アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、Dyno Therapeutics, Inc. (President and CEO: Eric Kelsic, Ph.D.、 以下「Dyno社」)と、同社のCapsidMapプラットフォームを活用した、骨格筋および心筋を対象とした次世代の遺伝子治療用アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの共同研究・開発に関する提携契約を、11月23日に締結しました。

 Dyno社のCapsidMapプラットフォームは、in vivoの実験データと機械学習を応用した革新的なアプローチであり、細胞送達に関わるAAVの外殻タンパク質(カプシド)を新たに設計し、臓器指向性と免疫回避特性を最適化するとともに、搭載可能な遺伝子の容量と製造効率を向上させます。従来のアプローチとは異なり、様々な臓器に送達するためのカプシドの最適化を同時に行えるため、多くの疾患に対してより効果の高い全身的な治療を可能にします。

 アステラス製薬は、2020年のAudentes Therapeutics, Inc.の買収*1を経て、遺伝子治療におけるCenter of ExcellenceとしてAstellas Gene Therapiesを設置*2し、世界的に有名なパートナー企業とともに、人生を変える可能性のある遺伝子治療薬のポートフォリオ構築に取り組んでいます。今回の提携は、アステラス製薬の世界をリードするAAVを基盤としたパイプラインとDyno社の人工知能(AI)を活用したAAVベクターの設計能力を融合させ、遺伝子治療薬の開発を加速させるものです。

 アステラス製薬の代表取締役副社長 経営戦略・財務担当 兼 戦略実装担当 岡村直樹は、「アステラス製薬では、遺伝子治療のCenter of ExcellenceであるAstellas Gene Therapiesが中心となって、現在、有効な治療法がない遺伝性疾患を持つ患者さんのために、革新的な治療法の開発を目指しており、特に、AAVを用いて重篤な疾患の治療薬の開発に注力しています。今回の提携を通じて、私たちは、患者さんに変革をもたらす価値を提供するために、最先端の技術を活用した新たなアプローチに注力していきます」と述べています。

 Dyno社のCEOであり共同創設者であるEric Kelsic, Ph.D.は、「遺伝子治療の開発で世界をリードするアステラス製薬と提携できることを大変嬉しく思います。Dyno社とアステラス製薬は、それぞれ独自の強みを持ち寄り、アンメットメディカルニーズの高い疾患を持つ患者さんのための新しい治療法を生み出すことができるようになります。この共同研究では、当社がCapsidMapを使用して社内外で学習したベクターエンジニアリングプログラムの全てを応用するもので、複数の臓器および疾患固有の状況に合わせた遺伝子治療用ウイルスベクターのカプシドを正確に設計できるDyno社のプラットフォームの適応性の高さを示していきます」と述べています。

 本提携では、遺伝子治療用に機能特性を高めた新規AAVカプシドをDyno社が設計し、そのカプシドを用いた遺伝子治療薬の候補品の製造、前臨床および臨床試験、並びに商業化をアステラス製薬が担います。アステラス製薬はDyno社に1,800万米ドルの契約一時金を支払い、共同研究から生み出されるカプシドを用いた製品に対して、前臨床および臨床開発、商業化の進捗に応じたマイルストンならびにロイヤルティを支払います。Dyno社に支払うマイルストンおよびロイヤリティの総額は、1製品あたり2.35億米ドル以上、総額で16億米ドル以上となる可能性があります。

 なお、本件によるアステラス製薬の通期(2022年3月期)連結業績への影響は軽微です。

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