2021/09/28

超長時間作用型薬剤となる第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤S-365598の導出に関するViiV Healthcareとのライセンス契約締結について - 超長時間作用型薬剤であるS-365598は、HIV治療にさらなる革新をもたらす可能性を有する -

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、超長時間作用型(3ヶ月以上に1回投与)の抗HIV薬となることが期待される第3世代インテグラーゼ阻害薬S-365598の導出に関するライセンス契約を、当社がGlaxo Smith Kline plc.(以下「GSK社」)およびPfizer Inc.(以下「ファイザー社」)とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)との間で締結しましたのでお知らせいたします。

 

本契約に基づき、塩野義製薬はViiV社から20百万ポンドの契約一時金を受領し、開発の進展に応じたマイルストンとして、15百万ポンドを受領します。ロイヤリティは、ViiV社に導出している既存のインテグラーゼ阻害剤と同一の条件です。また、塩野義製薬は、研究開発費用の一部を負担しますが、年間の上限額が定められています。

 

ViiV社のHead of Research & DevelopmentであるKimberly Smith博士は以下のように述べています。

「シオノギとの20年間にも渡るコラボレーションは非常に成功しており、このコラボレーションにより過去10年で最も重要な2つの抗HIV薬を産み出したと言っても過言ではありません。ドルテグラビルは現在、世界中で1,700万人が服用しており、カボテグラビルは世界初の長時間作用型レジメンとして開発されました。シオノギからの3番目のインテグラーゼ阻害薬の導入に関する本日の発表により、このコラボレーションが継続され、S-365598が2030年以降のViiV社のパイプラインを繋ぐことを期待しています。」

 

塩野義製薬の上席執行役員経営戦略本部長であり、ViiV社の取締役会の役員でもあるJohn Kellerは以下のように述べています。

「多くのHIVとともに生きる人々やHIVに苦しんでいる人々は、HIVであることを日々思い起こされること、HIVであることを知られること、服薬アドヒアランスの維持など、毎日の経口療法に懸念を感じています。そのため、長時間作用型の抗HIV薬は、これらの患者の困りごとの解決に大きく貢献することが期待されます。塩野義製薬は、HIV治療に対するこの革新的なアプローチをViiV社と連携してさらに進展させることを楽しみにしています。」

 

S-365598は、これまでのデータから優れた耐性バリアを示し、ドルテグラビルやカボテグラビルとは異なる耐性プロファイルを有することが示されています。さらに、長い半減期から低用量で3か月以上の間隔で1回の投与によって治療可能な超長時間作用型薬剤として開発が期待でき、現在前臨床試験が進行中であり、2023年までにヒトへ初めて投与を行う試験を開始する予定です。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は今後もViiV社の経営に参画することで、2030年以降のHIV市場を見据えてドルテグラビルおよびカボテグラビルに加えS-365598の価値最大化、パートナードラッグや機能的根治を達成できる化合物の創出に取り組んでまいります。

 

なお、本件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微です。

以 上

 

 

ViiV社について

ViiV社は、英国GSK社と米国ファイザー社により2009年に設立された抗HIV薬に特化したグローバルスペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬が参画しました。ViiV社は、どの会社よりもHIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬と予防のための効果的で革新的なアプローチを提供するとともに、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、www.viivhealthcare.comをご覧ください。

 

GSK社について

GSK社は、より多くの人々に「生きる喜びを、もっと」を届けることを存在意義とする科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細は、www.gsk.com/about-usをご覧ください。

 

参考:

1. Scarsi KK, Havens JP, Podany AT, Avedissian SN, Fletcher CV. HIV-1 Integrase Inhibitors: A Comparative Review of Efficacy and Safety. Drugs. 2020 Nov;80(16):1649-1676. doi: 10.1007/s40265-020-01379-9.