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記事紹介: 希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性(前編)

登録日:2024/05/08

更新日:2024/05/09

記事紹介: 希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性 (前編)
*ページ下部 "リリース情報を見る" より 記事本文をご覧いただけます。


今回ご紹介するのは、弊社グローバルキーアカウント・ファーマ部門責任者であるダニエル・アークウェル博士が執筆した記事となります。
通常より長めの記事となりますため、前編・後編にわけて掲載いたします。


ダニエル・アークウェル博士は、イギリスのヨーク大学で分子生物学・遺伝学の博士課程を修了。
その後VWR社、QIAGEN社、GEヘルスケア社にて、製薬業界における広範囲な業務経験を積み重ねてきました。
エンバイロテイナーでは、特に製薬企業との継続的な連携を通じコールドチェーンソリューションの最適化、
世界中へ医薬品を安全かつ迅速に届けるための戦略を推進しています。



本記事では、希少疾患の治療薬(オーファンドラッグ)が患者に確実に届くための物流プロセスの最適化に焦点を当てています。
アークウェル博士の豊富な経験と専門知識をもとに、効率的な医薬品輸送が患者の生活に与える直接的な影響についての洞察を共有します。


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『希少病治療へのアクセスを変える物流の可能性 (前編)』


1. 「希少疾患の現状とオーファンドラッグの役割」

世界には約8,000の希少疾患が存在し、その多くが生命を脅かす慢性疾患であることが確認されています。
これらの難病に対抗するため、医療界ではオーファンドラッグの開発に力を入れています。
1983年に制定されたアメリカの孤児薬法(Orphan Drug Act)に基づき、
オーファンドラッグという用語は、これらの薬の開発に必要な投資や関心が不足している現状を示しているのです。
 
孤児薬法等の法律は、医薬品メーカーに様々なインセンティブを提供することで希少疾患用薬の開発を促進することを目的としています。
しかし政府の支援があるにも関わらず、複雑な生産プロセスと高い製造コストを理由に、
オーファンドラッグの価格は一般的な薬に比べてはるかに高く設定されています。
 
さらに、患者がこれらの治療を受けるためには、医薬品を研究室から患者の手元まで温度環境を維持したまま輸送する手段が課題となります。
製薬企業が安全でコスト効率の高い配送を手配できなかった場合、多くの患者がこれら医薬品による治療を受ける機会を失います。
これを避けるためには、事前に物流手段を慎重に検討し設計する事が重要です。
 

2. 「物流の課題と希少疾患患者への影響」
 
オーファンドラッグやその他希少疾患治療薬を開発する企業は経済的な赤字を抱えることがあります。
これらコスト超過は研究や生産だけではなく、特殊な治療薬を安全に供給するための調整が原因で発生しています。
 
オーファンドラッグの輸送における課題の一つは温度に対する厳しい制限です。
多くの製品がバイオロジック製剤、遺伝子治療、その他の先進治療であり、その効能を保持するために厳格な温度管理が求められます。
例えば一部の製品は極低温での保管が必須のため、冷凍状態を保ったままの輸送が求められます。
一方、室温での保管が必要な製品もあるなど、求められる条件は製品によって様々です。
共通している点は、輸送中の温度逸脱によりこれらの薬剤は効力を失い、最悪の場合は患者に害を及ぼす可能性がある事です。
 
患者数は少ないもののオーファンドラッグは世界中で使用されます。
時にアクセスが困難な場所へ届けられる必要もあり、この場合輸送プロセスが一層複雑になります。
輸入・輸出規制や異なる国際基準による輸送の遅延や税関での滞留が発生すると、これも温度逸脱の大きなリスクとなります。
更にオーファンドラッグは、患者の自宅や医療施設に直接配送する必要があります。
この場合、地理的な課題、インフラの制限、製品毎の特殊な取り扱いについて考慮する必要があり、
これがラストマイル配送をより複雑なプロセスにしています。
 
これらの課題がオーファンドラッグによる治療費高騰の原因となっています。
経済的に手が届きにくい治療となり、最も必要とする患者が利用できないという、残念な状況に繋がっています。

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当記事の後編は近日中に公開予定となっております。
後編では、具体的な物流の課題とその解決策を詳しく掘り下げる内容となります。
公開後、当記事にもリンクを追記いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


*記事内容に関するお問い合わせは、以下の担当者までお気軽にご連絡ください。

Envirotainer APAC
山下 将太 / National Sales Manager, Japan
shota.yamashita@envirotainer.com
http://www.envirotainer.com/

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