングの結果によってどのような消毒剤を組み合わせるか検討する必要があります。
 
消毒剤ローテーションの検討、芽胞菌対策
・目的
 実績のある有効な消毒剤で既知或いは存在する可能性のある汚染物質に対処することです。
・基本
 生体に有効性が確認出来た消毒剤を組み合わせて、特定な消毒剤では破壊できない生体に対処する事です。

ローテーションの基本的なパターン
 
化学薬品のローテーションを組んで、消毒体制でより広い抗菌スペクトルを確保したい場合、どのようにすべきかについて考えてみます。
 
ローテーション・システムの設計には、例えばベルテック社が推奨する方法では、次の3種類があります。
 
①1つの殺芽胞剤でローテーションを組んだ単一の消毒剤
1種類の消毒剤と1種類の殺芽胞剤によるローテーション例
・消毒剤1と殺芽胞剤2の組み合わせ例:
 ・消毒剤1+殺芽胞剤2:
  ステア アルコール + 殺芽胞剤2
  デック サイクル    + 殺芽胞剤2
  デック クワット    + 殺芽胞剤2
  ステリ ペロックス + 殺芽胞剤2
    ・殺芽胞剤2:ハイポクロル、中性ハイポクロル、ステリ ペロックス(ここでは重複して使用しない)
・ローテーション例:
1~13日目:消毒剤1
    ↓
 14日  :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布
    ↓
15~29日目:消毒剤1
    ↓
 30日目 :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布

②2つの消毒剤システム(毎月の周期)と1つの殺芽胞剤
・2種類の消毒剤と1種類の殺芽胞剤によるローテーション例
・消毒剤1と殺芽胞剤2の組み合わせ例:
 ・消毒剤1+殺芽胞剤2+消毒剤3
      ステア アルコール + 殺芽胞剤2 +デック クワット
  デック サイクル    + 殺芽胞剤2 + デック フェン プラス(受注生産)
  デック クワット    + 殺芽胞剤2 + ステリ ペロックス
  ステリ ペロックス + 殺芽胞剤2 + デック クワット
    ・殺芽胞剤2:ハイポクロル、中性ハイポクロル、ステリ ペロックス(ここでは重複して使用しない)
・ローテーション例:
1~13日目:消毒剤1
    ↓
 14日      :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布
    ↓
15~29日目:消毒剤3
    ↓
 30日目    :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤2を散布

最初の2つのローテーション方法には、少なくとも毎月殺芽胞剤を使用します。この方法は、お客様の環境条件に合わせて時間枠内で増減して決定します。お薦めの決定方法は、初めの週の散布状況を見て、環境の制御が一貫して達成されるにつれて殺芽胞剤の散布を少なくしていきます。

③1つの殺芽胞剤の単独使用
・殺芽胞剤1:
    0.52%ハイポクロル
    デック スポア(輸入規制が厳しく現在輸入不可)
    中性ハイポクロル
    ステリ ペロックス
・ローテーション例:
1~13日目:殺芽胞剤1
    ↓
   14日      :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤1を散布
    ↓
15~29日目:殺芽胞剤1
    ↓
  30日目    :表面を清掃し、乾燥させ、殺芽胞剤1を散布

3番目は、殺芽胞剤を毎日使用し最も効果的ですが、既知の汚染レベルに対して過剰なものであり、経時的に表面を劣化させるのでお薦めできません。

*消毒だけではなく、清掃にも取り組む必要があります。清掃と消毒は同じではありません。洗浄剤の使用は、存在する残渣を管理する為に必要なステップであり、少なくとも1ヶ月に1回は実施する必要があります。消毒の後で、全ての重要な表面は熱注射用水(WFI)かIPAワイプによるふき取りを行う必要があります。

消毒剤/殺芽胞剤の残留物除去
塩素系の消毒剤や殺芽胞剤、塩化ベンザルコニウム系消毒剤、あるいはフェノール系消毒剤を使用する場合、成分の残留物除去が重要です。ベルテック社では、長年培ってきた経験と技術から、この残留物は、超純水やWFIグレードの水だけでは、なかなか落ち切らないことが分っています。そこで開発された製品がデック クリーン(DEC-CLEAN)です。ベルテック社では、デック クリーンでいろいろな消毒剤や殺芽胞剤の残留物がどれくらい落ちるのかバリデーションデータを持っています。ご興味のあるユーザー様は、下記までお問合せ下さい。

長期にわたる使用、様々な材料表面の耐薬品性試験
ベルテック社では、様々な消毒剤や殺芽胞剤を長期にわたり使用した際に、表面がどのように変化するかについて研究が行われ、重要なバリデーションデータを持っています。ご興味のあるユーザー様は、下記までお問合せ下さい。但し、内容により秘密保持契約を結んでいただく場合があります。予めご了承下さい。


以上、殺芽胞剤の選定や芽胞菌対策に、お役に立てれば幸いです。

お問合せ先
<VELTEK ASSOCIATES, INC.輸入販売元>
テクノケミカル株式会社
〒113-0021 東京都文京区本駒込1-27-9
Tel:03(3947)7310 Fax:03(3947)7306
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