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記事紹介: 希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性 (後編)

登録日:2024/05/09

更新日:2024/05/15

記事紹介: 希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性 (後編)
*ページ下部 "リリース情報を見る" より 記事本文をご覧いただけます。
*前編は下記のリンクからご覧いただけます。
https://ptj.jiho.jp/product/173070/release/157043



今回も前回から引き続き、弊社グローバルキーアカウント・ファーマ部門責任者であるダニエル・アークウェル博士が執筆した記事を紹介します。


ダニエル・アークウェル博士は、イギリスのヨーク大学で分子生物学・遺伝学の博士課程を修了。
その後VWR社、QIAGEN社、GEヘルスケア社にて、製薬業界における広範囲な業務経験を積み重ねてきました。
エンバイロテイナーでは、特に製薬企業との継続的な連携を通じコールドチェーンソリューションの最適化、
世界中へ医薬品を安全かつ迅速に届けるための戦略を推進しています。



前編では、希少疾患治療薬の供給における効率的な物流の重要性と基本的な課題についてご紹介しました。
この後編では、具体的な物流の問題点と実際の解決策に焦点を当て、治療薬を安全かつ迅速に届けるための具体的な手法と戦略を深堀りします。


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『希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性 (後編)』


3. 「製薬業界における物流の最適化とその重要性」
 
製薬業界において、効率的な物流は単なるコスト削減以上の意義を持ちます。
患者の命に係わる医薬品を求められる適切なタイミングで届けるためには、必要条件の下で管理された配送が不可欠だからです。
 
最適な輸送ソリューションを追求する際には、「パフォーマンス」、「環境負荷」、「サービスレベル」、「コスト」等、
各要素間のバランスが求められます。
 
オーファンドラッグの様に、特段厳密な温度管理が求められる医薬品の場合、
輸送全体を通じ、一定の温度帯を維持するために特別設計された梱包を選択する事が重要です。
最適化された梱包は温度逸脱や製品へのダメージを防ぐ事ができ、
結果として再輸送コストや医薬品の破棄を避ける事ができるからです。
現実としてこの様な製品では、全体の約20%がコールドチェーン上のトラブルの影響を受け、
患者が薬を使用できない事態が発生していると言われています。
 
輸送中のトラブルに対する備えの一例として、リアルタイムに庫内温度や位置情報のモニタリングを行い、
トラブル発生時にアラートを発する梱包容器を採用することでリスク軽減をする方法があります。
このようなシステムの導入によって各輸送ポイントの関係者による迅速対応が可能となり、
製品損失や再配送、それに伴い発生する予定外のコストを防ぐことができます。
 
現在の航空温度管理輸送においては、機械で温度管理をするアクティブコンテナと蓄冷材を用いるパッシブコンテナ、
2種類のオプションが存在しますが、それぞれに強みがあると言われてます。
どちらが最適とされるかは製品の温度要件、輸送ルート、総陸揚げコスト(TLC)、
そして製品がどこまでの温度逸脱を許容できるかによって異なるため、この点も検討が必要です。
 
また、オーファンドラッグは少量で製造されるため他の医薬品と併せて輸送されることもありますが、
これにより本来の管理上好ましくない温度・湿度環境下に製品が置かれるリスクもあります。
このリスクを軽減するためには、製薬会社が各物流パートナーと協力し、輸送プロセスを最適化することが推奨されます。
それぞれのネットワークを活用し、ジャストインタイムの在庫戦略を実施することで流通プロセスが効率化され、
コストを最小限に抑えながら効率を最大限に高めた輸送を実現することが可能です。
 
 
4. 「効率的な物流がもたらす影響:希少病治療薬の輸送における課題と解決策」
 
オーファンドラッグが研究施設から患者に到達するまでのプロセスは複雑で、そして高額です。
この高額なコストは開発段階のものだけでなく、配送過程も大きな要因となっています。
物流過程に課題が残る輸送は製品や資源の浪費、そして患者が必要とする治療を受けられない状況を生みます。
 
しかしこれらの課題は、適切な梱包を選択すること、温度管理物流の専門家と継続的な連携を取ること、
そして患者中心のアプローチを進めることで克服できます。
そうすれば疾患の稀少性にかかわらず、より多くの患者が必要な治療/医薬品を得られるようになります。

最終的に、この取り組みは単にコスト削減だけでなく、患者の生命を救う事に繋がるのです。


About the Author
Danial Arkwell, PhD, head of Global Key Accounts, Pharma at Envirotainer highlights the vital role of efficient logistics in mitigating risk
and finding the right solutions to get orphan drugs to patients in desperate need.

参考文献
https://www.statista.com/topics/2493/orphan-drugs/#topicOverview
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9957503/
https://www.pharmaceutical-technology.com/features/navigating-distribution-challenges-for-rare-disease-drugs/
https://www.envirotainer.com/resources/industry-insights/2023/orphan-drugs/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9957503/
https://www.tive.com/blog/real-time-visibility-the-key-to-tackling-product-loss-in-pharma-supply-chains
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当記事では、希少疾患治療薬の物流プロセス最適化における実践的な取り組みとその解決案を共有いたしました。
これらの戦略が患者様の医薬品へのアクセス改善とQOL向上にどのように寄与するかを探求しつつ、
エンバイロテイナーは今後もこれらの解決策を通じ、業界の進化に貢献していく事、
医薬品物流の革新を牽引し続けることを目標としています。
引き続きのご支持とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。


*記事内容に関するお問い合わせは、以下の担当者までお気軽にご連絡ください。

Envirotainer APAC
山下 将太 / National Sales Manager, Japan
shota.yamashita@envirotainer.com
http://www.envirotainer.com/

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