【略歴】
国内外の医薬品設備におけるプロセスエンジニアリングおよびプロジェクトマネジメントを20年間に渡り経験。2010年3月に武田薬品工業(株)に入社。ファーマシューティカル・サイエンスのバイオロジクスプロセス・デベロップメントに所属し、バイオ医薬品の製造技術研究開発に従事。2014年6月に同リサーチマネジャーとなり現在に至る。山口大学大学院技術経営研究科 技術経営修士(専門職)、山口大学大学院創成科学研究科 博士(生命科学)
【講演主旨】
医薬品の安全性と品質を保証する上で製造設備の洗浄は必須の工程です。製造使用後の設備機器を衛生上、品質管理上常に清潔に保つために設備を分解することなく、洗浄剤や高圧蒸気を流すことによって内部を定置洗浄(CIP)や定置滅菌(SIP)する方法が広く採用されています。実際の製造ラインでは清浄度を目視判定するにも限界があり、洗浄の頻度や時間といった設定条件は実際の残留量を測定することで最適化されます。しかしながら、近年の洗浄基準の規制強化、製造過程の生産性向上、高度な安全性の確保などを考慮して、品質を損なうことなく効率的かつ経済的な洗浄工程に関する研究は多くはありません。本講演では、洗浄工程の管理基準の最適化を目指し、より進んだ手法として、品質工学の統計的管理手法の一つである工程能力指数を用い、新たに洗浄データからその能力を定量的に評価する手法を紹介いたします。