2022/03/16

塩野義製薬とACTGによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 S-217622のグローバル第3相臨床試験の実施について

・米国FDAがCOVID-19のACTIV-2プログラムの一環としてグローバル第3相試験を実施することを了承

・米国NIHが支援する本試験は、重症化リスクを有するCOVID-19感染者を世界中で募集

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、本日、The AIDS Clinical Trials Group 1)(本部:米国カリフォルニア州、以下「ACTG」)と共同で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として当社が開発中の経口抗ウイルス薬(開発番号:S-217622、以下「本治療薬」)のグローバル第3相臨床試験であるACTIV-2d 2)(SCORPIO-HR試験)の開始に向けた進展を発表しましたので、お知らせいたします。

 

1) 近年COVID-19の外来治療の評価に活動を拡大している世界最大のHIV研究ネットワーク

2) 米国NIHのAccelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines (ACTIV) initiativeの一部

 

 ACTIV-2は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の構成機関である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が支援する官民パートナシッププログラム「ACTIV」の一つであり、ACTIV-2d(SCORPIO-HR試験)が含まれます。本プログラムは、COVID-19に対して最も有望な治療薬やワクチンの開発を優先的に加速する協調型研究戦略を立案するために設立されました。ACTIV-2は、COVID-19ワクチンや治療薬、診断薬の開発、製造、流通を加速するための米国政府各機関の取り組みである連邦COVID Response-Therapeuticsからの支援も受けています。SCORPIO-HR試験はNIAIDの資金援助を受け、当社協力の下でACTGが主体となって実施されます。

 

 SCORPIO-HR試験は、SARS-CoV-2陽性者で発症から5日以内であり、重度のCOVID-19へ進行する可能性のあるリスク因子を1つ以上有する外来患者を対象として実施される、48週間 3) の多施設共同、無作為化、二重盲検比較試験です。本治療薬を1日1回、5日間経口投与した際の有効性と安全性を評価します。欧州、北米、南米、アフリカ、アジアより約1,700人の患者登録を予定しており、本治療薬投与群とプラセボ群が2:1の比率で割り付けられます。これまで主に日本国内で実施された第2/3相臨床試験(Phase 2a partPhase 2b part)での良好な抗ウイルス効果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)より本試験の実施が了承されました。S-217622は、培養細胞を用いた予備的な非臨床試験において、オミクロン株の亜種であるBA.2株に対して既存の変異株を用いた結果と同程度の抗ウイルス活性を有することが確認されています。

 

3) 主要評価項目の評価は29日目まで、その後48週目まで安全性、COVID-19発症後の後遺症等を継続調査

 

 S-217622の主任研究員であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校のAnnie Luetkemeyer博士は次のように述べています。

 「S-217622は、COVID-19治療のための緊急使用許可により現在使用されている経口薬と同じクラスの治療薬であり、代謝阻害剤の併用が不要な1日1回投与の簡便な治療薬です。COVID-19の治療には、忍容性が高く、深刻な合併症リスクの低減と感染期間の短縮を可能にするより効果的な選択肢が必要です。これまでに得られている臨床試験データを踏まえ、S-217622がCOVID-19の重要な治療オプションに加わることを期待しています。」

 また、当社代表取締役社長の手代木 功は次のように述べています。

 「多くの人々が日常生活を再開し始めるにつれて、COVID-19の重症化の抑制や医療システムの負担軽減を可能とする効果的な抗ウイルス薬が必要であると考えています。 S-217622は、SARS-CoV-2の体内での増殖を阻害するよう設計された強力な抗ウイルス薬であり、これまでに、感染性のウイルス力価を減少させ、ウイルス排出を速やかに停止させることが示されています。S-217622という新たな治療オプションを、リスク因子を有する患者層を含むより多くのCOVID-19患者さまに提供するためのNIHとACTGの協力および支援を高く評価します。」

 COVID-19が世界的な脅威として人々の生活に大きな影響を与える中、当社はパンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するために、本治療薬の開発に引き続き注力してまいります。

 なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響に関しては、今後、状況に応じて精査いたします。

以 上

 

【S-217622について】

 COVID-19治療薬であるS-217622は、北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、S-217622は3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制します。これまでに得られた非臨床、臨床、製造・CMCに関するデータを基に、2022年2月25日付で条件付き承認制度の適用を希望する製造販売承認申請を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対して行いました。現在、国内を中心に軽症/中等症のCOVID-19患者を対象とした第2/3相臨床試験のPhase 3 part、または無症候/軽度症状のみ有するSARS-CoV-2感染者を対象としたPhase 2b/3 partを実施中です。

 

【ACTGについて】

 ACTGは、1987年に設立された世界初のHIV研究ネットワークであり、結核やウイルス性肝炎など、HIVとその合併症の治療を改善し、HIVに関連する新たな感染症を減らすための画期的な研究を行っています。人々のHIVの予防、治療、そして最終的な根治のための新しいアプローチを推進します。近年ACTGは、COVID-19の外来治療の評価に取り組みを拡大しています。15か国のACTG研究者と研究ユニットは、HIV/AIDSの研究、治療、根治、およびコミュニティでのトレーニングと啓発に多くのリソースを充当しています。ACTGの研究は、現在のHIV感染症を管理するための枠組みの確立に寄与し、HIV治療ガイドラインに情報を提供することにより、世界中でHIV関連の死亡率を劇的に減少させてきました。

 

 COVID-19に対する当社の取り組みは、当社ホームページでも随時更新しております。また、各機関から発信されているCOVID-19に関する情報も同ページにまとめておりますので、ご参考までにご確認ください(塩野義製薬ウェブサイト)。

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.